交通事故による下顎骨骨折とは?原因・症状・治療・後遺症・慰謝料を解説

交通事故で顔やあごを強く打ち、医療機関で「下顎骨骨折」と診断されることがあります。
下顎骨とは、一般的に「下あご」と呼ばれる骨です。食べ物を噛む、口を開閉する、会話をするといった日常生活に欠かせない働きを担っています。
下顎骨骨折が起こると、強い痛みや腫れだけでなく、
・上下の歯が正しく噛み合わない
・口を開けにくい
・食事ができない
・下唇やあご先がしびれる
・歯がぐらつく
・顔の形が左右非対称に見える
などの症状が現れる可能性があります。
下顎骨骨折は、骨折の位置や骨片のずれ、歯や神経の損傷によって治療方法が大きく異なります。
軽い骨折では、柔らかい食事やあごの安静によって治療する場合があります。一方、骨片がずれている、噛み合わせが合わない、複数箇所を骨折している場合などは、金属プレートやスクリューを用いた固定手術が必要になることがあります。
この記事では、交通事故による下顎骨骨折の原因、症状、検査、治療法、回復期間、後遺症、慰謝料や後遺障害認定、鍼治療を受ける際の注意点について詳しく解説します。
下顎骨骨折とは?
下顎骨は、顔の下部を構成するU字型の骨です。
左右の耳の前にある顎関節で頭蓋骨とつながっており、筋肉の働きによって上下左右に動きます。
下顎骨には下の歯が並び、骨の内部には下歯槽神経が通っています。
この神経は、下の歯、下唇、あご先などの感覚に関係しています。
交通事故によって下顎骨が骨折すると、骨そのものだけでなく、歯、歯ぐき、顎関節、咀嚼筋、神経などにも影響が及ぶ可能性があります。
下顎骨骨折が起こりやすい場所
下顎骨は形が複雑で、衝撃を受けた場所とは異なる部分が骨折することもあります。
主な骨折部位は次のとおりです。
・下顎骨正中部
・傍正中部
・下顎骨体部
・下顎角部
・下顎枝部
・筋突起部
・関節突起部
あご先を正面から強く打った場合でも、衝撃が左右へ伝わり、耳に近い関節突起を骨折することがあります。
複数箇所を同時に骨折する場合もあります。
交通事故で下顎骨骨折が起こる原因
自動車の正面衝突
正面衝突によって身体が前方へ投げ出され、あごをハンドル、ダッシュボード、座席などへ強くぶつけることで骨折する可能性があります。
エアバッグが作動していても、事故の角度や座席位置によっては顔面へ強い衝撃が加わります。
側面衝突
横方向から車が衝突すると、顔の片側をドア、窓、ピラーなどへぶつけることがあります。
片側からの衝撃によって、下顎骨体部や下顎角部、関節突起部などを骨折する可能性があります。
バイク・自転車事故
バイクや自転車から投げ出され、顔やあごを路面へ強く打ち付けることで骨折することがあります。
ヘルメットを着用していても、フルフェイス型でない場合は、あご周辺が直接地面へ衝突する可能性があります。
歩行者事故
歩行中に車にはねられ、車体や路面へ顔面を打ち付けることで下顎骨骨折を起こすことがあります。
頭部、頚椎、胸部などにも大きな損傷を伴う可能性があるため、顔面だけでなく全身の検査が必要です。
車内での転倒や衝突
急ブレーキや衝突によって、車内であごを座席や荷物へぶつけることでも骨折が起こる可能性があります。
下顎骨骨折の主な症状
症状は、骨折部位、骨片のずれ、歯や神経の損傷によって異なります。
あごの強い痛み
骨折部分に強い痛みが現れます。
特に次の動作で痛みが強くなることがあります。
・口を開ける
・口を閉じる
・食べ物を噛む
・会話をする
・つばを飲み込む
・あごに触れる
安静にしていてもズキズキと痛む場合があります。
顔やあごの腫れ
事故後、あごや頬が大きく腫れることがあります。
時間の経過とともに腫れや内出血が広がり、顔が左右非対称に見える場合もあります。
噛み合わせのずれ
下顎骨骨折で特に重要な症状が、噛み合わせの変化です。
次のような違和感が現れます。
・上下の歯が今までどおり合わない
・一部の歯だけが先に当たる
・あごが左右へずれている
