交通事故による鎖骨骨折とは?原因・症状・治療法・後遺症・慰謝料を解説

交通事故の衝撃で肩や胸を強く打ち、医療機関で「鎖骨骨折」と診断されることがあります。

鎖骨は、胸の中央にある胸骨と肩甲骨をつなぐ細長い骨です。腕や肩を動かす際の支えとなり、上半身へ加わる力を身体の中心へ伝える役割を担っています。

交通事故で鎖骨を骨折すると、骨折部分の強い痛みや腫れだけでなく、

・肩や腕を動かせない
・呼吸や寝返りで痛む
・鎖骨周辺が変形して見える
・腕や手にしびれが出る
・骨折後も肩の動きが戻らない
・骨がつかず痛みが続く

などの症状が現れることがあります。

骨のずれが少ない場合は、三角巾やアームスリングなどによる固定で回復を待つ保存療法が行われます。一方、骨片のずれが大きい場合、骨が皮膚を強く押している場合、神経や血管の損傷が疑われる場合などは、プレートやスクリューを用いた手術が検討されます。

この記事では、交通事故による鎖骨骨折の原因、症状、検査、治療法、回復期間、後遺症、慰謝料や後遺障害認定、鍼治療を検討する際の注意点について詳しく解説します。

鎖骨骨折とは?

