交通事故で視力低下が起こる原因とは?症状・治療・後遺障害・慰謝料を解説

交通事故のあと、「以前より見えにくくなった」「視界がぼやける」「物が二重に見える」「視野の一部が欠けている気がする」といった症状が現れることがあります。
交通事故による視力低下は、眼を直接ぶつけた場合だけに起こるものではありません。眼球そのものの損傷、眼窩骨折、網膜や視神経の損傷、さらに頭部外傷によって視覚に関係する部分が損傷した場合にも、見え方に異常が現れる可能性があります。
交通事故後に急激な視力低下や視野の異常、複視などが現れた場合には、整骨院で様子を見るのではなく、まず眼科や救急外来など適切な医療機関を受診することが重要です。
この記事では、交通事故による視力低下の原因、症状、検査、治療法、後遺症、後遺障害認定、慰謝料について詳しく解説します。
交通事故で視力低下が起こる原因
交通事故による視力低下には、さまざまな原因が考えられます。事故の衝撃が眼球へ直接加わるケースだけでなく、眼の周囲や頭部への衝撃によって視覚に関係する組織が損傷することもあります。
眼球への直接的な外傷
事故の衝撃で顔や眼の周囲をハンドル、ダッシュボード、エアバッグなどにぶつけると、眼球に強い力が加わることがあります。
その結果、角膜、水晶体、虹彩、硝子体などが損傷し、視力低下につながる可能性があります。
眼球内に出血が起こった場合にも、視界がぼやけたり見えにくくなったりすることがあります。
網膜の損傷
網膜は、眼に入ってきた光を受け取り、その情報を脳へ送る重要な組織です。
交通事故による強い衝撃によって網膜が損傷したり、網膜剥離などが起こったりすると、視力低下や視野異常につながることがあります。
視神経の損傷
視神経は、眼から得た視覚情報を脳へ伝える役割を持っています。
交通事故で顔面や頭部へ強い衝撃が加わると、眼球自体に大きな外傷がなくても視神経が損傷し、視力に影響が出る可能性があります。
眼窩骨折
眼球が収まっている頭蓋骨のくぼみを「眼窩」といいます。
交通事故で顔面を強くぶつけると眼窩骨折が起こり、眼球運動に関係する筋肉や周辺組織に影響が及ぶ場合があります。
その結果、物が二重に見える「複視」などが現れることがあります。
頭部外傷
交通事故による視覚障害は、眼だけが原因とは限りません。
頭部外傷によって脳の視覚に関係する部分が損傷した場合にも、視野の一部が見えなくなるなどの障害が起こる可能性があります。
そのため、事故後の「見えにくさ」を単純な眼精疲労などと自己判断しないことが重要です。
交通事故による視力低下の症状
交通事故後に現れる視覚の異常は、「視力が落ちた」という症状だけではありません。
代表的な症状には、視界がぼやける、ピントが合いにくい、片目だけ見えにくい、物が二重に見える、視野の一部が欠ける、光がまぶしく感じる、眼の痛み、飛蚊症のような症状などがあります。現在の記事でも、ぼやけ、複視、視野欠損、眼痛、光過敏などが挙げられています。
症状の原因によって必要な治療が異なるため、「時間が経てば治るだろう」と判断せず、事故後に見え方の変化を感じた場合には医療機関へ相談してください。
事故直後に視力が低下したらどうする?
事故後に突然見えにくくなった場合には、早めの医療機関受診が重要です。
特に、急激に視力が低下した、片目がほとんど見えない、視野が欠けた、物が二重に見える、強い眼痛がある、光が走って見える、黒い点や影が急に増えた、頭部を強く打ったといった場合には注意が必要です。
このような症状では、眼球だけでなく網膜、視神経、眼窩、頭部などに外傷が起きている可能性があります。
事故直後から症状があった場合には、その内容を医師へ具体的に伝えることも重要です。
交通事故による視力低下では何科を受診する?