・奥歯で噛めない
・前歯が合わない
・口を閉じにくい
交通事故後に噛み合わせが変わった場合は、下顎骨骨折や顎関節周辺の損傷が疑われます。
口を開けにくい
痛み、腫れ、筋肉の緊張、骨片のずれなどによって、口を十分に開けられなくなることがあります。
食事、歯磨き、会話などに支障が出る場合があります。
歯の損傷
下顎骨骨折では、歯や歯ぐきにも損傷が及ぶことがあります。
・歯が折れる
・歯がぐらつく
・歯が抜ける
・歯ぐきから出血する
・歯並びが変わる
・歯が骨折線に入り込む
歯の損傷についても、口腔外科や歯科での治療が必要です。
口の中からの出血
骨折線が歯ぐきや口腔内へ達すると、口の中から出血することがあります。
口腔内には細菌が多いため、骨折部が口の中とつながっている場合は感染リスクにも注意が必要です。
下唇やあご先のしびれ
下顎骨の内部には、下歯槽神経が通っています。
骨折によって神経が圧迫、牽引、切断されると、次の場所にしびれや感覚低下が生じる可能性があります。
・下唇
・あご先
・下の歯
・歯ぐき
下顎骨骨折では、骨折そのものや手術操作によって下歯槽神経が損傷し、感覚障害が生じる場合があります。
耳の前の痛み
関節突起部を骨折した場合は、耳の前にある顎関節周辺が痛むことがあります。
口を開けたときにあごが片側へ曲がる、口が開かない、噛み合わせがずれるなどの症状が現れる場合があります。
呼吸や飲み込みへの影響
重度の下顎骨骨折では、出血や腫れ、舌の位置の変化などによって気道が狭くなる危険があります。
次の症状がある場合は緊急対応が必要です。
・息が苦しい
・つばを飲み込めない
・口の中に血がたまる
・舌がのど側へ落ち込む
・意識がもうろうとしている
・声を出しにくい
直ちに救急受診すべき症状
交通事故後に次の症状がある場合は、救急車を呼ぶか、速やかに救急医療機関を受診してください。
・あごが明らかに変形している
・口を閉じられない
・噛み合わせが大きく変わった
・大量に出血している
・呼吸が苦しい
・飲み込めない
・歯が複数抜けた
・強い頭痛や吐き気がある
・意識を失った
・首に強い痛みがある
・手足にしびれや麻痺がある
交通事故による顔面外傷では、下顎骨骨折だけでなく、脳や頚椎などを同時に損傷している可能性があります。
下顎骨骨折は何科を受診する?
下顎骨骨折の診断と治療は、主に口腔外科、歯科口腔外科、形成外科などで行われます。
交通事故直後は、まず救急科で全身状態を確認し、その後、口腔外科などへ紹介される場合があります。
一般の歯科医院では対応が難しいこともあるため、下顎骨骨折が疑われる場合は、口腔外科のある病院を受診してください。
下顎骨骨折の検査
問診・視診・触診
医師や歯科医師が次の内容を確認します。
・事故状況
・顔面を打った場所
・噛み合わせ
・口の開閉
・腫れや出血
・歯の損傷
・骨の段差
・下唇やあご先の感覚
・顎関節の動き
パノラマレントゲン
上下のあご、歯、顎関節周辺を広い範囲で撮影する検査です。
骨折線や歯の状態を確認するために用いられます。
顔面CT検査
CTでは、骨折の位置、骨片のずれ、複数箇所の骨折、顎関節周辺の状態などを立体的に確認できます。
手術が必要かどうかを判断するうえでも重要です。
歯の検査
骨折線にかかっている歯、折れた歯、ぐらついている歯、歯髄の損傷などを確認します。
歯を残すか抜歯するかは、感染、歯の損傷、骨折部の安定性などを考えて判断します。
神経の検査
下唇やあご先の触覚、痛覚、温度感覚などを確認します。
しびれの範囲や程度は、治療後の経過や後遺障害認定でも重要になるため、事故直後から記録しておくことが大切です。
下顎骨骨折の治療方法
治療の目的は、骨を正しい位置で癒合させ、噛み合わせ、口の開閉、咀嚼、発音などの機能を回復させることです。
保存療法
骨片のずれが少なく、噛み合わせが安定している軽度の骨折では、手術をせずに治療する場合があります。
主な治療内容は次のとおりです。
・あごを安静にする