鎖骨は、首の付け根から肩の前方へ伸びる、S字状の細長い骨です。

身体の左右に1本ずつあり、胸の中央にある胸骨と、肩甲骨の肩峰をつないでいます。

鎖骨には主に次の役割があります。

・肩を正しい位置に保つ
・腕から伝わる力を体幹へ伝える
・肩や腕を動かすための土台になる
・鎖骨の下を通る神経や血管を保護する

鎖骨は皮膚のすぐ下にあり、肩や腕からの衝撃を受けやすいため、転倒や交通事故で骨折しやすい骨です。

鎖骨骨折が起こりやすい場所

鎖骨骨折は、骨折した位置によって主に次の3つに分けられます。

鎖骨骨幹部骨折

鎖骨の中央付近に起こる骨折です。

鎖骨骨折の中で多くみられるタイプで、肩からの衝撃や転倒によって発生します。

鎖骨遠位端骨折

肩に近い鎖骨の外側に起こる骨折です。

肩鎖関節周辺の靱帯損傷を伴う場合があり、骨折の状態によっては骨がつきにくいことがあります。

鎖骨近位端骨折

胸骨に近い鎖骨の内側に起こる骨折です。

頻度は高くありませんが、胸部への強い衝撃によって発生することがあります。周囲には大きな血管や気管などがあるため、強い衝撃を受けた場合は慎重な検査が必要です。

交通事故で鎖骨骨折が起こる原因

肩を車内へ強くぶつける

側面衝突などで身体が横へ振られ、肩をドア、窓、ピラーなどへぶつけることで鎖骨を骨折することがあります。

肩から受けた衝撃が鎖骨へ伝わり、中央部や肩に近い部分が折れる可能性があります。

ハンドルやダッシュボードへ胸を打つ

正面衝突で身体が前方へ移動し、肩や胸をハンドル、ダッシュボード、座席などへ強くぶつけることで骨折することがあります。

シートベルトによる強い圧迫

シートベルトは重大なケガや死亡を防ぐために重要ですが、衝突時には鎖骨や胸部へ大きな力が加わることがあります。

強い事故では、シートベルトが当たった部分に打撲や鎖骨骨折が起こる可能性があります。

シートベルトを着用しない方が安全ということではありません。着用しない場合は、車外放出や頭部・胸部の重大損傷につながる危険が高まります。

バイクや自転車から転倒する

バイクや自転車事故で路面へ投げ出され、肩から地面へ落ちることで鎖骨骨折が起こることがあります。

腕を伸ばして手をついた場合でも、手から腕、肩へ伝わった衝撃が鎖骨に集中して骨折する可能性があります。

歩行者事故で路面へ転倒する

歩行中に車や自転車と接触し、肩や腕から路面へ倒れることで鎖骨を骨折することがあります。

交通事故による鎖骨骨折の症状

鎖骨周辺の強い痛み

骨折直後から鎖骨や肩周辺に強い痛みが現れます。

次の動作で痛みが強くなる場合があります。

・腕を上げる
・肩を動かす
・寝返りをする
・起き上がる
・深呼吸する
・咳やくしゃみをする
・服を着替える
・荷物を持つ

腕の重さだけでも骨折部へ負担がかかるため、反対の手で負傷した腕を支える姿勢を取ることがあります。

腫れや内出血

骨折部分の周囲が腫れ、紫色や青色の内出血が現れることがあります。

事故直後には小さかった腫れやあざが、数時間から数日かけて広がる場合もあります。

鎖骨の変形

骨片がずれている場合は、鎖骨周辺に段差や盛り上がりが見えることがあります。

肩が前方や下方へ下がり、左右の肩の高さが違って見える場合もあります。

鎖骨は皮膚のすぐ下にあるため、骨片が皮膚を内側から押し上げる「テント状変形」がみられることがあります。骨が皮膚を突き破る危険がある場合は、早急な処置が必要です。

肩や腕を動かせない

骨折部の痛みや不安定性によって、腕を持ち上げたり肩を回したりすることが難しくなります。

無理に動かすと骨片がずれる可能性があるため、事故直後は負傷した腕を動かさず、医療機関を受診してください。

骨が動くような感覚

骨折部を動かした際に、骨同士が擦れるような感覚や音が生じることがあります。

確認するために自分で骨折部を押したり、肩を動かしたりしてはいけません。

腕や手のしびれ

鎖骨の下には、腕や手へ向かう神経と血管が通っています。

骨片、腫れ、出血などによって神経が圧迫されると、次の症状が現れる可能性があります。

・肩から腕にかけてのしびれ
・手や指のしびれ
・腕に力が入らない
・握力が低下する
・手の感覚が鈍い

神経症状がある場合は、単純な骨折だけでなく、腕神経叢などの損傷も考慮する必要があります。

手が冷たい・色が悪い

血管が損傷または圧迫されると、手の血流が悪くなる可能性があります。

次の症状がある場合は緊急性があります。

・手が冷たい
・手や指が青白い
・脈を触れにくい
・腕が大きく腫れる
・指を動かしにくい

速やかに救急医療機関を受診してください。

呼吸時の痛みや息苦しさ

交通事故では、鎖骨骨折に加えて肋骨骨折や肺の損傷を伴うことがあります。

深呼吸すると強く痛む、息苦しい、胸が痛い場合は、胸部外傷の検査が必要です。

直ちに救急受診すべき症状

次の症状がある場合は、救急車を呼ぶか、速やかに救急医療機関を受診してください。

・骨が皮膚を突き破っている
・骨が皮膚を強く押し上げている
・大量に出血している
・腕や手に強いしびれがある
・腕に力が入らない
・手が冷たい、青白い
・脈が弱い
・息苦しい
・胸に強い痛みがある
・意識を失った
・首や頭にも強い痛みがある