眼の見え方に異常がある場合には、基本的には眼科での診察が重要です。
一方、頭部を強く打っている場合や、意識障害、頭痛、吐き気、手足の麻痺などを伴っている場合には、救急外来や脳神経外科などでの評価が必要になることがあります。
事故の状況や症状によって必要な診療科が異なるため、重い症状がある場合には救急医療機関へ相談してください。
交通事故による視力低下の検査
視力低下の原因を調べるためには、症状に応じた検査が必要になります。
視力検査
事故前と比べてどの程度視力が低下しているのかを確認します。
交通事故の後遺障害を検討する場合にも、視力がどの程度残っているかは重要な要素になります。
視野検査
視野のどの部分が見えているのかを確認する検査です。
本人が「視力が落ちた」と感じていても、実際には視野の一部が欠けている場合があります。
眼底検査
網膜、視神経乳頭、眼底の出血などを確認します。
網膜や視神経に異常が疑われる場合には重要な検査です。
CT・MRIなど
眼窩骨折や頭部外傷などが疑われる場合には、CTやMRIなどの画像検査が行われることがあります。
どの検査が必要になるかは、事故状況や症状によって異なります。
交通事故による視力低下の治療法
治療方法は視力低下の原因によって大きく異なります。
例えば眼内の炎症などでは薬物療法が行われる場合があり、網膜剥離などではレーザー治療や手術が必要になることがあります。現在の記事でも網膜剥離や眼内出血などについて、レーザー治療や硝子体手術などが行われる場合があると説明されています。
また、視覚障害が残った場合には、残存する視覚機能を活用して日常生活を送りやすくするためのリハビリテーションや補助具が検討されることもあります。
重要なのは、視力低下を一つの病気として考えるのではなく、「なぜ見えにくくなっているのか」を診断して、その原因に応じた治療を受けることです。
交通事故による視力低下は治る?
視力がどの程度回復するかは、損傷した部位や重症度、治療開始までの時間などによって異なります。
一時的な炎症などによって見えにくくなっている場合には改善する可能性がありますが、網膜や視神経などに重大な損傷が残った場合には、視力低下や視野障害などが後遺症として残ることがあります。
そのため、
「交通事故による視力低下は○か月で治る」
と一律に判断することはできません。
交通事故による視力低下で残る可能性がある後遺症
治療を続けても、視力低下、視野障害、複視などが残る場合があります。
視覚に障害が残ると、車の運転、読書、パソコン作業、細かい作業などが難しくなる可能性があります。
仕事内容によっては、事故前と同じ仕事を続けることが難しくなるケースもあります。
現在の記事でも、長期的な視力低下や視野の欠損、日常生活・仕事への影響などが後遺症として挙げられています。
視力低下は交通事故の後遺障害になる?
交通事故によって視力低下などの障害が残った場合、条件を満たせば自賠責保険の後遺障害認定の対象になる可能性があります。
国土交通省によると、後遺障害とは、交通事故による傷害が治ったときに残った精神的または肉体的な障害で、事故による傷害との相当因果関係が認められ、その存在が医学的に認められるものをいいます。
つまり、
「事故後に視力が落ちた=必ず後遺障害になる」
というわけではありません。
事故との因果関係や医学的な検査結果などを踏まえて判断されます。
視力だけでなく視野や複視も後遺障害の対象になる可能性がある
眼の後遺障害を考える際には、「視力が何%低下したか」だけを考えるわけではありません。
交通事故によって視野障害や複視などが残った場合にも、症状や検査結果などによって後遺障害として評価される可能性があります。
そのため、事故後に「見えにくい」という症状がある場合には、
「視力が落ちた」
だけではなく、
「右側が見えにくい」
「物が二重に見える」
「片目だけ見えにくい」
など、具体的に医師へ伝えることが大切です。
症状固定とは?
治療を続けてもこれ以上の改善が期待しにくい状態になると、「症状固定」と判断される場合があります。
国土交通省では、症状固定について、症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても治療効果が期待できなくなった状態で、医師によって判断されると説明しています。
視力低下などが症状固定後も残った場合には、その状態に応じて後遺障害申請を検討することになります。
交通事故による視力低下で請求できる可能性がある補償
交通事故で眼を負傷した場合には、事故状況や損害内容に応じて、治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料などが補償対象になる可能性があります。
自賠責保険では、傷害による損害について治療関係費、休業損害、慰謝料などが補償対象とされ、被害者1人につき120万円の支払限度額があります。
さらに後遺障害として認定された場合には、障害の程度に応じて逸失利益や後遺障害慰謝料などが問題になります。
視力低下の慰謝料はいくら?
交通事故による視力低下だから一律に「○万円」と決まるわけではありません。
治療期間中については入通院慰謝料、後遺障害が認定された場合には後遺障害慰謝料などが問題になります。
自賠責保険の後遺障害による損害の支払限度額は、介護を要する一定の後遺障害を除き、第1級3,000万円から第14級75万円まで設定されています。なお、この金額は後遺障害慰謝料だけではなく、逸失利益や慰謝料等を含む自賠責の支払限度額です。
実際の損害賠償額は、認定された後遺障害等級、収入、仕事への影響、過失割合などによって異なります。
視力低下で後遺障害申請を考える場合に重要なこと
交通事故後に視力低下が残っている場合には、事故直後から症状固定までの経過を医学的に確認できることが重要になります。
特に、事故直後の診療記録、視力検査、視野検査、眼底検査、画像検査などが重要な資料になる場合があります。
「事故直後から見えにくかったけれど、病院へ行ったのは数か月後」という状況では、事故との因果関係が問題になる可能性があります。
そのため、事故後に見え方の異常を感じた場合には早めに医療機関を受診し、症状を正確に伝えておくことが重要です。
交通事故による視力低下に鍼治療は有効?