・柔らかい食事や流動食にする
・鎮痛薬を使用する
・必要に応じて抗菌薬を使用する
・定期的に画像検査を受ける
・噛み合わせを確認する
軽い下顎骨骨折では、噛まない食事を続けながら自然な骨癒合を待つ場合があります。
顎間固定
上あごと下あごの歯を、ワイヤーや専用器具で固定し、骨折部を動かさないようにする方法です。
固定期間中は口を十分に開けられないため、食事は液体やペースト状のものが中心になります。
顎間固定中は、次の点に注意します。
・口腔内を清潔に保つ
・医師が指示した食事を守る
・体重減少や栄養不足に注意する
・嘔吐時の対応を確認する
・固定器具を自己判断で外さない
観血的整復固定術
骨片のずれが大きい、噛み合わせが合わない、複数箇所の骨折がある場合などは手術が検討されます。
手術では、骨折した骨を正しい位置へ戻し、金属プレートやスクリューで固定します。
骨折部を直接固定することで、顎間固定の期間を短くできる場合があります。
歯の治療
交通事故で歯が折れた、抜けた、ぐらついた場合は、骨折治療と並行して歯科治療を行います。
抜けた歯を保存できるかどうかは時間の影響を受けるため、自己判断で捨てず、できるだけ早く歯科医師へ見せてください。
薬物療法
状態に応じて次の薬が使用されます。
・鎮痛薬
・消炎鎮痛薬
・抗菌薬
・うがい薬
薬だけで骨折を治すことはできません。
骨折部を安定させ、感染を防ぎながら骨がつくのを待つ必要があります。
下顎骨骨折後の食事
骨折直後や顎間固定中は、硬い物を噛めません。
医師や管理栄養士の指導に従い、次のような食事を選びます。
・スープ
・おかゆ
・ポタージュ
・ヨーグルト
・豆腐
・卵料理
・栄養補助飲料
・ミキサー食
・柔らかく煮た食品
骨の回復には、十分なエネルギーとたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどが必要です。
体重減少や栄養不足がある場合は、医療機関へ相談してください。
口腔内のケア
口の中を不潔にすると、骨折部や手術部に感染が起こる可能性があります。
医師の指示に従い、歯磨き、洗口液、器具周辺の清掃を行います。
無理に口を開けたり、手術部を強く触ったりしてはいけません。
リハビリテーション
骨折が安定し、医師から許可が出た後は、口を開ける練習などを行います。
固定期間が長いと、顎関節や咀嚼筋が硬くなり、口が開きにくくなることがあります。
リハビリの目的は次のとおりです。
・口の開閉範囲を回復する
・噛む機能を取り戻す
・顎関節の動きを整える
・左右差を改善する
・会話や食事をしやすくする
自己流で無理に口を大きく開けると、痛みや炎症が悪化する可能性があります。
必ず主治医の指導に従ってください。
下顎骨骨折の回復期間
回復期間は、骨折部位、骨片のずれ、手術の有無、感染、年齢、全身状態などによって異なります。
一般的には、骨が安定するまで数週間から数か月を要します。
その後も、噛み合わせ、口の開閉、しびれなどの回復に時間がかかる場合があります。
治療期間中は、医師の許可が出るまで硬い物を噛んだり、あごへ強い力が加わる運動をしたりしないでください。
下顎骨骨折で残る可能性がある後遺症
噛み合わせの異常
骨がずれた状態で癒合したり、歯を失ったりすると、上下の歯が正しく噛み合わない状態が残る可能性があります。
噛み合わせが悪いと、食べ物を噛みにくいだけでなく、顎関節や咀嚼筋へ負担がかかります。
口が開きにくい
固定や手術後に顎関節や筋肉が硬くなると、開口障害が残る場合があります。
食事、歯磨き、歯科治療、会話などに支障が出る可能性があります。
顎関節の痛み
関節突起骨折や噛み合わせの変化によって、顎関節周辺に痛み、音、引っかかりなどが残ることがあります。
慢性的なあごの痛み
骨折部、固定プレート、筋肉、顎関節などの影響によって、慢性的な痛みが残る場合があります。
下唇・あご先のしびれ
下歯槽神経やオトガイ神経が損傷すると、下唇やあご先のしびれ、感覚低下、異常感覚などが長期間残ることがあります。
