交通事故による鼻骨骨折|症状・治療・後遺症・慰謝料を解説

交通事故で顔をハンドルやダッシュボード、窓ガラスなどに強くぶつけたり、バイクや自転車事故で顔面を路面に打ちつけたりすると、鼻骨を骨折することがあります。「事故後から鼻が大きく腫れている」「鼻血が止まらない」「鼻が曲がったように見える」「鼻づまりが強くなった」という場合には、鼻骨骨折が隠れている可能性があります。

鼻骨は顔の中央に位置しているため外からの衝撃を受けやすく、顔面骨の中でも骨折しやすい部位です。骨折の程度によっては、見た目の変形だけでなく、鼻呼吸のしにくさや鼻中隔の損傷などを伴うことがあります。この記事では、交通事故による鼻骨骨折の原因、症状、検査、治療、整復、後遺症、後遺障害、慰謝料について詳しく解説します。

鼻骨骨折とは?

鼻骨は鼻の上部にある左右一対の小さな骨で、鼻の形を構成する重要な部分です。顔の中央から前方へ突出しているため、交通事故やスポーツなどで顔面に衝撃を受けた際に骨折しやすい特徴があります。

鼻骨骨折では、単純に骨へヒビが入るだけの場合もあれば、骨が横へずれて鼻が曲がったり、正面からの強い衝撃によって鼻が低く陥没したように見えたりすることがあります。

また、鼻骨だけではなく鼻中隔や周囲の顔面骨を同時に損傷するケースもあるため、顔の外見だけで判断することはできません。

交通事故で鼻骨骨折が起こる原因

交通事故では、日常生活では加わらない強い衝撃が顔面へ加わることがあります。

自動車事故では、衝突時に顔をハンドル、ダッシュボード、窓ガラスなどへぶつけることで鼻骨を骨折することがあります。

バイクや自転車事故では、転倒した際に顔面から路面へ落ちたり、他の車両や構造物へ顔をぶつけたりすることで骨折する場合があります。

歩行者事故でも、車両との衝突後に路面へ転倒して顔面を強打することで鼻骨骨折が起こることがあります。

交通事故による鼻骨骨折の主な症状

鼻骨骨折では、事故直後からさまざまな症状が現れます。

鼻の痛み

鼻を触ったときの強い痛みや、何もしなくてもズキズキするような痛みが出ることがあります。

鼻の腫れ

事故直後から鼻や目の周囲が大きく腫れることがあります。腫れが強い場合には、鼻が曲がっているかどうか事故直後には判断しにくいこともあります。

鼻血

鼻の内部が損傷することで鼻血が出ることがあります。出血が続く場合には医療機関での確認が必要です。

鼻の変形

骨がずれると、鼻が左右どちらかへ曲がる、鼻筋が以前と違う、鼻が陥没したように見えるといった変形が起こることがあります。

鼻づまり・鼻呼吸のしにくさ

骨折や腫れ、鼻中隔の損傷などによって鼻腔が狭くなると、事故後から鼻づまりや呼吸のしにくさを感じる場合があります。

鼻中隔血腫に注意

交通事故による鼻の外傷で特に注意したいのが「鼻中隔血腫」です。

鼻中隔は左右の鼻腔を隔てている壁で、外傷によって鼻中隔の内部に血液がたまることがあります。

鼻中隔血腫では、両側の鼻づまりが急に強くなる、鼻の内部が腫れている、鼻の痛みが強いなどの症状が出ることがあります。

鼻中隔血腫を放置すると、鼻中隔の組織への血流が障害され、感染や鼻の変形につながる可能性があります。そのため、鼻骨骨折が疑われる場合には骨折だけでなく鼻中隔血腫がないかを確認することが重要です。

鼻骨骨折と鼻中隔骨折は違う?

鼻骨骨折は鼻の外側を形成する骨の骨折です。一方、鼻中隔骨折は左右の鼻腔を仕切る鼻中隔が損傷した状態です。

交通事故のように強い衝撃が加わった場合には、鼻骨骨折と鼻中隔骨折が同時に起こることがあります。

鼻中隔が曲がった状態で治癒すると、事故後も慢性的な鼻づまりや鼻呼吸のしにくさが残ることがあるため注意が必要です。

他の顔面骨骨折を合併することもある

交通事故では鼻だけではなく顔面全体へ強い衝撃が加わるため、鼻骨骨折と一緒に他の顔面骨を骨折する場合があります。

頬骨骨折、眼窩周囲の骨折、上顎骨骨折などを合併する可能性があります。

鼻だけでなく「物が二重に見える」「頬がしびれる」「噛み合わせがおかしい」「口を開けにくい」といった症状がある場合には、鼻骨以外の損傷についても詳しく調べてもらうことが重要です。

交通事故後にこんな症状があれば早めに受診

事故後に鼻が明らかに曲がっている、鼻が大きく腫れている、鼻血が止まりにくい、鼻呼吸ができない、両側の鼻が急につまった、鼻だけでなく目や頬にも強い症状がある場合には、早めに医療機関を受診してください。

また、強い頭痛、意識障害、嘔吐などを伴っている場合には頭部外傷の可能性もあるため、速やかな医療機関の受診が必要です。

鼻骨骨折は何科を受診する?