現在の記事では、鍼治療について「血流や神経機能の改善」「組織修復をサポートする可能性」などと説明されています。一方で、視力回復効果について科学的根拠は限定的で、単独での効果は十分に実証されていないとも記載されています。
この部分は、さらに明確にしておいた方がよいでしょう。
交通事故によって損傷した網膜や視神経などを鍼治療で修復したり、失われた視力を回復させたりできると説明することはできません。
交通事故後に視力低下がある場合には、まず眼科などで原因を調べ、必要な医学的治療を受けることが最優先です。
鍼治療を検討する場合でも、眼科などでの診断・治療を基本とし、医師と相談しながら補完的な位置づけで考えることが重要です。
鍼灸整骨院かまたきへ相談する前に
交通事故後に視力低下、視野異常、複視などがある場合には、まず眼科などの医療機関を受診してください。
特に、
「事故後から急に見えなくなった」
「片目だけ視力が大きく低下した」
「視野が欠けている」
「物が二重に見える」
「頭部を強く打ってから見え方がおかしい」
といった症状については、整骨院で判断するものではありません。
当院では交通事故後の身体の痛みなどについて相談を受けていますが、眼球・網膜・視神経などの診断や治療は眼科など専門の医療機関で受ける必要があります。
よくある質問
交通事故で視力が低下することはありますか?
あります。眼球への直接的な外傷だけでなく、網膜、視神経、眼窩、頭部などへの損傷によって視力や視野に異常が現れる可能性があります。
交通事故後に視力が落ちたら何科を受診すればいいですか?
見え方の異常については眼科での診察が重要です。頭部を強く打っている場合や神経症状などを伴う場合には、救急外来や脳神経外科などでの評価が必要になることもあります。
事故後に物が二重に見えるのはなぜですか?
眼窩周辺の外傷などによって眼球運動に問題が生じると、複視が現れる場合があります。現在の記事でも交通事故後の症状として複視が挙げられています。
交通事故による視力低下は治りますか?
原因や損傷の程度によって異なります。改善するケースもありますが、網膜や視神経などに重大な損傷が残った場合には、視力低下や視野障害などが後遺症として残る可能性があります。
視力低下は後遺障害になりますか?
事故による傷害との因果関係があり、症状固定後も医学的に確認できる視覚障害が残った場合には、後遺障害認定の対象になる可能性があります。
視野が欠けた場合も後遺障害になる可能性がありますか?
視力だけでなく、視野障害などについても状態に応じて後遺障害として評価される可能性があります。具体的な認定については検査結果や症状などを踏まえて判断されます。
視力低下の慰謝料はいくらですか?
一律ではありません。治療期間、後遺障害の有無・等級、仕事への影響、過失割合などによって異なります。後遺障害が認定された場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益などが問題になります。
交通事故による視力低下に鍼治療はできますか?
鍼治療によって事故で損傷した網膜や視神経を修復したり、視力を回復させたりできると説明することはできません。視力低下がある場合には、まず眼科などで原因を調べ、必要な医学的治療を受けることが重要です。
まとめ
交通事故後の視力低下は、眼球への直接的な外傷だけでなく、網膜、視神経、眼窩、頭部などさまざまな部位の損傷によって起こる可能性があります。現在の記事でも、眼球損傷、眼窩・頭部外傷、網膜関連の損傷などが主な原因として挙げられています。
事故後に視界がぼやける、物が二重に見える、視野が欠ける、片目だけ見えにくいといった症状が現れた場合には、自己判断で様子を見るのではなく眼科など適切な医療機関を受診することが重要です。
治療後も視力低下などが残った場合には、状態によって後遺障害認定の対象になる可能性があります。国土交通省では、事故による傷害との相当因果関係が認められ、医学的に認められる障害が後遺障害の対象になるとしています。
視力や視野は日常生活だけでなく仕事や運転にも大きく関係します。事故後に異常を感じたら、早期に専門医の診察を受け、事故直後からの症状や検査結果を記録として残しておくことも大切です。

