交通事故による頬骨骨折|症状・手術・後遺症・後遺障害・慰謝料を解説

交通事故で顔をハンドルやダッシュボード、窓ガラスなどに強くぶつけたり、バイクや自転車事故で顔面を路面に打ちつけたりすると、頬骨を骨折することがあります。事故後に「頬が大きく腫れた」「頬の感覚が鈍い」「口を開けにくい」「物が二重に見える」「顔の左右差が気になる」といった症状がある場合には、頬骨骨折やその周囲の損傷が隠れている可能性があります。
頬骨は顔の輪郭を作るだけでなく、眼窩や上顎などとつながっているため、骨折すると見た目の変形だけでなく、目の症状、開口障害、咀嚼障害、しびれなどが起こることがあります。この記事では、交通事故による頬骨骨折の原因、症状、検査、治療、手術、後遺症、後遺障害、慰謝料、リハビリ後に残った症状への対応について詳しく解説します。
頬骨骨折とは?
頬骨は、いわゆる「頬の高い部分」を形成する顔面骨の一つです。頬骨は上顎骨、前頭骨、側頭骨、蝶形骨などとつながり、眼球が収まる眼窩の外側や下側の一部も構成しています。
そのため、交通事故などによって頬骨へ強い衝撃が加わると、頬骨だけでなく眼窩周囲や上顎などを含めて損傷する場合があります。
骨折の場所によっては「頬骨弓骨折」などと呼ばれることもあり、口を開ける動作や咀嚼に影響が出ることがあります。
交通事故で頬骨骨折が起こる原因
交通事故は頬骨骨折を起こす代表的な原因の一つです。
自動車事故では、衝突時に顔面をハンドル、ダッシュボード、ドア、窓ガラスなどへ強くぶつけることで頬骨を骨折する場合があります。また、シートベルトを着用していても事故の方向や衝撃の強さによっては顔面に大きな力が加わることがあります。
バイクや自転車事故では、転倒した際に顔から路面へ落下し、頬骨へ直接強い衝撃が加わるケースがあります。
歩行者と自動車の事故でも、車両への衝突や転倒によって顔面を負傷し、頬骨骨折を起こす可能性があります。
頬骨骨折の主な症状
頬骨骨折では骨折部の痛みや腫れだけでなく、目や口、顔面の感覚などにさまざまな症状が出ることがあります。
頬の強い腫れや痛み
事故直後から頬に強い痛みや腫れが現れることがあります。皮下出血によって目の周囲が青紫色になる場合もあります。
事故直後は腫れによって顔の形が分かりにくいことがありますが、腫れが引いてから頬がへこんでいることに気づくケースもあります。
顔の左右差や頬のへこみ
骨折した頬骨が内側へずれると、事故前より頬が平らになったり、左右の顔の輪郭が違って見えたりすることがあります。
骨折の程度によっては、治療後も顔貌の変化が残る場合があります。
頬・上唇・鼻の横のしびれ
頬骨周辺には眼窩下神経が走っています。骨折によってこの神経が圧迫・損傷すると、頬、上唇、鼻の横などにしびれや感覚の鈍さが出ることがあります。
事故後に「触っても感覚が分かりにくい」「頬がピリピリする」「上唇の感覚がおかしい」といった症状がある場合には、医師へ伝えることが重要です。
口が開けにくい
頬骨弓が内側へずれると、下顎を動かす筋肉や骨の動きに影響し、口を十分に開けられなくなることがあります。
食事をするときに口が開かない、硬い物を噛みにくいといった開口障害や咀嚼障害が起こる場合があります。
物が二重に見える
頬骨骨折では眼窩周囲も損傷することがあり、眼球を動かす筋肉などに影響すると、物が二重に見える「複視」が起こる場合があります。
特に上や下を見たときに物が二重に見える場合などは注意が必要です。
目がくぼんで見える
眼窩を構成する骨が損傷し、その容積が変化すると、眼球が奥へ入り込んで見える「眼球陥凹」が起こることがあります。
見た目だけでなく、複視などの視機能障害を伴うこともあります。
交通事故後にこんな症状があれば早めに受診
交通事故後に、頬の強い腫れや変形、目の周囲の内出血、頬や上唇のしびれ、口を開けにくい、噛みにくい、物が二重に見える、目が動かしにくい、目がくぼんだように見えるといった症状がある場合には、早めに医療機関を受診してください。
顔面骨折では、見た目だけでは骨折の程度を判断できないことがあります。
特に視力低下、強い眼痛、急激な視覚異常などがある場合には、速やかな医療機関の受診が必要です。
頬骨骨折は何科を受診する?
