交通事故による変形性膝関節症とは?原因・症状・治療・後遺障害・慰謝料まで解説

交通事故後から膝の痛みが続き、病院で「変形性膝関節症」と診断されることがあります。「交通事故が原因で変形性膝関節症になることはある?」「事故前から少し膝が変形していた場合はどうなる?」「膝の痛みが残ったら後遺障害になる?」「慰謝料はどうなる?」など、不安や疑問を感じる方も多いでしょう。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨などが変化し、痛みや腫れ、動かしにくさなどが現れる疾患です。一般的には加齢などによるものが多いですが、骨折、靱帯損傷、半月板損傷などの外傷をきっかけとして発症することもあります。日本整形外科学会でも、骨折や靱帯・半月板損傷などの外傷の後遺症として変形性膝関節症が発症することがあると説明しています。
交通事故では膝へ非常に大きな力が加わることがあります。そのため事故後から膝の痛みや腫れが続いている場合には、「そのうち治るだろう」と放置せず、まず整形外科で原因を確認することが重要です。
この記事では、交通事故後の変形性膝関節症について、原因、症状、検査、治療、後遺症、後遺障害、慰謝料、事故前から変形性膝関節症があった場合の考え方、治療後の鍼施術まで詳しく解説します。
変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨などに変化が起こり、膝の痛み、腫れ、こわばり、可動域制限などが現れる疾患です。
日本整形外科学会によると、初期では立ち上がりや歩き始めなど動作開始時に痛みが現れ、進行すると正座や階段昇降が難しくなり、さらに進行すると安静時にも痛みが続いたり、膝が伸びにくくなったり、歩行が困難になったりすることがあります。
ただし、変形性膝関節症は一つの原因だけで起こるわけではありません。
加齢による軟骨の変化などによって発症する場合もあれば、交通事故などによる膝外傷が関係する場合もあります。
交通事故で変形性膝関節症になることはある?
あります。
ただし、交通事故で膝を打っただけで直ちに変形性膝関節症になる、という意味ではありません。
交通事故によって膝関節内の骨折や半月板損傷、靱帯損傷などが起こり、その影響によって膝関節の状態が変化し、後に変形性膝関節症へつながる場合があります。
日本整形外科学会も、変形性膝関節症について、骨折、靱帯損傷、半月板損傷などの外傷の後遺症として発症することがあると説明しています。
このようなものは「外傷後変形性膝関節症」などと呼ばれることがあります。
交通事故後に変形性膝関節症が起こる原因
交通事故では、ダッシュボードなどへ膝を強く打つ、バイクや自転車から転倒して膝を路面へ打ちつける、歩行中に車と衝突して膝をひねるなど、さまざまな形で膝へ大きな力が加わります。
その際に、膝関節周辺の骨折、半月板損傷、前十字靱帯・後十字靱帯などの靱帯損傷、関節軟骨の損傷などが起こることがあります。
これらの損傷によって関節面や膝の安定性などに問題が残ると、長期的に膝関節へ負担がかかり、変形性変化につながる可能性があります。
したがって、交通事故後の変形性膝関節症では、単に「軟骨がすり減った」という説明だけではなく、事故によって最初にどの組織を損傷したのかを確認することが重要です。
交通事故後に注意したい膝の症状
事故後に次のような症状がある場合には、膝関節に何らかの損傷が起きている可能性があります。
歩くと膝が痛い、膝が腫れている、膝に水がたまる、階段の上り下りで痛い、膝を完全に曲げ伸ばしできない、膝が引っかかる感じがする、膝がガクッとする、正座できない、長時間歩くと痛みが強くなるなどです。
現在の記事でも、歩行時や階段昇降時の痛み、腫れ、こわばり、可動域低下、変形などを主な症状として挙げています。
事故後からこのような症状が続いている場合には、単なる打撲だと自己判断しないようにしましょう。
変形性膝関節症の初期症状
初期では、常に強い痛みがあるとは限りません。
日本整形外科学会では、初期には立ち上がったときや歩き始めなどの動作開始時に痛みが現れ、休むと痛みが軽減することがあるとしています。
そのため、
「歩き始めだけ痛いから大丈夫」
「しばらくすると歩けるから問題ない」
と放置してしまう場合があります。
交通事故後から新しく膝の痛みが出た場合には、症状の強さだけで判断せず医師へ伝えることが大切です。
変形性膝関節症が進行するとどうなる?