鎖骨骨折の検査

問診・視診・触診

医師は次の点を確認します。

・事故の状況
・肩や胸を打った場所
・痛む場所
・腫れや内出血
・鎖骨の変形
・皮膚の状態
・肩や腕の動き
・手や指の感覚
・手の血流
・呼吸状態

レントゲン検査

鎖骨骨折の診断では、一般的にレントゲン検査が行われます。

骨折の位置、骨片のずれ、短縮、粉砕の有無などを確認します。

鎖骨骨折は、身体診察とレントゲンによって診断されることが一般的です。

CT検査

骨折が複雑な場合や、胸骨側・肩側の骨折、関節周辺の損傷などを詳しく確認する際は、CT検査が行われることがあります。

胸部への強い衝撃がある場合は、肺や肋骨などの損傷も確認します。

MRI検査

鎖骨骨折の診断自体では、通常レントゲンやCTが中心です。

ただし、神経、腱板、靱帯などの損傷が疑われる場合は、MRI検査が検討されることがあります。

神経・血管の検査

腕や手のしびれ、筋力低下、血流障害などがある場合は、神経学的検査や血管の検査を行います。

鎖骨骨折の治療方法

治療方法は、骨折部位、骨片のずれ、皮膚の状態、神経・血管損傷の有無、年齢、生活状況などによって決まります。

保存療法

骨片のずれが比較的小さく、皮膚や神経、血管に重大な問題がない場合は、手術を行わずに骨癒合を待つ保存療法が選択されることがあります。

三角巾・アームスリングによる固定

負傷した腕を三角巾やアームスリングで支え、鎖骨へかかる負担を減らします。

固定期間は骨折の状態によって異なります。

鎮痛薬

痛みを抑えるために、鎮痛薬や消炎鎮痛薬が処方される場合があります。

薬で痛みが軽くなっても、骨がついたわけではありません。

痛み止めを服用している間に腕を無理に使わないでください。

冷却

事故直後の腫れや痛みが強い時期には、医師の指示に従って患部周辺を冷やす場合があります。

氷を直接皮膚へ当てず、タオルなどで包んで使用します。

定期的な画像検査

保存療法中は、レントゲンで骨の位置や癒合状態を確認します。

治療途中で骨片のずれが大きくなった場合は、手術が検討されることもあります。

手術療法

次のような場合は、手術が検討されます。

・骨片のずれや短縮が大きい
・骨が複数に砕けている
・骨が皮膚を突き破っている
・骨片が皮膚を強く押している
・神経や血管の損傷がある
・保存療法で骨がつかない
・肩側の不安定な骨折である
・早期の機能回復が必要と判断された