頬骨骨折が疑われる場合には、形成外科、口腔外科、耳鼻咽喉科など、顔面骨折を扱う医療機関で診察を受けることがあります。
目の症状を伴っている場合には、眼科と連携して診察や検査を行うこともあります。
事故直後でどこを受診すればよいか分からない場合には、救急外来などを受診し、必要な診療科へ紹介してもらう方法もあります。
頬骨骨折の検査
頬骨骨折では、事故の状況や顔面の腫れ、変形、しびれ、開口状態、目の動きなどを確認したうえで画像検査を行います。
レントゲン検査
骨折の有無を確認するために使用される場合があります。ただし、顔面骨は複数の骨が重なっているため、通常のレントゲンだけでは骨折の状態が十分に分からない場合があります。
CT検査
頬骨骨折ではCT検査が重要です。
CTでは骨折している場所、骨のずれ、眼窩への影響などを詳しく確認できます。必要に応じて3D画像を作成し、骨折状態や手術方法を検討することもあります。
頬骨骨折の治療
治療方法は、骨のずれ、顔面の変形、開口障害、複視などの症状によって異なります。
骨のずれが少ない場合
骨折があっても骨のずれがほとんどなく、顔面の変形や目・口などの機能障害が認められない場合には、経過観察となることがあります。
痛みに対して鎮痛薬などを使用しながら骨の治癒を待ちます。
ただし、骨折した直後は腫れによって変形が分かりにくいため、医師の指示に従って経過を確認することが大切です。
骨のずれが大きい場合
頬骨が大きくずれている、頬がへこんでいる、口を開けにくい、複視があるなどの場合には、骨を正常に近い位置へ戻す整復手術が検討されます。
骨を正しい位置へ戻したあと、必要に応じてプレートやスクリューなどを使用して固定します。
日本口腔外科学会では、顔面骨折の多くは必ずしも緊急手術ではなく、状態に応じて早期に整復固定を行い、顔面の機能障害や変形をできる限り残さないことを目的に治療すると説明しています。
なぜ早めの治療が重要なの?
骨折した骨は時間が経つとその位置で癒合していきます。
大きくずれた状態で骨が固まってしまうと、あとから正しい位置へ戻すことが難しくなる場合があります。
頬骨骨折では顔貌だけでなく、開口障害、複視、眼球陥凹などが関係することがあるため、症状がある場合には早い段階で専門医による評価を受けることが重要です。
頬骨骨折の治療後に残る可能性がある後遺症
頬骨骨折では治療後も一定の症状が残ることがあります。
顔のしびれや感覚障害
眼窩下神経が損傷している場合には、骨折が治ったあとも頬や上唇などのしびれや感覚低下が残ることがあります。
神経症状は徐々に改善する場合もありますが、損傷の程度によっては長期間残る可能性があります。
複視
眼窩周囲の損傷によって眼球運動に問題が残ると、治療後も物が二重に見える症状が続く場合があります。
複視が残ると車の運転や仕事、日常生活にも大きな影響が出る可能性があります。
顔貌の変化
骨折した骨の位置によっては、頬のへこみや顔の左右差などが残ることがあります。
交通事故による顔面の変形や傷あとが一定の基準を満たす場合には、後遺障害の「外貌の醜状」として評価される可能性があります。
開口障害
頬骨弓などの変形によって口の動きが妨げられると、口を十分に開けられない状態が残ることがあります。
食事や歯科治療などにも影響する可能性があります。
痛み
骨折部周辺の痛みや違和感が治療後も残る場合があります。
しびれや痛みなどの神経症状が長期間残った場合には、症状の程度や医学的な所見によって後遺障害として検討されることがあります。
頬骨骨折は後遺障害になる?
