交通事故で起こるバレ・リュー症候群とは?原因・症状・治療・後遺症・慰謝料まで解説

交通事故後、「首の痛みだけでなく頭痛が続く」「めまいやふらつきが出るようになった」「事故後から耳鳴りや吐き気がある」といった症状に悩まされる方がいます。このような交通事故による頚部外傷後に、首の痛みだけではなく頭痛・めまい・耳鳴りなど複数の症状が現れる状態について、「バレ・リュー症候群(バレー・リュー症候群)」という名称が使われることがあります。

ただし、交通事故後に頭痛やめまいがあるからといって、すべてがバレ・リュー症候群とは限りません。日本整形外科学会では、いわゆる「むち打ち症」は医学的な傷病名ではなく、外傷性頚部症候群、神経根症、脊髄損傷など、外傷の程度によって専門的な診断が必要としています。交通事故後に症状がある場合は、まず整形外科で診察を受け、必要に応じてレントゲンやMRIなどの検査を受けることが重要です。

この記事では、交通事故後にみられるバレ・リュー症候群について、原因、症状、むちうちとの関係、検査、治療、後遺症、後遺障害、慰謝料、鍼治療まで詳しく解説します。

バレ・リュー症候群とは?

バレ・リュー症候群は、頚部への外傷後に首の痛みだけではなく、頭痛、めまい、耳鳴りなどさまざまな症状がみられる状態を説明する際に使われる名称です。

現在の記事では「交通事故による頚部外傷によって筋肉・靱帯・神経などが損傷し、自律神経のバランスが乱れることで症状が現れる」と説明しています。

ただし、バレ・リュー症候群の病態や診断基準については議論があるため、「頚部の交感神経が損傷したことが原因」「自律神経が乱れたことが原因」などと一つの原因に断定しないことが重要です。

交通事故後に頭痛やめまい、耳鳴りなどが続いている場合には、「自律神経の問題だから」と自己判断せず、まず他の病気や外傷が隠れていないか医療機関で確認しましょう。

バレ・リュー症候群とむちうちの違い

「むちうち」は正式な医学的傷病名ではありません。交通事故によって頚部へ衝撃が加わった後に起こるさまざまな症状を表す一般的な呼び方です。

日本整形外科学会では、交通事故後の頚部外傷について、外傷性頚部症候群(頚椎捻挫・頚部挫傷)、神経根症、脊髄損傷などを区別して専門的に診断する必要があるとしています。

一般的な外傷性頚部症候群では、首の痛み、肩こり、頭痛、めまい、手のしびれなどが長期間みられることがあります。

そのため「むちうち」と「バレ・リュー症候群」を完全に別の病気として考えるより、交通事故による頚部外傷後に首の症状だけでなく、頭痛・めまい・耳鳴りなど多彩な症状がみられるケースがあると理解した方がよいでしょう。

交通事故でバレ・リュー症候群と呼ばれる症状が起こる理由

追突事故などでは、衝撃によって頭部と頚部へ急激な力が加わります。その際、首周辺の筋肉や靱帯などが損傷することがあります。

日本整形外科学会では、外傷性頚部症候群について、受傷時に頚椎への損傷を避けようとして反射的な筋緊張が起こり、衝撃の程度によって筋肉の部分断裂や靱帯損傷が生じる場合があると説明しています。

現在の記事では、そこから「自律神経のバランスが乱れてバレ・リュー症候群になる」としていますが、ここはもう少し慎重な表現に変更します。

交通事故による頚部外傷後には、首の痛みだけではなく頭痛やめまいなどさまざまな症状が現れることがあり、そのような症状群についてバレ・リュー症候群という名称が用いられることがあります。

バレ・リュー症候群でみられる主な症状

バレ・リュー症候群と呼ばれる状態では、首の痛み以外にもさまざまな症状が現れることがあります。

代表的なのは、首の痛み、肩周辺の痛み、後頭部の頭痛、めまい、ふらつき、耳鳴り、耳の違和感、吐き気、目の違和感、疲労感、集中しにくい感じなどです。

現在の記事でも、頭痛・首痛、めまい・ふらつき、耳鳴り、視覚症状、手足のしびれ、集中力低下、疲労感などが紹介されています。

ただし、これらの症状はバレ・リュー症候群だけで起こるわけではありません。特に交通事故では頭部にも衝撃が加わっている可能性があるため、症状によっては別の疾患や外傷を除外する必要があります。