変形性膝関節症が進行すると、階段昇降や正座が難しくなったり、膝の曲げ伸ばしが制限されたりすることがあります。
さらに進行すると、安静にしていても痛みが続く、膝が完全に伸びない、外見上の変形が目立つ、歩行そのものが難しくなるなど、日常生活への影響が大きくなる場合があります。
ただし、画像上の変形の程度と痛みの強さが必ずしも一致するとは限りません。
そのため、画像検査だけではなく、実際の痛みや膝の動き、歩行状態などを含めて評価する必要があります。
交通事故前から変形性膝関節症があった場合は?
この問題は、交通事故の記事として非常に重要です。
中高年になると、交通事故以前から膝関節に変形がみられることがあります。
そのため事故後にレントゲンを撮影して「変形性膝関節症があります」と言われても、
事故によって初めて発症したのか、事故前から存在していた変形なのか
を考える必要があります。
また、事故前から画像上の変形があったとしても、事故前には痛みなく生活できていたのに、事故を境に膝痛が現れるケースも考えられます。
この場合は「変形が事故前からあったか」だけではなく、事故前の症状、事故状況、事故直後の症状、画像所見、治療経過などを総合的に確認することが重要になります。
「事故前から変形があるから交通事故と関係ない」とは限らない
事故後に保険会社とのやり取りで問題になりやすい部分です。
変形性膝関節症は加齢などによっても起こるため、画像上の変形だけを見れば事故以前から存在していた可能性があります。
一方、事故前には日常生活で膝の痛みがなく、事故後から明確な痛みや腫れが出現したのであれば、事故による外傷との関係について医師に評価してもらうことが重要です。
事故との因果関係は記事だけで一律に判断できません。
事故前の状態と事故後の状態を比較できる診療記録や画像、事故直後からの症状の記録が重要になる場合があります。
変形性膝関節症の検査
変形性膝関節症が疑われる場合には、問診や診察に加えてX線(レントゲン)検査などが行われます。
日本整形外科学会では、診察やX線検査などによって診断し、必要に応じてMRI検査などを行うとしています。
交通事故の場合には、変形性膝関節症だけを確認するのではなく、事故によって骨折、半月板損傷、靱帯損傷などが起きていないかを確認することも重要です。
レントゲン検査
レントゲンでは、膝関節の骨の状態、関節裂隙の狭小化、骨棘などの変形性変化を確認します。
また、交通事故では骨折の有無を確認するためにも重要な検査になります。
MRI検査
症状や診察所見によってはMRI検査が検討される場合があります。
MRIでは半月板や靱帯、軟骨など、レントゲンでは評価しにくい組織を確認する際に役立ちます。
交通事故後に膝の痛みが続き、「レントゲンでは大きな異常がない」と言われても症状が改善しない場合には、主治医へ現在の症状を具体的に伝えましょう。
変形性膝関節症の治療
治療方法は、症状の程度、変形の進行度、年齢、生活状況などによって異なります。
日本整形外科学会では、症状が軽い場合には鎮痛薬、関節内注射、リハビリテーションなどを行い、改善が乏しい場合には手術療法を検討するとしています。
現在の記事でも薬物療法、リハビリ、関節内注射、手術などを紹介しており、この基本構成は残して問題ありません。
薬物療法
痛みが強い場合には、状態に応じて鎮痛薬などが使用されることがあります。
薬によって痛みをコントロールしながら、日常生活やリハビリを行いやすくすることなどが目的になります。
薬の種類や使用期間については、自己判断で変更せず医師の指示に従いましょう。
関節内注射
症状によっては膝関節内への注射が行われることがあります。
現在の記事ではヒアルロン酸やステロイド注射を挙げています。
どの治療が適しているかは膝の状態によって異なるため、医師と相談して決めます。
リハビリ
変形性膝関節症では、膝周辺の筋力や関節の動きを維持・改善するための運動療法などが重要になります。
日本整形外科学会でも、大腿四頭筋を強化する運動や関節可動域訓練などを治療として挙げています。
ただし、交通事故直後の場合には半月板損傷や靱帯損傷、骨折などを伴っている可能性があります。
そのため、事故直後から自己流でスクワットや強いストレッチを行うのではなく、まず損傷状態を確認してください。
手術が必要になることはある?
保存的な治療を行っても強い痛みや機能障害が続く場合には、手術が検討されることがあります。
変形の程度、年齢、活動性などによって治療方法は異なります。
現在の記事では関節鏡視下手術、骨切り術、人工膝関節置換術を挙げていますが、すべての患者さんがこの順序で手術を受けるわけではありません。
具体的な手術適応については整形外科医が膝の状態を評価して判断します。
変形性膝関節症で後遺症が残ることはある?