鼻骨骨折が疑われる場合には、耳鼻咽喉科や形成外科など、鼻骨骨折や顔面骨折を診療できる医療機関を受診します。

交通事故直後で頭部や顔面を広範囲に負傷している場合には、救急外来を受診して必要な診療科へ紹介されることもあります。

鼻の形だけでなく鼻呼吸や鼻中隔の状態を確認することも重要です。

鼻骨骨折の検査

鼻骨骨折では、事故の状況、鼻の腫れ、変形、出血、鼻づまりなどを確認したうえで診断します。

視診・触診

鼻が左右に曲がっていないか、陥没していないか、押したときに強い痛みがあるかなどを確認します。

鼻の内部も観察し、鼻中隔の損傷や鼻中隔血腫などがないか確認します。

レントゲン検査

骨折を確認するためレントゲン撮影を行う場合があります。ただし、鼻骨は小さく、骨折の状態によってはレントゲンだけでは十分に評価できないことがあります。

CT検査

交通事故など強い外傷ではCT検査が重要になる場合があります。

CTでは鼻骨のずれや陥没だけでなく、鼻中隔骨折、眼窩や頬骨など他の顔面骨骨折がないかも詳しく確認できます。

鼻骨骨折の治療

治療方法は、骨のずれや鼻の変形、鼻呼吸への影響などによって異なります。

骨のずれが少ない場合

骨折していても骨のずれがほとんどなく、外見上の変形や鼻呼吸への大きな影響がない場合には、経過観察となることがあります。

痛みに対する薬などを使用しながら状態を確認していきます。

鼻が曲がっている場合

骨折によって鼻骨がずれて鼻が曲がった場合には、骨を元の位置に近づける「整復」が検討されます。

一般的には皮膚を大きく切開せず、鼻の内側などから器具を使用して骨を戻す閉鎖整復が行われることがあります。

骨折が複雑な場合

鼻骨だけでなく鼻中隔や他の顔面骨を大きく損傷している場合などでは、状態に応じてより専門的な手術が必要になることがあります。

鼻骨骨折は腫れが引いてから整復することがある

事故直後は鼻が大きく腫れているため、骨折による変形を正確に判断しにくいことがあります。

そのため、緊急処置が必要な状態を除き、腫れの状態を見ながら整復時期を判断する場合があります。

一方で、長期間そのままにして骨がずれた位置で固まってしまうと、簡単な整復では戻しにくくなることがあります。

「腫れが引くまで何もしなくてもよい」という意味ではないため、事故後は早めに受診し、整復が必要か、いつ治療を行うかを医師に判断してもらうことが重要です。

鼻骨骨折を自分で戻してはいけない

事故後に鼻が曲がっていると、自分で押して戻そうとする方もいるかもしれません。

しかし、鼻骨以外の骨折や鼻中隔損傷、出血などが隠れている可能性があります。

無理に鼻を押したり動かしたりすると症状を悪化させる可能性があるため、自分で整復しようとせず医療機関を受診してください。

鼻骨骨折の後遺症

鼻骨骨折では、治療後にも症状が残ることがあります。

鼻の変形

骨がずれた状態で治癒すると、鼻が左右に曲がったり、鼻筋が変化したりする場合があります。

顔の中央にあるため、わずかな変形でも本人にとって大きな悩みになることがあります。

慢性的な鼻づまり

鼻骨や鼻中隔の変形によって鼻腔が狭くなると、事故後も鼻づまりや鼻呼吸のしにくさが残る場合があります。

嗅覚への影響

交通事故では鼻だけでなく頭部にも大きな衝撃が加わることがあります。

事故後に「においが分かりにくい」「まったくにおわない」といった嗅覚の変化がある場合には、鼻の腫れだけでなく嗅覚に関係する神経などが影響を受けている可能性もあるため、医師へ伝えることが重要です。

痛みや違和感

骨折部分の痛みや圧迫感などが治療後にも残る場合があります。

鼻骨骨折は後遺障害になる?