手術が必要かどうかは、骨折の見た目だけではなく、年齢、仕事、スポーツ、利き腕、合併症なども考慮して判断されます。

プレート・スクリュー固定

骨折した骨を正しい位置へ戻し、金属プレートとスクリューで固定する方法です。

骨折部を安定させることで、骨の位置を保ちながら癒合を待ちます。

髄内固定

骨の内部へ専用の固定材料を入れて骨折部を安定させる方法が選択されることもあります。

固定器具を抜く手術

プレートやスクリューが皮膚の下で当たる、違和感が強いなどの場合は、骨癒合後に抜去手術が検討されることがあります。

すべての人に抜去が必要なわけではありません。

リハビリテーション

鎖骨骨折では、骨がつくことだけでなく、肩や腕の機能を回復させることが重要です。

固定期間が長くなると、肩関節が硬くなったり、筋力が低下したりする可能性があります。

リハビリは、骨折の安定性を確認しながら段階的に進めます。

初期

・手首や指を動かす
・肘を無理のない範囲で動かす
・肩へ負担をかけない
・むくみを予防する

骨折が安定してきた時期

・肩を小さく動かす
・可動域訓練を行う
・肩甲骨周辺の動きを整える

骨癒合後

・肩の可動域を広げる
・肩や腕の筋力を戻す
・日常動作や仕事動作を練習する
・スポーツ復帰に向けた訓練を行う

リハビリの開始時期や運動内容は、骨折の状態や治療方法によって異なります。

自己判断で肩を強く動かしたり、重い物を持ったりしないでください。

鎖骨骨折の回復期間

回復期間は、骨折の位置、ずれ、手術の有無、年齢、喫煙習慣、基礎疾患などによって異なります。

一般的には、骨が安定するまで数週間から数か月程度かかります。

骨がついた後も、肩の動きや筋力が元に戻るまで、さらにリハビリが必要になる場合があります。

次の状態だけで「治った」と判断してはいけません。

・痛み止めを飲めば動ける
・安静時の痛みがなくなった
・腕を少し上げられる
・レントゲンをしばらく撮っていない

主治医から骨癒合と運動再開の許可を受けてください。

鎖骨骨折の治りが遅くなる原因

骨片のずれが大きい

骨折した骨同士が離れていると、骨癒合に時間がかかったり、骨がつかなかったりする可能性があります。

粉砕骨折

骨が複数に砕けている場合は、単純な骨折より治療が複雑になることがあります。

喫煙

喫煙は骨への血流や骨癒合へ悪影響を及ぼす可能性があります。

治療中は禁煙について主治医へ相談してください。

固定中に無理をする

痛みが軽くなったからといって、重い物を持つ、腕を高く上げるなどの動作をすると、骨片がずれる可能性があります。

基礎疾患や栄養状態

糖尿病、骨粗鬆症、栄養不足などがある場合は、骨の回復に時間がかかることがあります。

鎖骨骨折で残る可能性がある後遺症

鎖骨の変形

骨折した骨がずれた状態で癒合すると、鎖骨に盛り上がりや段差が残る場合があります。

外見上の変形だけでなく、肩の位置や動きに影響することもあります。

肩関節の可動域制限

固定期間や痛みによって肩を動かせない期間が続くと、肩関節が硬くなり、腕を上げにくい状態が残る可能性があります。

慢性的な痛み

骨折部や肩、胸、肩甲骨周辺に痛みが残る場合があります。

痛みの原因としては、次のものが考えられます。

・骨の変形癒合
・骨癒合不全
・固定器具の刺激
・肩関節の拘縮
・筋力低下
・周辺筋肉の緊張
・神経の損傷や圧迫

偽関節・骨癒合不全

骨折部分が十分につかず、不安定性や痛みが残る状態です。

保存療法後に痛みが長引く、骨折部が動く感じがある場合などは、再検査が必要です。

肩や腕の筋力低下

長期間腕を使わなかったことで、肩、腕、胸、背中の筋力が低下する場合があります。

重い物を持てない、仕事へ戻れないなどの支障につながる可能性があります。

神経症状

神経が損傷または圧迫された場合は、腕や手のしびれ、感覚低下、筋力低下などが残る可能性があります。

血流障害

まれですが、血管損傷や胸郭出口周辺の圧迫によって、腕のむくみ、冷感、色の変化などが残る場合があります。

腕や手の痛み、しびれ、冷感などは、鎖骨周辺を通る神経や血管の圧迫でも起こり得ます。

固定器具による違和感

鎖骨は皮膚のすぐ下にあるため、手術で入れたプレートやスクリューが皮膚へ当たり、違和感や痛みが出る場合があります。

傷あと

手術を受けた場合は、鎖骨周辺に手術痕が残ります。

傷あとの大きさや位置、目立ち方によっては、後遺障害の問題になる可能性があります。

交通事故の鎖骨骨折で請求できる損害

交通事故との因果関係と治療の必要性が認められれば、次の損害を請求できる可能性があります。

・救急搬送費
・診察費
・検査費
・入院費
・手術費
・薬代
・装具費
・リハビリ費
・通院交通費
・付添看護費
・休業損害
・入通院慰謝料
・後遺障害慰謝料
・逸失利益
・将来の治療費

自賠責保険では、傷害による損害の支払限度額は被害者1人につき120万円で、後遺障害については等級に応じた限度額が定められています。

入通院慰謝料

入通院慰謝料は、交通事故による骨折の痛みや、入院・通院を余儀なくされた精神的苦痛に対する補償です。

金額は主に次の要素によって異なります。

・入院期間
・通院期間
・実通院日数
・手術の有無
・骨折の重症度
・固定期間
・過失割合
・使用する慰謝料基準

「鎖骨骨折なら一律いくら」と決まるものではありません。

休業損害

骨折や手術、通院によって仕事を休み、実際に収入が減った場合は、休業損害を請求できる可能性があります。

特に次の仕事では、肩や腕の制限による影響が大きくなることがあります。

・建設作業
・介護職
・配送業
・運転業務
・製造業
・調理業
・美容師
・スポーツ関係
・パソコン操作が多い仕事

医師へ仕事内容と、肩や腕の動きによって困っていることを具体的に伝えてください。

後遺障害慰謝料

治療後も鎖骨の変形、肩の可動域制限、痛み、しびれなどが残り、後遺障害等級に認定された場合は、後遺障害慰謝料を請求できる可能性があります。

逸失利益

後遺障害によって仕事への支障が残り、将来の収入が減少すると考えられる場合は、逸失利益を請求できる可能性があります。

鎖骨骨折と後遺障害認定

鎖骨骨折後に症状が残った場合は、主に次の後遺障害が問題になります。

・鎖骨の著しい変形
・肩関節の可動域制限
・腕や手の神経症状
・骨折部の慢性的な痛み
・手術による傷あと

自賠責保険の後遺障害等級表には、鎖骨に著しい変形を残すもの、関節の機能障害、神経症状、外貌の醜状などに関する項目があります。実際の等級は、変形の程度、可動域測定、画像所見、神経学的所見などに基づいて個別に判断されます。