交通事故後に頭痛が続く

交通事故後に首の痛みとともに頭痛を感じることがあります。日本整形外科学会も、外傷性頚部症候群でみられる症状の一つとして頭痛を挙げています。

しかし、事故で頭を打っている場合などには頭部外傷についても考える必要があります。突然の強い頭痛、意識状態の変化、繰り返す嘔吐、手足の麻痺など普段とは異なる強い症状がある場合には、バレ・リュー症候群と自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。

交通事故後にめまい・ふらつきが続く

「立ち上がるとふらつく」「歩いていると身体が揺れている感じがする」「事故前にはなかっためまいが出るようになった」という場合があります。

外傷性頚部症候群でもめまいがみられることがありますが、めまいにはさまざまな原因があります。

症状が続いている場合には、「むちうちのせいだろう」と放置せず医師へ相談してください。

交通事故後に耳鳴りがする

事故後に「キーン」という耳鳴りや耳の詰まったような違和感を感じる方もいます。現在の記事でもバレ・リュー症候群に関連する症状として耳鳴りを挙げています。

耳鳴りについても原因は一つではありません。耳鳴りだけでなく聴力低下などがある場合には、症状によって耳鼻咽喉科での評価が必要になることもあります。

レントゲンで異常なしでも症状は出る?

交通事故後に、

「レントゲンでは異常なしと言われたのに首が痛い」

「画像では問題ないと言われたのに頭痛やめまいが続いている」

ということがあります。

日本整形外科学会の外傷性頚部症候群の解説でも、X線検査で骨折や脱臼を認めない場合でも、頚部痛、肩こり、頭痛、めまい、手のしびれなどの症状がみられることが説明されています。

そのため、「レントゲンで異常なし=症状がない」という意味ではありません。

ただし反対に、「レントゲンで異常なし=バレ・リュー症候群」でもありません。

画像検査だけではなく、症状や神経学的所見などを含めて医師が総合的に判断することが重要です。

バレ・リュー症候群は何科を受診する?

交通事故後に首の痛み、頭痛、めまいなどがある場合には、まず整形外科を受診することをおすすめします。

日本整形外科学会も、交通事故後にいわゆるむちうち症が疑われる場合、神経学的所見を含む診察や必要に応じてレントゲン・MRIなどの精査ができることから、整形外科医の診察を受けることを推奨しています。

そのうえで、耳鳴りや聴力の問題が強ければ耳鼻咽喉科、頭部外傷や強い頭痛・神経症状が疑われる場合には脳神経外科など、症状に応じて別の診療科での評価が必要になることがあります。

バレ・リュー症候群の検査

「バレ・リュー症候群だけを判定できる検査」があるわけではありません。

交通事故後の頚部症状では、事故状況や症状について問診し、首の動き、痛み、しびれなどを確認します。そのうえで骨折や脱臼などを確認するためにX線検査を行い、症状や診察所見によってMRIなどが検討される場合があります。

特に頭痛、めまい、耳鳴り、しびれなど複数の症状がある場合には、何が原因なのかを一つずつ確認していくことが大切です。

バレ・リュー症候群の治療

現在の記事では、痛み止めや筋弛緩薬、温熱療法、マッサージ、ストレッチ、リハビリなどを治療法として紹介しています。

ただし、「バレ・リュー症候群だからこの治療をすれば治る」という一つの治療方法があるわけではありません。

首の痛みが中心なのか、頭痛が強いのか、めまいや耳鳴りが中心なのかによって必要な評価や治療が異なります。まず医療機関で診断を受け、その原因や症状に応じて治療を進めます。

むちうちでは安静にした方がいい?

事故直後の状態によって安静が必要になる場合がありますが、長期間まったく首を動かさないことが必ずしもよいわけではありません。

日本整形外科学会では、骨折や脱臼がない外傷性頚部症候群について、長期にわたる頚椎カラー装着など過度な安静は頚部痛や肩こりを長期化させる原因になり得るとしています。慢性期には過度な安静や生活制限を行わず、ストレッチを中心とした運動が治療として重要と説明しています。

ただし、事故直後から自己判断で首を強く伸ばしたり揉んだりすることは避け、医師の診断を受けてから状態に合わせて身体を動かしましょう。

バレ・リュー症候群はどれくらいで治る?

