交通事故による大腿骨骨折の原因・症状・治療法・後遺症・慰謝料と鍼治療の有効性

交通事故による大腿骨骨折とは?原因・症状・治療法・後遺症・慰謝料と鍼治療を解説

交通事故後に太ももや脚の付け根へ激しい痛みが生じ、立ち上がれない、歩けない、脚を動かせないといった症状がある場合は、大腿骨を骨折している可能性があります。

大腿骨は股関節から膝関節までをつなぐ、人体の中でも特に大きく丈夫な骨です。そのため、若い方の大腿骨骨折は、自動車同士の衝突、バイク事故、歩行者事故など、身体へ大きな力が加わる事故で起こる傾向があります。

大腿骨骨折では、骨折した場所や骨のずれ、血管・神経・関節の損傷状況などによって治療方法が異なります。手術による固定が必要になるケースも多く、骨がついた後も長期間のリハビリが必要です。

治療後には、歩行時の痛み、股関節や膝関節の動かしにくさ、筋力低下、しびれなどが残ることもあります。

鍼灸整骨院かまたきでは、交通事故による大腿骨骨折について医療機関で必要な治療を受け、骨癒合の状態を確認した後も、歩行痛やしびれ、筋肉の緊張などが残っている方からのご相談を受け付けています。

リハビリへ通っているものの症状が変わらない方や、医療機関でのリハビリが終了した後も歩行時の痛みやしびれが残っている方は、当院へご相談ください。

大腿骨骨折とは

大腿骨は、股関節から膝関節まで続く太ももの骨です。

身体を支え、立つ、歩く、階段を上るといった動作に重要な役割を果たしています。

大腿骨骨折は、骨折する場所によって主に次のように分けられます。

大腿骨頸部骨折

大腿骨頭のすぐ下にある、股関節に近い部分の骨折です。

大腿骨頸部は関節包の内側にあり、骨折によって大腿骨頭へ流れる血液が損なわれることがあります。

骨のずれが大きい場合には骨癒合が得られにくく、人工骨頭置換術などが選択されることがあります。日本整形外科学会も、大腿骨頸部骨折では脚の付け根に痛みが生じ、多くの場合で立つことや歩くことが困難になると説明しています。