鎖骨の変形による後遺障害

鎖骨の変形が外見から明確に確認できる場合は、後遺障害として審査される可能性があります。

レントゲン上で変形しているだけでなく、裸になった際に外部から確認できる程度であるかが重要になる場合があります。

肩の可動域制限

骨折や長期固定によって肩関節の動きが制限された場合は、健側と患側の可動域を比較して審査されます。

測定は医師が行います。

痛みやしびれ

画像所見や神経学的検査、症状の一貫性などが認められた場合は、神経症状として後遺障害認定を受けられる可能性があります。

後遺障害認定で重要な資料

・事故状況
・初診時の診断書
・レントゲンやCT画像
・手術記録
・固定期間
・リハビリ記録
・肩関節の可動域測定
・神経学的検査
・症状の経過
・仕事や生活への支障
・後遺障害診断書

後遺障害診断書は医師が作成する

後遺障害診断書は、医師が作成します。

整骨院や鍼灸院では作成できません。

痛み、しびれ、肩の動かしにくさなどが残っている場合は、症状固定前から主治医へ具体的に伝えてください。

症状固定とは?

症状固定とは、治療を続けても大幅な改善が期待しにくいと医学的に判断された状態です。

症状固定の時期は、保険会社が一方的に決めるものではありません。

骨癒合、肩の可動域、筋力、神経症状などを確認し、主治医が判断します。

鎖骨骨折に鍼治療は有効?

鍼治療を検討する場合は、その位置づけを正しく理解する必要があります。

鍼治療で鎖骨骨折は治せない

鍼治療によって、折れた鎖骨を正しい位置へ戻したり、プレートの代わりに骨を固定したりすることはできません。

骨折治療の中心は、整形外科で行う次の治療です。

・画像検査
・固定
・手術
・骨癒合の確認
・リハビリテーション

鍼治療は、これらに代わる治療ではありません。

骨折直後や骨癒合前は鍼治療を優先しない

骨折直後、手術前後、骨片が不安定な時期は、整形外科での固定や経過観察を優先します。

骨折部周辺を強く押したり揉んだりすることも避けてください。

骨癒合後の筋肉の緊張に対する補助的施術

骨折が安定して主治医から許可が出た後であれば、長期固定などによって硬くなった次の筋肉へ、補助的に施術を検討する場合があります。

・首周辺の筋肉
・肩周辺の筋肉
・胸の筋肉
・肩甲骨周辺の筋肉
・腕の筋肉

鍼治療により痛みが軽減する可能性を示す骨折後疼痛の研究はありますが、鎖骨骨折そのものを対象とした十分な根拠は限定的です。研究でも、骨折後の鍼治療は補助的な疼痛管理として検討され、より大規模な研究が必要とされています。

しびれがある場合は先に原因を確認する

腕や手のしびれは、次の原因で起こる可能性があります。

・骨片による神経圧迫
・腫れによる神経圧迫
・腕神経叢損傷
・血管損傷
・胸郭出口周辺の圧迫
・首の神経損傷

鍼治療を受ける前に、整形外科で原因を確認してください。

骨片や固定器具が神経を圧迫している場合、鍼治療でその原因を取り除くことはできません。

手術後に鍼治療を受ける際の注意点

手術後に鍼治療を検討する場合は、次の条件を確認します。

・骨折部が安定している
・手術創が治っている
・感染がない
・主治医の許可がある
・プレートやスクリューの位置を伝える
・抗凝固薬の服用を伝える
・しびれや血流障害がないか確認する

手術創、プレート周辺、感染が疑われる場所へ安易に施術してはいけません。

自賠責保険で鍼治療を受けられる?