外傷による神経損傷では、徐々に感覚が回復することもありますが、損傷の程度によっては症状が残る可能性があります。
歯の喪失・歯の機能障害
事故によって歯を失ったり、歯の神経が損傷したりすると、差し歯、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどが必要になる場合があります。
顔の変形や左右差
骨が変形して癒合すると、あごの輪郭や顔の左右差が残る可能性があります。
外見上の変化が大きい場合は、精神的な負担にもつながります。
発音への影響
口の開閉制限、歯の喪失、噛み合わせの異常などにより、言葉を発音しにくくなることがあります。
食事への影響
噛む力が低下すると、硬い食品を食べられない、食事に時間がかかる、食べ物を細かくできないなどの問題が生じる可能性があります。
下顎骨骨折で請求できる損害
交通事故との因果関係と治療の必要性が認められれば、次の損害を請求できる可能性があります。
・救急搬送費
・診察費
・手術費
・入院費
・通院費
・薬代
・歯科治療費
・差し歯や入れ歯などの費用
・通院交通費
・付添看護費
・休業損害
・入通院慰謝料
・後遺障害慰謝料
・逸失利益
・将来の治療費
入通院慰謝料
入通院慰謝料は、骨折による痛みや、入院・通院を余儀なくされた精神的苦痛に対する補償です。
金額は主に次の要素によって異なります。
・入院期間
・通院期間
・実通院日数
・手術の有無
・顎間固定の期間
・骨折の重症度
・歯の損傷
・被害者側の過失割合
・使用する慰謝料基準
休業損害
骨折や手術によって仕事を休み、収入が減少した場合は、休業損害を請求できる可能性があります。
次の仕事では、あごの骨折による影響が大きくなる場合があります。
・接客業
・営業職
・教師
・電話対応を行う仕事
・歌手や声を使う仕事
・飲食業
・力仕事
・運転業務
医師へ仕事内容と、食事や会話、体力面での支障を具体的に伝えてください。
後遺障害慰謝料
治療後も噛み合わせ、咀嚼、発音、開口、神経症状、顔の変形などが残り、後遺障害等級に認定された場合は、後遺障害慰謝料を請求できる可能性があります。
逸失利益
後遺障害によって仕事への支障が残り、将来の収入が減少すると考えられる場合は、逸失利益を請求できる可能性があります。
下顎骨骨折と後遺障害認定
下顎骨骨折後に症状が残った場合は、次の後遺障害が問題になる可能性があります。
・咀嚼機能の障害
・言語機能の障害
・歯の障害
・下唇やあご先の神経症状
・顔面の変形や傷あと
・顎関節の運動障害
国土交通省の後遺障害等級表には、咀嚼・言語機能の障害、歯の障害、外貌の醜状、神経症状などに関する項目があります。
具体的な等級は、残った症状と医学的所見によって個別に判断されます。
後遺障害認定で確認される内容
主に次の資料や状態が確認されます。
・事故状況
・初診時の診断
・レントゲンやCT画像
・骨折部位
・骨片のずれ
・手術記録
・噛み合わせ
・口を開けられる範囲
・食べられる食品
・発音への影響
・歯の欠損
・下唇やあご先の感覚
・顔面の左右差
・治療経過
・仕事や日常生活への影響
・後遺障害診断書
後遺障害診断書は医師が作成する
後遺障害診断書は、医師または治療内容に応じた歯科医師が作成します。
整骨院や鍼灸院では作成できません。
症状が長引いている場合は、主治医へ次の内容を具体的に伝えてください。
・どの程度口を開けられるか
・どの食品を食べられないか
・噛むとどこが痛むか
・話しにくい言葉があるか
・下唇やあご先のしびれ
・仕事で困っていること
・日常生活で困っていること
症状固定とは?
症状固定とは、治療を続けても大幅な改善が期待しにくいと医学的に判断された状態です。
症状固定の時期は、保険会社が一方的に決めるものではありません。
骨の癒合、噛み合わせ、歯科治療、口の開閉、神経症状などを確認し、主治医が判断します。
下顎骨骨折に鍼治療は有効?