大腿骨転子部骨折

大腿骨頸部より少し下にある、骨の出っ張った部分の骨折です。

高齢者では転倒によって起こることがありますが、交通事故では年齢に関係なく、股関節周辺へ大きな衝撃が加わることで発生します。

多くの場合、金属製のスクリューや髄内釘などを用いて骨折部を固定します。

大腿骨転子下骨折

大腿骨転子部よりも下側で起こる骨折です。

筋肉から強く引っ張られる部分であり、骨折すると骨片が大きくずれることがあります。

交通事故のような強い外力で発生しやすく、手術による固定が必要になるケースが多くあります。

大腿骨骨幹部骨折

股関節と膝関節の間にある、大腿骨の中央部分の骨折です。

自動車事故やバイク事故、歩行者事故などの高エネルギー外傷で起こることが多く、周囲の筋肉や血管、神経を同時に損傷する可能性があります。

大腿骨は太く血流が豊富な骨であるため、骨折によって体内に多くの出血が生じることがあります。

大腿骨遠位部骨折

膝関節に近い大腿骨下端の骨折です。

膝をダッシュボードへ強く打ち付ける事故や、歩行者の脚へ車が衝突する事故などで起こります。

関節面まで骨折が及ぶと、治療後に膝関節の痛みや可動域制限、変形性膝関節症などが残る可能性があります。

交通事故で大腿骨骨折が起こる原因

車体や道路との直接的な衝突

自動車やバイク、自転車との衝突により、太ももへ強い力が直接加わると大腿骨が折れることがあります。

歩行者事故では、車のバンパーが大腿部へ衝突し、骨幹部や膝に近い部分を骨折する場合があります。

ダッシュボードへ膝を打ち付ける

正面衝突事故では、膝を車内のダッシュボードへ強く打ち付けることがあります。

膝から大腿骨へ大きな力が加わると、大腿骨遠位部の骨折や股関節周辺の骨折、脱臼などにつながる可能性があります。

バイクや自転車から投げ出される

バイクや自転車事故で身体が投げ出され、太ももを路面やガードレールへ強く打ち付けることで骨折することがあります。

転倒した車体の下に脚を挟まれ、圧迫によって大腿骨を骨折する場合もあります。

車体に身体を挟まれる

車同士の間や、車と壁、電柱などの間に身体を挟まれると、大腿骨へ極めて強い圧迫力が加わります。

このような事故では、骨折だけでなく、血管、神経、筋肉、皮膚などにも重大な損傷が生じる可能性があります。

身体をひねりながら転倒する

足が地面に固定されたまま身体が大きく回転すると、股関節や大腿骨へねじれの力が加わります。

事故の衝撃や転倒の角度によっては、大腿骨頸部や転子部などを骨折することがあります。

交通事故による大腿骨骨折の症状

太ももや脚の付け根に激しい痛みがある

大腿骨骨折では、骨折した部分に非常に強い痛みが生じます。

身体を少し動かしただけでも痛みが強くなり、安静にしていても痛みが続くことがあります。

大腿骨頸部骨折では、股関節や脚の付け根を中心に痛みが現れます。

立てない、歩けない

大腿骨は体重を支える重要な骨であるため、骨折すると負傷した脚へ体重をかけられなくなります。

骨折の場所や程度によっては、まったく立てない状態になることもあります。

太ももが大きく腫れる

骨折部からの出血や筋肉などの損傷により、太ももが大きく腫れることがあります。

大腿骨骨幹部骨折では、外から見える出血がなくても、太ももの内部で多量の出血が生じている可能性があります。

顔色が悪い、冷や汗が出る、意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、ショック状態の可能性があります。