交通事故後の鍼灸施術費が補償対象になるかは、医師の指示、施術の必要性、保険会社の承認などによって異なります。

鍼治療を始める前に、次の確認を行ってください。

1.主治医へ鍼治療を受けてもよいか相談する
2.骨癒合の状態を確認する
3.施術対象となる症状を明確にする
4.保険会社へ事前に連絡する
5.整形外科への定期通院を続ける

事前に確認せず通院すると、施術費が補償されない可能性があります。

鍼灸整骨院かまたきでの対応

鍼灸整骨院かまたきでは、鎖骨骨折そのものを治療することはできません。

骨折の診断、画像検査、整復、固定、手術、骨癒合の判断は整形外科で行います。

当院で相談を受け付けるのは、原則として次の条件を満たす方です。

・整形外科で鎖骨骨折の診断を受けている
・必要な固定や手術を受けている
・骨折部が安定している
・主治医から施術を禁止されていない
・手術創や骨折部に感染がない
・整形外科での経過観察を続けている
・保険会社への確認が済んでいる
・骨癒合後も周辺筋肉の緊張や慢性的な痛みが残っている

次の症状がある場合は、当院への来院より整形外科を優先してください。

・骨折部の痛みが急に強くなった
・鎖骨の変形が大きくなった
・腫れや赤みが強い
・発熱している
・手術創から膿が出る
・腕や手のしびれが悪化した
・手が冷たい、青白い
・腕に力が入らない
・息苦しい
・プレート周辺に強い痛みがある

よくある質問

鎖骨骨折とは何ですか?

胸骨と肩甲骨をつなぐ鎖骨が、交通事故や転倒などの強い衝撃によって折れた状態です。

交通事故で鎖骨骨折になることはありますか?

肩や胸を車内へぶつける、シートベルトから強い力を受ける、バイクや自転車から肩へ転倒するなどして骨折することがあります。

鎖骨骨折の主な症状は何ですか?

鎖骨周辺の強い痛み、腫れ、内出血、変形、肩や腕の運動制限などがあります。

鎖骨骨折で腕や手がしびれることはありますか?

骨片や腫れによって神経が圧迫されたり、腕神経叢が損傷したりすると、腕や手にしびれが出る場合があります。

手が冷たい場合はどうすればよいですか?

血管の圧迫や損傷が疑われます。速やかに救急医療機関を受診してください。

鎖骨骨折は何科へ行きますか?

整形外科を受診します。事故直後に息苦しさや胸の痛みなどがある場合は、救急医療機関を受診してください。

鎖骨骨折はレントゲンで分かりますか?

多くの場合はレントゲンで確認できます。複雑な骨折や関節周辺の状態を詳しく調べる際はCTが行われることがあります。

鎖骨骨折は必ず手術しますか?

骨片のずれが小さく、神経や血管、皮膚に問題がなければ保存療法が選択される場合があります。

どのような鎖骨骨折で手術が必要ですか?

骨片のずれが大きい、皮膚を強く押している、開放骨折、神経・血管損傷、骨癒合不全などでは手術が検討されます。

鎖骨骨折の手術では何をしますか?

骨を正しい位置へ戻し、プレートやスクリューなどで固定する手術が一般的です。

プレートは必ず抜きますか?

必ずではありません。違和感や痛みがある場合などに、骨癒合後の抜去が検討されます。

鎖骨骨折ではどれくらい固定しますか?

骨折部位、ずれ、年齢、手術の有無などによって異なります。固定期間は主治医の指示に従ってください。

鎖骨骨折はどれくらいで治りますか?

骨が安定するまで数週間から数か月程度かかります。肩の動きや筋力が戻るまで、さらにリハビリが必要になる場合があります。

痛みがなくなれば骨はついていますか?

痛みが軽くなっても骨癒合が完了したとは限りません。レントゲンなどで主治医に確認してもらってください。

鎖骨骨折中に肩を動かしてもよいですか?

運動を開始する時期は骨折の安定性によって異なります。自己判断で動かさず、医師や理学療法士の指導に従ってください。

鎖骨骨折後にリハビリは必要ですか?

固定による肩関節の硬さや筋力低下を防ぎ、肩や腕の機能を戻すために必要になる場合があります。

鎖骨骨折が治らないことはありますか?

骨片のずれ、粉砕骨折、喫煙、基礎疾患などによって、偽関節や骨癒合不全になる場合があります。

鎖骨骨折で後遺症は残りますか?

鎖骨の変形、肩の可動域制限、慢性痛、筋力低下、腕や手のしびれなどが残る可能性があります。

鎖骨が盛り上がったままでも問題ありませんか?