下顎骨骨折に対する鍼治療の位置づけには、十分な注意が必要です。
鍼治療で骨折は治せない
鍼治療によって、折れた下顎骨を正しい位置へ戻したり、骨片を固定したりすることはできません。
また、ずれた噛み合わせや折れた歯を治すこともできません。
下顎骨骨折の治療の中心は、口腔外科で行う次の治療です。
・画像検査
・骨折部の整復
・顎間固定
・プレートやスクリューによる固定
・歯科治療
・感染予防
・開口訓練
鍼治療は、これらに代わるものではありません。
骨折が安定する前は鍼治療を受けない
事故直後、手術前、手術直後、骨が癒合していない時期、口腔内に感染がある場合は、鍼治療を優先してはいけません。
まず口腔外科で骨折と噛み合わせを安定させる必要があります。
骨癒合後の筋肉の緊張への補助的な施術
骨折が安定し、主治医から許可が出た後であれば、咀嚼筋や首肩周辺の筋肉の緊張、慢性的な筋肉痛などに対し、補助的な施術として鍼治療を検討する場合があります。
ただし、効果には個人差があります。
下唇やあご先のしびれへの鍼治療
下唇やあご先のしびれは、下歯槽神経などの損傷が関係している可能性があります。
鍼治療を受ける前に、口腔外科で神経損傷の程度を確認してください。
神経が切断されている、骨片や固定器具によって圧迫されている場合などは、鍼治療で原因を取り除くことはできません。
手術後に鍼治療を受ける際の注意点
手術後に鍼治療を検討する場合は、次の条件を確認します。
・骨折部が安定している
・手術創が治っている
・感染がない
・主治医から許可を得ている
・プレートやスクリューの位置を伝える
・抗凝固薬の使用を伝える
・しびれの範囲を伝える
手術部や口腔内の感染リスクがある場所へ、安易に鍼を刺してはいけません。
自賠責保険で鍼治療を受けられる?
交通事故後の鍼灸施術費が補償対象になるかは、医師の指示、施術の必要性、保険会社の承認などによって異なります。
鍼治療を始める前に、次の確認をしてください。
1.主治医へ鍼治療を受けてもよいか相談する
2.施術の対象となる症状を確認する
3.保険会社へ事前に連絡する
4.施術費が補償されるか確認する
5.口腔外科への定期通院を継続する
事前確認をせずに通院すると、施術費が補償されない可能性があります。
鍼灸整骨院かまたきでの対応
鍼灸整骨院かまたきでは、下顎骨骨折そのものを治療することはできません。
骨折の診断、画像検査、整復、手術、噛み合わせの調整、歯の治療は、口腔外科や歯科で行います。
当院で相談を受け付けるのは、原則として次の条件を満たす方です。
・口腔外科で下顎骨骨折の診断を受けている
・必要な手術や固定治療を終えている
・骨折部が安定している
・主治医から施術を禁止されていない
・感染がない
・口腔外科で現在の症状を確認している
・保険会社への確認が済んでいる
・骨癒合後も周辺筋肉の緊張や慢性的な痛みが残っている
次の症状がある場合は、当院への来院より口腔外科を優先してください。
・噛み合わせが変わった
・口が開かない
・腫れが強くなった
・発熱している
・口の中から膿が出る
・傷口が開いた
・しびれが悪化している
・プレート周辺が痛む
・呼吸や飲み込みが苦しい
よくある質問
下顎骨骨折とは何ですか?
下あごを構成する下顎骨が、交通事故などの強い外力によって折れた状態です。
交通事故で下顎骨骨折になることはありますか?
正面衝突、側面衝突、バイク・自転車事故、歩行者事故などで顔やあごへ強い衝撃が加わると発生する可能性があります。
下顎骨骨折の主な症状は何ですか?
あごの痛み、腫れ、噛み合わせのずれ、口の開閉制限、歯の損傷、下唇やあご先のしびれなどがあります。
噛み合わせが変わった場合は骨折ですか?
下顎骨骨折や顎関節周辺の損傷が疑われます。早急に口腔外科を受診してください。
口を開けられない場合はどうすればよいですか?
骨折や顎関節の損傷が考えられます。無理に開けず、口腔外科や救急医療機関を受診してください。
下唇がしびれることはありますか?
下顎骨内を通る下歯槽神経などが損傷すると、下唇やあご先にしびれや感覚低下が生じる場合があります。
下顎骨骨折は何科を受診しますか?
口腔外科、歯科口腔外科、形成外科などが担当します。交通事故直後は救急科を受診し、専門科へ紹介される場合があります。
下顎骨骨折はレントゲンで分かりますか?