回復期間は一律ではありません。事故の衝撃、頚部の損傷程度、症状の種類、年齢などによって経過が異なります。

日本整形外科学会では、外傷性頚部症候群について受傷後1~3か月程度は局所に痛みが生じることがあるとしていますが、すべての患者さんが同じ期間で回復するわけではありません。

「むちうちなら3か月で必ず治る」「6か月経てば後遺症になる」といった単純な判断はできません。症状が長引いている場合には、医師へ現在の症状を具体的に伝えながら治療を継続することが大切です。

バレ・リュー症候群で後遺症が残ることはある?

現在の記事では、慢性的な頭痛や首の痛み、頚部の可動域低下、長引く症状による心理的影響などを挙げています。

交通事故後の頚部症状が長引き、治療を続けても首の痛み、頭痛、めまい、しびれなどが残る場合があります。

しかし、医学的に症状が残っている「後遺症」と、自賠責保険上の「後遺障害」は同じ意味ではありません。

バレ・リュー症候群で後遺障害認定される?

交通事故による症状が治療後も残った場合には、状態によって後遺障害の申請を検討することがあります。

ただし、

「バレ・リュー症候群と診断された=後遺障害認定」

ではありません。

国土交通省では、自賠責保険における後遺障害について、事故による傷害が治ったときに残存し、その傷害との相当因果関係があり、存在が医学的に認められる症状が対象になると説明しています。

そのため、診断名だけではなく、症状、診療記録、検査結果、治療経過などが重要になります。

頭痛・めまい・耳鳴りは医師に伝えておく

これは交通事故後のバレ・リュー症候群を考えるうえで非常に重要です。

例えば、

「首が一番痛かったので頭痛は伝えなかった」

「めまいは軽かったので医師に言わなかった」

「耳鳴りはそのうち治ると思って伝えなかった」

ということがあります。

しかし症状が長期化した場合、事故後いつからその症状があったのかという治療経過が重要になることがあります。

首の痛みだけでなく、事故後に現れた頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、しびれなども医師へ具体的に伝えておきましょう。

バレ・リュー症候群の慰謝料

交通事故による傷害として治療を受けた場合には、治療関係費、休業損害、慰謝料などが損害賠償の対象となることがあります。

自賠責保険では、傷害による損害として治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料などが対象となり、支払限度額は被害者1人につき120万円です。

ここで注意したいのは、120万円すべてが慰謝料という意味ではないことです。治療費や休業損害などを含めた傷害部分全体の限度額です。

また、

「バレ・リュー症候群なら慰謝料○万円」

と決まっているわけではありません。治療期間、通院状況、休業の有無、後遺障害の有無、過失割合などによって最終的な損害額は異なります。

後遺障害が認定された場合の補償

治療を続けても症状が残り、後遺障害として認定された場合には、傷害部分とは別に逸失利益や慰謝料などが対象となります。

自賠責保険では、介護を要しない後遺障害について第1級から第14級まで区分され、支払限度額は第1級3,000万円から第14級75万円です。介護を要する一定の後遺障害には別の限度額があります。

症状が残っている場合には、治療途中で示談を急ぐのではなく、主治医へ症状を正確に伝え、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談することも検討しましょう。

バレ・リュー症候群に鍼治療は有効?