骨が変形して癒合している可能性があります。痛みや肩の機能障害がある場合は整形外科へ相談してください。

鎖骨の変形は後遺障害になりますか?

外部から明確に確認できる著しい変形が残り、所定の要件を満たす場合は後遺障害として認定される可能性があります。

肩が上がらない場合は後遺障害になりますか?

肩関節の可動域制限が残り、所定の基準を満たす場合は、関節の機能障害として認定される可能性があります。

痛みやしびれだけでも後遺障害になりますか?

事故との因果関係、症状の一貫性、画像所見、神経学的所見などが認められれば、神経症状として審査される可能性があります。

手術の傷あとも後遺障害になりますか?

傷あとの位置、大きさ、目立ち方などが所定の基準を満たす場合は、後遺障害として認定される可能性があります。

鎖骨骨折で慰謝料を請求できますか?

事故との因果関係と治療の必要性が認められれば、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などを請求できる可能性があります。

鎖骨骨折の慰謝料はいくらですか?

入院・通院期間、手術、後遺症、過失割合、使用する算定基準などによって異なります。

仕事を休んだ場合は補償されますか?

医師が休業の必要性を認め、実際に収入が減少したことを証明できれば、休業損害を請求できる可能性があります。

後遺障害診断書は整骨院で書けますか?

書けません。後遺障害診断書は医師が作成します。

症状固定は保険会社が決めますか?

症状固定は医学的な判断です。骨癒合や肩の可動域、神経症状などを確認して主治医が判断します。

鎖骨骨折に鍼治療は有効ですか?

鍼治療で折れた骨を接合したり、ずれた骨を戻したりすることはできません。骨癒合後に残る周辺筋肉の緊張や慢性的な筋肉痛への補助的な施術として検討される場合があります。

骨折直後から鍼治療を受けられますか?

骨折が不安定な時期は、整形外科での固定や手術を優先してください。

手術後に鍼治療を受けられますか?

骨折部と手術創が安定し、感染がなく、主治医の許可を得た後であれば検討できる場合があります。

腕や手のしびれに鍼治療を受けてもよいですか?

先に整形外科で、神経や血管の損傷、骨片や固定器具による圧迫がないか確認してください。

鍼治療で神経の圧迫を治せますか?

骨片やプレートなどによる物理的な神経圧迫を取り除くことはできません。原因に応じた整形外科での治療が必要です。

鍼治療費は自賠責保険から支払われますか?

医師の指示、施術の必要性、保険会社の承認などが必要になる場合があります。施術開始前に確認してください。

整形外科と鍼灸整骨院は併用できますか?

骨折部が安定し、主治医が施術を禁止しておらず、保険会社への確認が済んでいる場合に併用できることがあります。

鎖骨骨折で整骨院だけへ通ってもよいですか?

鎖骨骨折には画像検査、固定、手術、骨癒合の確認が必要です。整骨院だけで治療を完結させることはできません。

鎖骨骨折後の示談はいつ行うべきですか?

骨癒合、肩の可動域、痛み、しびれなどの経過が確定し、後遺障害申請の必要性を確認した後に示談するのが基本です。

まとめ

交通事故による鎖骨骨折は、肩や胸への直接的な衝撃だけでなく、転倒して腕や肩へ力が加わることでも発生します。

主な症状には次のものがあります。

・鎖骨周辺の強い痛み
・腫れや内出血
・鎖骨の変形
・肩や腕の運動制限
・腕や手のしびれ
・手の冷感や色の変化

特に、骨が皮膚を強く押している、腕や手がしびれる、手が冷たい、息苦しい場合は、速やかに救急医療機関を受診してください。

治療は骨折の状態に応じて、三角巾やアームスリングによる保存療法、プレートやスクリューを用いた手術などが行われます。

治療後も鎖骨の著しい変形、肩の可動域制限、慢性痛、神経症状などが残った場合は、後遺障害認定を申請できる可能性があります。

鍼治療は、折れた鎖骨を治したり、ずれた骨を元の位置へ戻したりするものではありません。

骨折が安定し、主治医から許可を得た後に、固定期間によって硬くなった周辺筋肉や慢性的な筋肉痛への補助的な施術として検討してください。