内出血が現れる

骨折や周辺組織の損傷によって、太ももや股関節、膝周辺に青紫色の内出血が現れることがあります。

事故直後には目立たなくても、時間が経過してから広がる場合があります。

脚が変形する

骨折した骨が大きくずれると、太ももが通常とは異なる方向へ曲がって見えることがあります。

左右の脚の長さが違って見えたり、負傷した脚が外側へ向いた状態になったりする場合もあります。

変形している脚を無理にまっすぐ戻してはいけません。

脚を動かせない

痛みだけでなく、骨の連続性が失われることで、股関節や膝関節を動かせなくなる場合があります。

自分で動かそうとすると骨折部がさらにずれ、血管や神経を傷つける危険があります。

しびれや感覚低下がある

骨折時の衝撃、腫れ、血腫、骨片などによって神経が圧迫または損傷されると、脚や足先にしびれが出ることがあります。

足先が冷たい、皮膚が白いまたは紫色になる、脈が触れにくいといった場合は、血管損傷の可能性もあります。

大腿骨骨折が疑われるときの対処法

救急車を要請する

交通事故後に太ももの激しい痛み、変形、歩行不能などがある場合は、無理に立たせたり歩かせたりせず、119番へ連絡してください。

大腿骨骨折は、出血や血管損傷などを伴う可能性がある重い外傷です。

患部を動かさない

骨折が疑われる脚は、事故現場で無理に動かしてはいけません。

変形していても、一般の方が元の位置へ戻そうとすることは危険です。

飲食を控える

緊急手術や麻酔が必要になる可能性があるため、救急隊や医療従事者から指示されるまでは、原則として飲食を控えます。

出血がある場合は清潔な布で圧迫する

骨が皮膚を突き破っている開放骨折では、感染の危険が高くなります。

骨を押し戻さず、清潔な布やガーゼで傷を覆い、救急隊の到着を待ちます。

交通事故による大腿骨骨折の検査

レントゲン検査

骨折の場所、骨折線、骨片のずれ、股関節や膝関節の状態などを確認します。

骨折の状況を把握するため、複数の方向から撮影することがあります。

CT検査

複雑な骨折や関節面に及ぶ骨折では、CT検査によって骨の状態を詳しく確認します。

手術方法を決めるために行われることもあります。

MRI検査

レントゲンで明らかな骨折が確認できない場合や、骨挫傷、筋肉、靱帯、神経などの損傷を調べる場合にMRI検査が行われることがあります。

血液検査

出血の程度、貧血、炎症、全身状態などを確認します。

手術を行う場合は、感染症や血液凝固などについても検査されます。

血管や神経の検査

足先の脈、皮膚温、色、感覚、筋力などを調べます。

血管損傷が疑われる場合には、造影CTなどの追加検査が行われることがあります。

交通事故による大腿骨骨折の治療法

大腿骨骨折の治療方法は、骨折した場所、骨のずれ、年齢、全身状態、関節損傷の有無などを総合的に判断して決められます。

骨接合術

骨折した骨を正しい位置へ戻し、金属製のプレート、スクリュー、髄内釘などで固定する手術です。

大腿骨骨幹部骨折では、骨の内部へ長い金属棒を入れて固定する髄内釘固定が行われることがあります。

転子部骨折や遠位部骨折では、骨折の形に合わせたプレートやスクリューなどが使用されます。

人工骨頭置換術

大腿骨頸部骨折で骨のずれが大きく、骨癒合が期待しにくい場合には、損傷した大腿骨頭を人工物へ置き換える手術が検討されます。

日本整形外科学会も、ずれの大きい大腿骨頸部骨折では骨癒合が得られにくいため、人工骨頭置換術が選択されることが多いと説明しています。

人工股関節置換術

骨折が股関節面へ及んでいる場合や、もともと股関節に変形がある場合などには、人工股関節置換術が検討されることがあります。

大腿骨側だけでなく、骨盤側の関節面も人工物へ置き換える手術です。

外固定