事故による膝外傷後に症状が長引く場合があります。
例えば、歩行時の膝痛、階段昇降時の痛み、膝の曲げ伸ばしの制限、膝の腫れ、長時間立っていられない、長距離を歩けないなどです。
現在の記事でも慢性痛、可動域制限、歩行困難などを挙げています。
ただし、医学的な意味で症状が残る「後遺症」と、自賠責保険上の「後遺障害」は同じではありません。
変形性膝関節症で後遺障害になることはある?
交通事故による膝外傷の治療を続けても一定の障害が残った場合には、状態によって後遺障害等級認定を検討することがあります。
国土交通省では、後遺障害を、交通事故による傷害が治ったときに身体に残った障害で、傷害との相当因果関係が認められ、その存在が医学的に認められるものとしています。
つまり、
「変形性膝関節症と診断された=後遺障害認定」
ではありません。
交通事故による傷害との因果関係と、治療後にどのような障害が残ったのかが重要になります。
膝が曲がらない・伸びない場合
交通事故後に膝の可動域制限が残ることがあります。
例えば、
「正座できなくなった」
「膝を完全に伸ばせない」
「反対側と比べて曲がらない」
「階段を普通に上り下りできない」
などです。
このような症状が残っている場合には、単に「膝が痛い」と伝えるだけではなく、具体的にどの動作ができないのかを主治医へ伝えておきましょう。
治療後に関節の機能障害が残った場合には、後遺障害の判断でも膝関節の可動域などが問題になることがあります。
膝の痛みが残った場合
可動域制限が大きくなくても、歩行時などの膝痛が残るケースがあります。
この場合にも、
「いつ痛むのか」
「何分くらい歩くと痛むのか」
「階段で痛むのか」
「仕事中にどのような支障があるのか」
などを具体的に医師へ伝えることが重要です。
後遺障害については診断名だけではなく、症状、画像所見、診療記録、治療経過などを含めて判断されます。
交通事故による変形性膝関節症の慰謝料
交通事故によって膝を負傷した場合には、治療費だけでなく、条件に応じて休業損害や慰謝料などが損害賠償の対象となります。
自賠責保険では傷害による損害として、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料などが対象となり、支払限度額は被害者1人につき120万円です。
ただし、
「変形性膝関節症なら120万円もらえる」
という意味ではありません。
120万円は慰謝料だけではなく、治療関係費、休業損害などを含む自賠責保険の傷害部分全体の限度額です。
変形性膝関節症の慰謝料はいくら?
慰謝料は「変形性膝関節症」という診断名だけでは決まりません。
治療期間、入院・通院状況、事故による傷害の程度、後遺障害の有無などによって変わります。
また、交通事故では自賠責基準だけでなく、事故の状況によって任意保険や裁判基準などが関係する場合があります。
そのため、
「変形性膝関節症なら慰謝料○万円」
と固定的な金額を示すことは適切ではありません。
仕事を休んだ場合は休業損害も確認する
膝の症状によって仕事ができず、休業する場合があります。
特に、長時間立つ仕事、歩き回る仕事、階段を頻繁に使用する仕事、重量物を扱う仕事などでは影響が大きくなる可能性があります。
自賠責保険では、傷害による損害として休業損害も対象となります。
会社員だけでなく、自営業者や家事従事者などでも状況によって休業損害が問題になるため、必要に応じて確認しましょう。
後遺障害が認定された場合の補償
交通事故による膝の障害が残り、後遺障害として認定された場合には、障害の程度に応じて逸失利益や慰謝料などが対象となります。
自賠責保険では、介護を要しない後遺障害について第1級から第14級まであり、支払限度額は第1級3,000万円から第14級75万円です。
ただし、変形性膝関節症という診断名だけで等級が決まるわけではありません。
事故によって生じた傷害と残存障害との因果関係、膝関節の機能、医学的所見などが重要になります。
症状が残っている状態で示談を急がない
膝の痛みや可動域制限が残っているにもかかわらず、保険会社から示談を提案される場合があります。
一度示談が成立すると、原則としてその内容を前提に解決することになるため、症状が残っている場合には慎重に判断する必要があります。
特に、膝の可動域制限や強い痛みが残り後遺障害を検討する可能性がある場合には、主治医へ今後の治療見通しを確認し、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談することも検討しましょう。
変形性膝関節症に鍼治療はできる?