パノラマレントゲンなどで確認できる場合がありますが、複雑な骨折や骨片のずれを詳しく調べるにはCTが重要です。
下顎骨骨折は必ず手術しますか?
骨片のずれが少なく、噛み合わせが安定している場合は保存療法を行うことがあります。ずれが大きい場合などは手術が検討されます。
手術では何をしますか?
骨折した骨を正しい位置へ戻し、金属プレートやスクリューで固定する方法などがあります。
顎間固定とは何ですか?
上あごと下あごをワイヤーや専用器具で固定し、骨折部を動かさないようにする治療です。
固定中は食事できますか?
液体食、ペースト食、柔らかい食事などが中心になります。医師や管理栄養士の指示に従ってください。
下顎骨骨折はどれくらいで治りますか?
骨折の状態によって異なりますが、骨が安定するまで数週間から数か月を要します。噛み合わせやしびれの回復にはさらに時間がかかる場合があります。
下顎骨骨折で後遺症は残りますか?
噛み合わせの異常、開口障害、顎関節痛、慢性痛、歯の喪失、下唇やあご先のしびれなどが残る可能性があります。
しびれは治りますか?
神経損傷の程度によって異なります。徐々に回復する場合もありますが、強い損傷では長期間残る可能性があります。
交通事故の下顎骨骨折で慰謝料を請求できますか?
事故との因果関係と治療の必要性が認められれば、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などを請求できる可能性があります。
歯の治療費も請求できますか?
事故によって歯が折れた、抜けたなどの因果関係が認められれば、必要な歯科治療費を請求できる可能性があります。
仕事を休んだ場合は補償されますか?
医師が休業の必要性を認め、実際に収入が減少したことを証明できれば、休業損害を請求できる可能性があります。
下顎骨骨折は後遺障害になりますか?
咀嚼、発音、歯、神経症状、顔面の変形などが残り、所定の要件を満たす場合は認定される可能性があります。
しびれだけでも後遺障害になりますか?
事故との因果関係、症状の一貫性、神経学的所見、治療経過などが認められれば、神経症状として審査される可能性があります。
後遺障害診断書は整骨院で書けますか?
書けません。医師または治療内容に応じた歯科医師が作成します。
下顎骨骨折に鍼治療は有効ですか?
鍼治療で骨折を治したり、噛み合わせを戻したりすることはできません。骨折が安定した後に、周辺筋肉の緊張や慢性的な痛みへの補助的な施術として検討される場合があります。
骨折直後から鍼治療を受けられますか?
受けるべきではありません。まず口腔外科で骨折の整復、固定、手術などを受けてください。
手術後に鍼治療を受けられますか?
骨折部と手術創が安定し、感染がなく、主治医から許可を得た後であれば検討できる場合があります。
あごのしびれに鍼治療を受けてもよいですか?
先に口腔外科で神経損傷や骨片、固定器具による圧迫がないか確認してください。
鍼治療費は自賠責保険から支払われますか?
医師の指示、施術の必要性、保険会社の承認などが必要になる場合があります。施術開始前に確認してください。
示談はいつ行えばよいですか?
骨折、歯の治療、噛み合わせ、しびれなどの経過が確定し、後遺障害申請の必要性を確認してから示談するのが基本です。
まとめ
交通事故による下顎骨骨折は、あごの痛みや腫れだけでなく、噛み合わせ、食事、発音、口の開閉、歯、神経などへ広く影響する可能性がある顔面外傷です。
主な症状には次のものがあります。
・あごの強い痛み
・腫れや内出血
・噛み合わせのずれ
・口を開けにくい
・歯の破折やぐらつき
・下唇やあご先のしびれ
・顔の左右差
特に、呼吸が苦しい、飲み込めない、大量に出血している、噛み合わせが大きく変わった場合は、直ちに救急医療機関を受診してください。
治療は、骨片のずれや噛み合わせの状態に応じて、柔らかい食事による保存療法、顎間固定、プレートやスクリューを用いた固定手術などが行われます。
治療後も噛み合わせの異常、開口障害、顎関節痛、歯の障害、下唇やあご先のしびれが残った場合は、後遺障害認定を申請できる可能性があります。
鍼治療は、折れた下顎骨やずれた噛み合わせを治すものではありません。
骨折が安定し、主治医から許可を得た後に、周辺筋肉の緊張や慢性的な筋肉痛への補助的な施術として検討しましょう。

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