重い開放骨折や全身状態が不安定な場合には、まず身体の外側から固定器具を取り付けて、骨折部を一時的に安定させることがあります。

全身状態が改善した後に、あらためて内固定手術を行う場合もあります。

保存療法

骨のずれがほとんどなく、手術による危険性が高い場合などには、手術を行わず安静や装具などで治療することがあります。

ただし、大腿骨は体重を支える骨であり、長期間動けないことによる筋力低下、肺炎、血栓などの危険もあります。

大腿骨骨折では、骨折部を安定させて早期に身体を動かせるよう、手術が選ばれることが少なくありません。

リハビリテーション

手術後は、医師の指示に従ってリハビリを進めます。

主なリハビリ内容は次のとおりです。

・ベッド上での関節運動

・大腿部や臀部の筋力訓練

・車椅子への移乗練習

・立ち上がり訓練

・平行棒内での歩行訓練

・松葉杖や歩行器を使った訓練

・階段昇降訓練

・バランス訓練

・日常生活動作の練習

体重をかけ始める時期は、骨折した場所や固定状態によって異なります。

自己判断で歩行を始めたり、運動量を増やしたりしてはいけません。

大腿骨骨折が治るまでの期間

大腿骨骨折の治療期間は、骨折部位、骨折の形、骨片のずれ、手術方法、年齢、持病、喫煙習慣などによって大きく異なります。

骨が画像上でついた後も、長期間の安静や固定によって低下した筋力や関節の動きを取り戻す必要があります。

骨癒合と歩行能力の回復は同じではありません。

レントゲン上では骨がついていても、歩行時の痛みや脚の重さ、筋力低下などによって、事故前と同じ生活へ戻るまで時間がかかることがあります。

日本整形外科学会も、骨のつきやすさや治療期間は骨折の場所や折れ方によって大きく異なると説明しています。

交通事故による大腿骨骨折で残る可能性がある後遺症

歩行時の痛み

骨がついた後も、股関節や膝関節の損傷、筋力低下、手術による瘢痕、金属固定部周辺の刺激などによって、歩行時の痛みが残る場合があります。

長時間歩いたときや階段を上り下りするときに、痛みが強くなることもあります。

歩行障害

脚の筋力低下、関節の可動域制限、脚長差、痛みなどによって、足を引きずる、左右へ身体が揺れるといった歩行障害が残ることがあります。

杖や装具が必要になるケースもあります。

股関節や膝関節の可動域制限

骨折後の安静や手術、周辺組織の癒着によって、股関節や膝関節が動かしにくくなることがあります。

正座、しゃがむ動作、靴下を履く、階段を使う、車へ乗り降りするといった動作に支障が出る可能性があります。

筋力低下

大腿骨骨折では長期間にわたって負傷した脚を十分に使えないことがあります。

大腿四頭筋や臀部の筋肉が弱くなると、立ち上がりや歩行、階段昇降が難しくなります。

脚長差

骨が短縮した状態でついた場合や、人工骨頭・人工股関節の手術後などに、左右の脚の長さに差が生じることがあります。

脚長差があると、歩き方が変わり、腰や反対側の股関節、膝へ負担がかかる可能性があります。

痛みやしびれ

事故時の神経損傷、手術、瘢痕、筋肉の緊張などによって、太ももや膝、足先に痛みやしびれが残る場合があります。

しびれが続く場合は、神経損傷だけでなく、腰から出る神経の問題なども含めて医療機関で原因を確認する必要があります。

骨癒合不全

骨がつくまでに通常より長い期間を要する状態を遷延治癒、骨がつかない状態を偽関節といいます。

骨癒合不全が起こると、痛みや不安定感が続き、追加手術が必要になることがあります。

変形治癒

骨がずれた状態でつくと、脚の向きや長さに変化が生じる場合があります。

変形の程度によっては、歩行障害や股関節・膝関節への負担につながります。

大腿骨頭壊死

大腿骨頸部骨折では、大腿骨頭へ流れる血液が損なわれ、大腿骨頭壊死が起こる可能性があります。