現在の記事では、鍼治療について「局所の血行促進や神経の働きを調整することにより痛みを緩和」「副作用が少ない」と説明しています。
この部分は少し慎重な表現へ変更することをおすすめします。
鍼治療によって変形した膝関節を元の形へ戻したり、失われた軟骨を再生させたりすることはできません。
交通事故後の場合には、まず整形外科で骨折、半月板損傷、靱帯損傷などの有無を確認し、必要な治療を受けることが優先されます。
そのうえで、医療機関での治療やリハビリを続けても膝周辺の筋肉の張りや痛みなどが残っている場合には、身体の状態に応じて鍼施術を補助的な選択肢として検討することがあります。
鍼灸整骨院かまたきでできること
交通事故後の膝痛については、まず整形外科で原因を確認することが重要です。
鍼灸整骨院かまたきでは、変形性膝関節症そのものを「治す」「軟骨を再生する」という目的ではなく、医療機関での治療やリハビリと併用しながら、膝周辺の筋肉の緊張や身体の動かしにくさなどを確認して施術を検討します。
特に、事故後から膝の腫れが強い、膝がロックして動かない、膝が大きく不安定になる、急激に痛みが強くなったなどの場合には、鍼灸整骨院での施術より先に整形外科での評価を優先してください。
よくある質問
交通事故が原因で変形性膝関節症になることはありますか?
交通事故による骨折、靱帯損傷、半月板損傷などの外傷後に変形性膝関節症が発症することがあります。日本整形外科学会も、外傷の後遺症として発症する場合があるとしています。
事故前から変形性膝関節症があった場合はどうなりますか?
事故前から画像上の変形が存在していた可能性があります。一方で事故前には症状がなく、事故後から痛みなどが出たケースもあります。事故との関係については事故前後の症状、画像、診療記録、治療経過などを含めて判断する必要があります。
変形性膝関節症ではどんな症状が出ますか?
歩き始めの痛み、階段昇降時の痛み、膝の腫れ、こわばり、曲げ伸ばしの制限などがみられます。進行すると安静時にも痛みが続いたり、歩行が困難になったりすることがあります。
変形性膝関節症はレントゲンで分かりますか?
診察やレントゲン検査などによって診断します。必要に応じてMRIなどで半月板や靱帯などを確認することがあります。
交通事故後に膝が痛い場合は何科を受診しますか?
まず整形外科を受診することをおすすめします。交通事故では変形性膝関節症だけでなく、骨折、半月板損傷、靱帯損傷などを伴っている可能性があるためです。
変形性膝関節症で後遺障害になることはありますか?
交通事故による傷害との因果関係が認められ、治療後も医学的に認められる障害が残った場合には、後遺障害として認定される可能性があります。ただし、変形性膝関節症という診断名だけで認定されるわけではありません。
変形性膝関節症の慰謝料はいくらですか?
診断名だけで慰謝料額は決まりません。治療期間、入通院状況、事故による傷害の程度、後遺障害の有無などによって異なります。
変形性膝関節症に鍼治療はできますか?
鍼治療によって変形した関節を元の形へ戻したり軟骨を再生させたりすることはできません。まず医療機関で必要な治療を受け、その後も膝周辺の筋肉の張りや痛みなどが残る場合には、状態に応じて補助的な施術を検討します。
まとめ
変形性膝関節症は加齢などによって起こることが多い疾患ですが、交通事故による骨折、半月板損傷、靱帯損傷などの外傷後に発症する場合もあります。日本整形外科学会でも、外傷の後遺症として変形性膝関節症が起こることがあると説明しています。
交通事故後に膝の痛み、腫れ、曲げ伸ばしの制限、歩行時痛などがある場合には、「打撲だからそのうち治る」と自己判断せず、まず整形外科を受診してください。特に交通事故では、骨折、半月板損傷、靱帯損傷などが隠れている可能性があります。
また、事故前から膝に変形があった場合でも、事故前には症状がなかったのに事故後から痛みが現れるケースがあります。事故との因果関係については、事故前後の症状、画像所見、診療記録、治療経過などを総合的に確認することが重要です。
交通事故による傷害では、治療関係費、休業損害、慰謝料などが自賠責保険の対象となり、傷害部分の支払限度額は被害者1人につき120万円です。治療後も事故による障害が残り、後遺障害として認定された場合には、障害の程度に応じて逸失利益や慰謝料なども対象になります。
鍼灸整骨院を利用する場合には、整形外科で原因を診断→必要な治療・リハビリ→その後も残る筋肉の張りなどについて補助的な施術を検討するという流れがおすすめです。