交通事故による鼻骨骨折で治療後も一定の症状が残った場合には、症状の内容によって後遺障害等級認定を検討することがあります。

鼻骨骨折という診断名だけで後遺障害が認定されるわけではありません。

例えば、鼻の変形が一定の基準を満たす場合には外貌の醜状、嗅覚障害が残った場合には嗅覚に関する障害、鼻呼吸などの機能障害が残った場合にはその症状について評価される可能性があります。

後遺障害を検討する場合には、医師による診断、CTなどの画像所見、症状の程度、事故との因果関係などが重要になります。

鼻の変形が残った場合の後遺障害

鼻骨骨折によって事故前にはなかった明らかな変形が顔面に残った場合には、外貌に関する後遺障害として問題になる可能性があります。

ただし、鼻が少し曲がったというだけで自動的に後遺障害として認められるわけではなく、外貌醜状の認定基準に基づいて判断されます。

見た目の変化が残っている場合には、治療終了前に主治医へその症状を伝えておくことが重要です。

鼻骨骨折と慰謝料

交通事故によって鼻骨を骨折した場合には、事故状況などに応じて治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料などが補償の対象になる可能性があります。

自賠責保険では、傷害による損害について治療関係費、休業損害、慰謝料などを含め、被害者1人につき120万円が支払限度額となっています。

治療後にも後遺障害が残り、後遺障害等級が認定された場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益などが問題になることがあります。

ただし、「鼻骨骨折だから慰謝料はいくら」と一律に決まるものではありません。治療期間、通院状況、後遺障害の有無、事故状況などによって異なります。

診断書や画像検査を残しておくことが重要

交通事故による補償では、事故によってどのようなケガをしたのかを医学的に確認できる資料が重要です。

診断書、CTなどの画像検査、治療内容、症状の経過などは大切な資料となります。

事故後に鼻が曲がっている、鼻呼吸がしにくい、嗅覚がおかしいといった症状がある場合には、具体的に主治医へ伝えて診療記録に残してもらうことが重要です。

鼻骨骨折と整骨院の役割

鼻骨骨折が疑われる場合には、まず耳鼻咽喉科や形成外科などの医療機関を受診してください。

整骨院ではCT検査や鼻骨の整復手術などを行うことはできません。

交通事故で鼻を負傷した場合には、鼻骨だけでなく鼻中隔や他の顔面骨を損傷している可能性があるため、医療機関で正確な診断を受けることが最優先です。

鼻骨骨折後の症状に鍼治療はできる?

鍼治療によって、骨折してずれた鼻骨を正常な位置へ戻したり、鼻中隔血腫を治療したりすることはできません。

そのため、事故直後の鼻骨骨折に対して鍼治療を優先することはおすすめできません。

まず耳鼻咽喉科や形成外科などで骨折の状態や鼻中隔の損傷を確認し、必要な治療を受けることが重要です。

医療機関で骨折の治療を受けたあとにも、事故に伴う首や肩など周囲の身体症状が残っている場合には、その状態に応じて鍼施術を補助的に検討することがあります。

鍼灸整骨院かまたきでは、交通事故後に医療機関で治療を受けている方から、事故後に残った身体の痛みや筋肉の緊張などについてご相談を受けています。

千葉市で交通事故による鼻骨骨折後の症状にお悩みの方へ

交通事故による鼻骨骨折では、単に骨が折れているかどうかだけでなく、鼻骨の変形、鼻中隔の損傷、鼻呼吸への影響、嗅覚の変化、他の顔面骨骨折などを確認することが重要です。

事故後に鼻の強い腫れや痛み、変形、鼻づまりなどがある場合には、まず耳鼻咽喉科や形成外科などの医療機関を受診してください。

鍼灸整骨院かまたきでは、交通事故後に医療機関で治療を受けている方や、事故後の首・肩などの症状が残っている方からのご相談に対応しています。

まとめ

交通事故による鼻骨骨折では、鼻の痛みや腫れ、鼻血、鼻の変形、鼻づまりなどが起こることがあります。また、鼻中隔血腫や鼻中隔骨折、他の顔面骨骨折を伴うこともあるため注意が必要です。

特に鼻中隔血腫は早急な治療が必要になることがあるため、事故後に強い鼻づまりや鼻内部の腫れがある場合には早めに医療機関を受診してください。

鼻骨がずれた状態で治癒すると、鼻の変形や鼻呼吸のしにくさなどが残る可能性があります。治療後に外貌の変化や嗅覚障害などが残った場合には、後遺障害認定が関係することもあります。

「鼻をぶつけただけ」と自己判断せず、交通事故後に鼻の痛み、腫れ、変形、鼻づまりなどがある場合には、適切な診断と治療を受けることが大切です。