大腿骨頭への血流が途絶えると、骨が弱くなってつぶれ、股関節痛や歩行障害が生じることがあります。

変形性股関節症や変形性膝関節症

骨折が関節面へ及んだ場合や、骨がずれてついた場合には、長期的に関節軟骨がすり減ることがあります。

その結果、変形性股関節症や変形性膝関節症が進行し、痛みや可動域制限が強くなる可能性があります。

感染

開放骨折や手術後には、骨や手術部位へ感染が起こる可能性があります。

発熱、傷口の腫れ、赤み、膿、痛みの増加などがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症

手術後や長期間の安静により、脚の静脈内に血栓ができることがあります。

血栓が肺へ移動すると、息苦しさや胸の痛みを伴う肺血栓塞栓症を起こす危険があります。

ふくらはぎの腫れや痛み、突然の息苦しさなどがある場合は、緊急の診察が必要です。

大腿骨骨折で後遺障害が認定される可能性

十分な治療を続けても症状が残り、医師から症状固定と判断された場合は、後遺障害等級の申請を検討することがあります。

大腿骨骨折では、主に次のような障害が審査の対象になる可能性があります。

股関節や膝関節の機能障害

大腿骨は股関節と膝関節をつないでいるため、骨折後にどちらかの関節の可動域が制限されることがあります。

健康な側と比較して関節の動く範囲が大きく制限されている場合は、下肢の関節機能障害として評価される可能性があります。

人工骨頭や人工関節の挿入

骨折治療によって人工骨頭や人工股関節を挿入した場合は、関節の動きや状態に応じて後遺障害等級の対象になる可能性があります。

大腿骨の変形

大腿骨に明らかな変形が残った場合は、長管骨の変形障害として評価される可能性があります。

脚長差

骨折後に左右の脚の長さへ一定以上の差が残った場合は、下肢の短縮障害として審査される可能性があります。

痛みやしびれ

画像検査や神経学的検査などによって原因を医学的に説明できる痛みやしびれが残った場合は、神経症状として認定される可能性があります。

国土交通省の後遺障害等級表には、下肢の関節機能障害、長管骨の変形、下肢の短縮、神経症状などに関する区分が定められています。

ただし、症状が残っているだけで後遺障害が認定されるわけではありません。

事故直後から症状固定までの診療記録、画像所見、可動域測定、筋力検査、神経学的検査、症状の一貫性などを基に審査されます。

交通事故による大腿骨骨折の慰謝料

交通事故で大腿骨を骨折した場合は、治療費とは別に慰謝料を請求できる可能性があります。

慰謝料には、主に入通院慰謝料と後遺障害慰謝料があります。

入通院慰謝料

大腿骨骨折の治療によって入院や通院を余儀なくされた精神的苦痛に対する補償です。

金額は骨折名だけで決まるものではありません。

次のような要素を基に算定されます。

・入院期間

・通院期間

・実際に通院した日数

・手術の有無

・治療内容

・症状の程度

・仕事や生活への影響

大腿骨骨折では手術や長期入院、継続的なリハビリが必要になることがあるため、治療期間が長くなる傾向があります。

後遺障害慰謝料

治療後も歩行障害、関節の可動域制限、脚長差、変形、痛み、しびれなどが残り、後遺障害等級が認定された場合に請求できる慰謝料です。

金額は認定された等級と、採用される算定基準によって異なります。

慰謝料の3つの算定基準

自賠責基準

交通事故被害者に対する基本的な補償を目的とする基準です。

自賠責保険では、傷害による損害として、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料などが補償対象となり、傷害、後遺障害、死亡ごとに支払限度額が定められています。