ここは現在の記事から変更することをおすすめします。

現在の記事では、「鍼治療による血流改善」「自律神経の調整によって頭痛やめまいを緩和」と説明しています。

しかし、

「バレ・リュー症候群の原因は自律神経の乱れだから、鍼で自律神経を整えれば改善する」

という単純な説明は避けた方がよいでしょう。

交通事故後の頭痛、めまい、耳鳴りなどには複数の原因が考えられるため、まず医療機関で必要な診察や検査を受けることが重要です。

そのうえで、医療機関での治療を続けながら首や肩周辺の痛み、筋肉の張りなどが残っている場合には、身体の状態に応じて鍼施術を補助的な選択肢として検討することがあります。

鍼灸整骨院かまたきでできること

鍼灸整骨院かまたきでは、交通事故後の症状を「すべてバレ・リュー症候群」「すべて自律神経が原因」と決めつけて施術するのではなく、まず医療機関での診断を受けることをおすすめします。

そのうえで、整形外科へ通院しながら首や肩の痛みが残っている、首周辺の筋肉が張って動かしにくい、事故後の身体の不調について相談したいといった場合には、身体の状態を確認して施術を検討します。

特に頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気などが強い場合や症状が悪化している場合には、鍼灸整骨院での施術より医療機関での評価を優先してください。

よくある質問

バレ・リュー症候群とは何ですか?

交通事故などによる頚部外傷後に、首の痛みだけでなく頭痛、めまい、耳鳴りなど複数の症状が現れる状態について使われる名称です。ただし病態や診断については議論があるため、症状だけで自己判断することはできません。

バレ・リュー症候群とむちうちは違いますか?

むちうちは正式な医学的傷病名ではなく、交通事故などによる頚部外傷後の症状を表す一般的な呼び方です。バレ・リュー症候群は、頚部外傷後に頭痛、めまい、耳鳴りなど多彩な症状がみられる状態を説明する際に使われることがあります。

バレ・リュー症候群ではどんな症状が出ますか?

首の痛みのほか、頭痛、めまい、ふらつき、耳鳴り、吐き気、目の違和感、疲労感などがみられることがあります。ただし他の疾患や外傷でも起こる症状なので、医療機関での評価が重要です。

レントゲンで異常なしでも症状は出ますか?

外傷性頚部症候群では、X線で骨折や脱臼などが確認されなくても、首の痛み、頭痛、めまい、手のしびれなどがみられる場合があります。

バレ・リュー症候群は何科を受診すればいいですか?

交通事故後の頚部症状では、まず整形外科で診察を受けることをおすすめします。症状によっては耳鼻咽喉科や脳神経外科など他の診療科での評価が必要になる場合があります。

バレ・リュー症候群は治りますか?

回復期間や経過には個人差があります。事故の程度や症状などによって異なるため、「○週間で必ず治る」とは断定できません。

バレ・リュー症候群で後遺障害になることはありますか?

治療後も事故による症状が残り、一定の要件を満たした場合には後遺障害が認定される可能性があります。ただし、診断名だけで後遺障害が認定されるわけではありません。

バレ・リュー症候群では慰謝料を請求できますか?

交通事故による傷害として認められる場合には、治療関係費、休業損害、慰謝料などが損害賠償の対象になることがあります。実際の金額は治療期間や通院状況、後遺障害の有無などによって異なります。

バレ・リュー症候群に鍼治療はできますか?

まず医療機関で交通事故後の頭痛・めまい・耳鳴りなどの原因を確認することが重要です。そのうえで首や肩周辺の痛みや筋肉の張りなどが残っている場合には、身体の状態に応じて補助的に鍼施術を検討することがあります。

まとめ

交通事故後に首の痛みだけではなく、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気などさまざまな症状が現れ、このような状態について「バレ・リュー症候群」と呼ばれることがあります。

ただし、**「交通事故後の頭痛・めまい=バレ・リュー症候群」「レントゲンで異常なし=バレ・リュー症候群」「自律神経を整えれば治る」**と単純に判断することはできません。

日本整形外科学会では、いわゆるむちうち症は正式な医学的傷病名ではなく、外傷性頚部症候群、神経根症、脊髄損傷などについて専門的な診断を受ける必要があるとしています。交通事故後に症状がある場合には、まず整形外科で診察を受け、症状に応じてレントゲンやMRIなどの検査を検討することが重要です。

また、事故後から頭痛、めまい、耳鳴りなどがある場合には、症状が軽くても医師へ伝えておきましょう。治療後も症状が残った場合には後遺障害が問題になることがあり、事故後からの診療記録や治療経過などが重要になります。

鍼灸整骨院を利用する場合も、医療機関での診断を受けたうえで、首・肩周辺の痛みや筋肉の張りなどに対する補助的な施術として検討するという順序がおすすめです。