交通事故による頬骨骨折で治療後も症状が残った場合には、その症状に応じて後遺障害等級認定を検討することがあります。
頬骨骨折そのものに一律の後遺障害等級が設定されているわけではありません。
残った症状によって、外貌の醜状、複視などの眼球運動障害、咀嚼機能への障害、神経症状など、それぞれ異なる基準で評価されます。
自賠責保険では、外貌に著しい醜状を残すもの、相当程度の醜状を残すもの、醜状を残すものなどについて後遺障害等級が定められています。また、複視についても症状の程度によって後遺障害等級の対象になる場合があります。
そのため、症状が残っている場合には「骨折は治ったから終了」と自己判断せず、主治医に具体的な症状を伝えておくことが大切です。
後遺障害診断書が重要
後遺障害の申請では、医師が作成する後遺障害診断書が重要な資料になります。
頬骨骨折の場合には、顔貌の変化、しびれ、複視、開口障害など、実際に残っている症状を適切に記録してもらうことが重要です。
CTなどの画像検査、眼科検査、神経症状の診察結果なども、症状を医学的に説明する資料となる場合があります。
頬骨骨折による慰謝料
交通事故の被害者が頬骨を骨折した場合には、事故状況などによって治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料などが補償の対象になる可能性があります。
自賠責保険では、傷害による損害について治療関係費、休業損害、慰謝料などを含め、被害者1人につき120万円が支払限度額となっています。
さらに、治療後に後遺障害が認定された場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益などが補償の対象となる可能性があります。
後遺障害については、介護を要する一部の重度障害を除き、第1級3,000万円から第14級75万円まで、自賠責保険の支払限度額が設定されています。
ただし、これは自賠責保険の支払限度額であり、実際の損害賠償額そのものではありません。
顔貌の変化が残った場合の補償
頬骨骨折では、顔の左右差やへこみなど、外見上の変化が問題になることがあります。
自賠責保険の後遺障害等級では、外貌に残った醜状についても一定の基準が設けられています。
顔は日常生活でも人から見られる部分であるため、交通事故によって目立つ変形や傷あとが残った場合には、単なる見た目の問題として自己判断せず、主治医や必要に応じて交通事故に詳しい弁護士などへ相談することも重要です。
整形外科・口腔外科などと整骨院の役割
頬骨骨折が疑われる場合には、まず医療機関で診断と治療を受けることが最優先です。
整骨院ではCTなどによる画像検査や、顔面骨折の整復手術を行うことはできません。
そのため、事故直後の顔面の腫れ、変形、しびれ、複視、開口障害などは、必ず医療機関で評価を受けてください。
骨折の治療後に首や肩など周囲の症状が残っている場合には、医師による治療を受けながら整骨院で施術を受けるケースがあります。
頬骨骨折後の症状に鍼治療はできる?
鍼治療によって、ずれた頬骨を元の位置へ戻したり、骨折そのものを治したりすることはできません。
頬骨骨折では、まず形成外科や口腔外科などで適切な診断・治療を受けることが最も重要です。
そのうえで、骨折が安定し医師による治療が行われたあとにも、事故に伴う周囲の筋肉の緊張や痛みなどが残っている場合には、身体の状態に応じて鍼施術を補助的に検討することがあります。
特に顔面骨折後の症状では、眼球や神経など重要な組織が関係している可能性があるため、自己判断で患部へ施術するのではなく、医師による評価を優先します。
千葉市で交通事故後の症状にお悩みの方へ
交通事故による頬骨骨折では、骨折した骨を治すだけでなく、複視、しびれ、開口障害、顔貌の変化などが残っていないかを確認することが重要です。
鍼灸整骨院かまたきでは、顔面骨折そのものの診断や整復は行えませんが、医療機関で骨折の治療を受けたあとに残った首や肩などの痛み、筋肉の緊張などについてご相談を受けています。
「交通事故後の症状がなかなか改善しない」「リハビリが終了したけれど身体の痛みが残っている」といった場合にはご相談ください。
まとめ
交通事故による頬骨骨折では、頬の痛みや腫れだけでなく、頬のへこみ、顔の左右差、頬や上唇のしびれ、口が開けにくい、物が二重に見える、眼球がくぼんで見えるなどの症状が起こることがあります。
頬骨は眼窩や上顎などと関係しているため、「顔をぶつけただけ」と自己判断せず、症状がある場合には形成外科、口腔外科など顔面骨折を扱う医療機関で診察を受けることが重要です。
治療後に顔貌の変化、複視、しびれ、開口障害などが残った場合には、後遺障害として評価される可能性があります。事故後から症状や治療経過を適切に記録し、症状が残っている場合には主治医へ具体的に伝えておきましょう。