任意保険基準

任意保険会社が独自に設定している基準です。

計算方法は保険会社によって異なり、一般には詳しい内容が公開されていません。

弁護士基準

過去の裁判例などを基にした算定基準で、裁判基準とも呼ばれます。

一般的には、自賠責基準や任意保険基準より高い金額になる傾向がありますが、事故状況や過失割合などによって異なります。

大腿骨骨折で請求できる可能性がある損害

交通事故による大腿骨骨折では、慰謝料以外にも次の損害を請求できる可能性があります。

・治療費

・手術費

・入院費

・リハビリ費

・通院交通費

・入院雑費

・装具や松葉杖の費用

・休業損害

・付添看護費

・将来介護費

・後遺障害逸失利益

・家屋や車両の改造費

・車椅子などの費用

実際に請求できる項目は、症状や生活への影響、後遺障害等級、過失割合などによって異なります。

保険会社から示談金を提示された場合は、後遺症の評価や将来の損害が十分に含まれているか確認する必要があります。

示談成立後は、原則として追加請求が難しくなります。

金額に疑問がある場合や後遺症が残っている場合は、示談に合意する前に交通事故に詳しい弁護士へ相談しましょう。

大腿骨骨折後の歩行痛やしびれに対する鍼治療

鍼治療は骨折そのものを治すものではない

鍼治療によって、折れた骨を正しい位置へ戻したり、骨折部を固定したりすることはできません。

骨折の診断、手術、投薬、骨癒合の確認は、整形外科などの医療機関で行う必要があります。

交通事故直後や骨癒合が不十分な時期に、医療機関を受診せず鍼治療だけを受けることは適切ではありません。

骨折後の筋肉の緊張へ対応する

大腿骨骨折後は、長期間の安静や歩き方の変化によって、太もも、臀部、股関節周辺、腰などの筋肉が緊張することがあります。

鍼治療は、こうした筋肉の緊張や骨折部周辺に残る痛みに対する補完的な施術として検討されることがあります。

歩行時の負担を確認する

骨折後に負傷した脚をかばって歩くと、反対側の脚、腰、膝などへ負担が集中します。

当院では、骨折した場所だけでなく、歩き方や身体全体のバランスを確認しながら、負担がかかっている筋肉への施術を検討します。

しびれの原因を医療機関で確認する

大腿骨骨折後のしびれには、事故による神経損傷、手術後の瘢痕、腫れによる神経圧迫、腰部の神経障害など、さまざまな原因が考えられます。

まずは医療機関で検査を受け、しびれの原因や緊急性を確認することが重要です。

骨や神経に緊急性の高い問題がないことを確認した後、医師の治療やリハビリを補完する目的で鍼治療を行う場合があります。

大腿骨骨折に対する鍼治療の医学的根拠

股関節骨折後のリハビリと鍼治療を組み合わせた研究や、手術後の回復に対する鍼治療の研究は報告されています。

一部の研究では、鍼治療を併用したグループで股関節の動きや下肢機能に変化が見られたと報告されていますが、研究数や研究方法には限界があります。観察研究で良好な結果が示された例もありますが、因果関係を確定できるものではありません。

また、2025年にも股関節骨折手術後の回復に対する鍼治療を評価する研究計画が発表されており、現時点では質の高い研究が十分にそろっているとは言えません。

そのため、鍼治療について次のような断定はできません。

・大腿骨骨折が早く治る

・骨癒合が促進される

・歩行障害が必ず改善する

・しびれが必ずなくなる

鍼治療は、骨折後に残る痛みや筋緊張などに対する補完的な選択肢として、医師による治療やリハビリと併用しながら検討することが大切です。

大腿骨骨折後に鍼治療を受ける際の注意点

骨癒合の状態を確認する

鍼治療を開始する前に、整形外科でレントゲンなどの検査を受け、骨癒合の状態を確認してもらいましょう。

骨が十分についていない場合は、施術内容を制限する必要があります。

主治医へ相談する

手術後間もない場合や、感染、血栓、再骨折などの危険がある場合は、鍼治療を行えません。

現在も治療中の方は、主治医へ鍼治療を受けても問題ないか確認してください。

手術部位や骨折部へ直接強い刺激を行わない

プレート、スクリュー、髄内釘、人工骨頭などが入っている場合でも、周囲の筋肉へ施術できることはあります。

ただし、手術部位、傷口、感染リスク、固定材料の位置などを考慮する必要があります。

抗凝固薬の服用を伝える

血栓予防などの目的で血液を固まりにくくする薬を服用している場合は、鍼治療による内出血の危険が高くなる可能性があります。

薬の名前や服用状況を必ず施術者へ伝えてください。

効果には個人差がある

骨折部位、神経損傷の有無、筋力、関節の状態などによって、施術後の変化には個人差があります。

症状が改善しない場合や悪化する場合は、医療機関で再検査を受ける必要があります。

すぐに医療機関を受診すべき症状

大腿骨骨折の治療中や治療後に次の症状がある場合は、鍼灸院や整骨院ではなく、速やかに医療機関を受診してください。

・脚の痛みや腫れが急激に強くなった

・傷口が赤く腫れている

・傷口から膿や液体が出ている

・発熱が続いている

・脚や足先が冷たい

・足先が白色または紫色になっている

・足先の感覚が急に低下した

・脚を動かせなくなった

・ふくらはぎが片側だけ腫れて痛む

・突然息苦しくなった

・胸に痛みがある

・転倒して再び太ももや股関節を打った

これらは、感染、血流障害、神経障害、深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症、再骨折などの可能性があります。

鍼灸整骨院かまたきへご相談ください

鍼灸整骨院かまたきでは、交通事故による大腿骨骨折について医療機関で必要な治療を受けた後も、次のような症状が残っている方からのご相談を受け付けています。

・骨はついたと言われたが歩くと痛い

・リハビリに通っているが歩行痛が変わらない

・リハビリ終了後も太ももや股関節が痛む

・太ももや足先にしびれが残っている

・股関節や膝が硬く動かしにくい

・脚に力が入りにくい

・負傷した脚をかばって腰や反対側の脚が痛い

・長時間歩くと脚が重くなる

当院では、大腿骨骨折そのものを治療するのではなく、医療機関での骨折治療やリハビリを補完する目的で、骨折後に残る筋肉の緊張、歩行時の痛み、身体の使い方などを確認して施術を行います。

現在も整形外科へ通院している方は、主治医の診断や治療方針を確認しながら対応します。

症状や治療経過によっては、施術を行わず、整形外科での再検査をご案内する場合があります。

よくある質問

交通事故による大腿骨骨折は重傷ですか?

大腿骨は身体を支える大きな骨であり、骨折すると歩行不能や多量の内出血を伴うことがあります。

血管、神経、関節などを同時に損傷する可能性もあるため、重い外傷として速やかな検査と治療が必要です。

大腿骨骨折は必ず手術になりますか?

すべての大腿骨骨折で手術が必要になるわけではありません。

ただし、大腿骨は体重を支える骨であり、骨折部がずれやすいため、プレートや髄内釘による固定、人工骨頭置換術などが行われるケースは少なくありません。

骨折した場所や骨のずれ、年齢、全身状態によって治療方法が決まります。

骨がついた後も歩くと痛むことはありますか?

あります。

筋力低下、股関節や膝関節の可動域制限、軟部組織の損傷、神経への刺激、手術後の瘢痕などによって、歩行時の痛みが残ることがあります。

痛みが続く場合は、整形外科で原因を確認してもらいましょう。

大腿骨骨折後のしびれに鍼治療は受けられますか?

医療機関でしびれの原因を確認し、緊急性の高い神経障害や血流障害がないと判断された後であれば、補完的な施術として検討できる場合があります。

骨癒合や手術部位の状態によっては施術できないこともあります。

大腿骨にプレートや髄内釘が入っていても鍼治療を受けられますか?

状態によっては受けられる場合があります。

ただし、手術部位、傷口、感染の有無、固定材料の位置、服用薬などを確認する必要があります。

事前に主治医へ相談し、施術者にも手術内容を伝えてください。

整形外科と整骨院を併用できますか?

状況によっては併用できる場合があります。

ただし、骨折の診断、手術、投薬、画像検査、骨癒合の確認は医療機関で行う必要があります。

整骨院への通院を始める前に、医師と保険会社へ確認してください。

大腿骨骨折の慰謝料はいくらですか?

骨折名だけで一律には決まりません。

入院期間、通院期間、手術内容、後遺障害の有無、過失割合、慰謝料の算定基準などによって異なります。

正確な見込み額を確認したい場合は、診断書や治療記録、保険会社の提示内容をそろえて、交通事故に詳しい弁護士へ相談してください。

まとめ

交通事故による大腿骨骨折は、自動車同士の衝突、バイクや自転車からの転倒、歩行者への衝突、車体による圧迫など、身体へ大きな力が加わることで発生します。

骨折する場所によって、大腿骨頸部骨折、転子部骨折、骨幹部骨折、遠位部骨折などに分けられ、治療方法や後遺症も異なります。

主な症状は、太ももや脚の付け根の激しい痛み、腫れ、内出血、歩行不能、変形、しびれなどです。

治療では、プレート、スクリュー、髄内釘などを用いた骨接合術や、人工骨頭置換術などが行われることがあります。手術後は、関節の動きや筋力、歩行能力を回復させるためのリハビリが重要です。

治療後も、歩行痛、関節可動域制限、筋力低下、脚長差、しびれ、歩行障害などが残る可能性があります。

鍼治療は、大腿骨骨折を治したり、骨癒合を直接促進したりする治療ではありません。

医療機関で骨癒合や神経の状態を確認したうえで、骨折後に残る筋肉の緊張や歩行時の痛みなどに対する補完的な施術として検討します。

鍼灸整骨院かまたきでは、リハビリへ通っていても症状が変わらない方や、リハビリ終了後も歩行痛やしびれが残っている方からのご相談を受け付けています。

治療経過や現在の症状が分かる資料をお持ちのうえ、ご相談ください。