交通事故による腰椎破裂骨折の原因、症状、治療法、後遺症、慰謝料、そして鍼治療の有効性

交通事故で腰を強く打ち、医療機関で「腰椎破裂骨折」と診断されることがあります。

腰椎破裂骨折は、腰の骨である腰椎の椎体が、上下から押し潰されるような強い力を受けて複数方向へ砕ける骨折です。

一般的な圧迫骨折よりも損傷範囲が広く、砕けた骨片が神経の通り道である脊柱管へ入り込むことがあります。

そのため、激しい腰痛だけでなく、足のしびれや筋力低下、歩行障害、排尿・排便障害などを伴う可能性があります。

交通事故後に、

「腰の痛みがなかなか改善しない」

「手術後も足のしびれが残っている」

「リハビリが終わったのに腰が動かしにくい」

「後遺障害として認定されるのか知りたい」

「慰謝料はいくら受け取れるのか」

「残った腰痛に鍼治療を受けてもよいのか」

と悩む方も少なくありません。

腰椎破裂骨折は、骨折の状態によって緊急手術が必要になることもある重大な外傷です。

事故直後や骨折が安定していない時期に、自己流のストレッチ、腰の矯正、マッサージ、鍼治療などを行ってはいけません。

この記事では、交通事故による腰椎破裂骨折の原因、症状、検査、治療法、回復期間、後遺症、慰謝料、後遺障害認定、鍼治療を受ける際の注意点について詳しく解説します。

腰椎破裂骨折とは?

腰椎は、腰の部分にある5つの椎骨で構成されています。

それぞれの椎骨の前方には「椎体」と呼ばれる大きな部分があり、上半身の重さを支えたり、身体へ加わる衝撃を吸収したりしています。

腰椎破裂骨折とは、この椎体へ上下方向から非常に強い圧力が加わり、椎体が複数方向へ砕けるように骨折した状態です。

砕けた骨片が後方へ押し出されると、神経が通る脊柱管を狭くする可能性があります。

神経が強く圧迫または損傷されると、足のしびれ、麻痺、歩行障害、排尿・排便障害などが現れることがあります。

腰椎破裂骨折と圧迫骨折の違い

腰椎破裂骨折と圧迫骨折は、どちらも椎体が潰れる骨折ですが、損傷の程度が異なります。

腰椎圧迫骨折

圧迫骨折では、椎体の前方部分を中心に潰れることが多く、背骨の後方部分は保たれている場合があります。

神経症状を伴わない安定した骨折では、コルセットや薬、リハビリなどの保存療法が選択されることがあります。

腰椎破裂骨折

破裂骨折では椎体が複数方向へ砕け、後方の壁まで損傷する可能性があります。

骨片が脊柱管へ入り込んだり、靱帯が損傷したりすると、脊椎が不安定になり、神経障害を起こす危険性が高まります。

腰椎破裂骨折は、圧迫骨折よりも重症となる可能性が高く、手術が必要になるケースも少なくありません。

交通事故で腰椎破裂骨折が起こる原因

腰椎破裂骨折は、腰椎へ非常に大きな圧力が瞬間的に加わることで発生します。

交通事故では、次のような状況で起こる可能性があります。

正面衝突

車が正面から衝突すると、身体が急激に前方へ投げ出されます。

シートベルトで骨盤が固定されている状態で上半身が強く前へ曲がると、腰椎へ大きな圧縮力や屈曲力が加わります。

事故の速度や衝突方向によっては、椎体が耐えられず破裂骨折を起こす可能性があります。

車両の横転・転落

車が横転したり、高い場所から車両ごと転落したりすると、腰椎へ上下方向の強い力が加わります。

複数の椎骨の骨折や、胸部・腹部・骨盤などの損傷を伴う場合もあります。

バイク・自転車事故

バイクや自転車から投げ出され、尻もちをついたり、腰や背中から地面へ落下したりすると、衝撃が骨盤から腰椎へ伝わります。

バイク事故では身体を守る車体がないため、腰椎だけでなく、骨盤や手足などにも重い外傷を負う可能性があります。

歩行者事故

車にはねられて身体が宙へ浮き、路面へ腰や背中を強く打ち付けられた場合も、腰椎破裂骨折が起こる可能性があります。

高所からの転落

交通事故に関連して橋や道路脇などから転落した場合、足やお尻から着地した衝撃が腰椎へ集中します。

腰椎破裂骨折は、このような上下方向へ強い圧力が加わる事故で発生しやすい外傷です。

腰椎破裂骨折の主な症状

症状は、骨折した腰椎の位置、骨片の移動、脊柱管の狭窄、神経損傷の程度によって異なります。

激しい腰痛

事故直後から腰に強い痛みが現れることがあります。

次の動作で痛みが悪化する場合があります。

・起き上がる
・寝返りを打つ
・立ち上がる
・歩く
・身体を前へ曲げる
・身体を反らす
・咳やくしゃみをする
・深く呼吸する

身体を少し動かしただけでも激痛が走ることがあります。

腰を動かせない

骨折部分の痛みや脊椎の不安定性によって、腰を動かすことが難しくなります。

無理に起き上がったり歩いたりすると、骨片が移動して神経への影響が強まる可能性があります。

救急隊や医療従事者の指示があるまで、自己判断で身体を動かさないことが重要です。

足のしびれ・痛み

骨片や腫れによって神経が圧迫されると、腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足先にかけて、しびれや痛みが出ることがあります。

症状は片側だけでなく、両足へ現れる場合もあります。

足の感覚低下

皮膚へ触れた感覚や、温度、痛みを感じにくくなる場合があります。

左右で感覚が違う場合や、しびれの範囲が広がっている場合は、早急な検査が必要です。

筋力低下・麻痺

神経が強く圧迫または損傷されると、足に力が入りにくくなることがあります。

次のような症状が現れます。

・立てない
・歩けない
・膝が崩れる
・足首を持ち上げられない
・つま先立ちができない
・足を引きずる
・階段を上れない

進行する筋力低下や麻痺は、緊急性の高い症状です。

排尿・排便障害

腰椎周辺を通る神経は、膀胱や腸の働きにも関係しています。

神経が重く損傷すると、次の症状が現れることがあります。

・尿が出ない
・尿が出にくい
・尿を漏らす
・便を漏らす
・排尿や排便の感覚が分からない
・お尻や陰部周辺の感覚が鈍い

これらは馬尾神経などの重大な障害を示す可能性があるため、直ちに救急医療機関での対応が必要です。

腰椎破裂骨折が疑われる場合にやってはいけないこと

事故後に強い腰痛や足のしびれがある場合は、次の行動を避けてください。

・無理に立ち上がる
・自分で歩いて病院へ行く
・腰を曲げたり反らしたりする
・腰をひねる
・腰の骨を押して確認する
・マッサージを受ける
・ストレッチをする
・腰の矯正を受ける
・鍼治療を受ける
・入浴して身体を温める
・痛み止めだけで様子を見る

骨折が不安定な場合、無理に動くことで神経障害が悪化する可能性があります。

すぐに救急車を呼ぶべき症状

交通事故後に次の症状がある場合は、身体を動かさず救急要請してください。

・腰に耐えられないほどの痛みがある
・事故後に立てない
・足に力が入らない
・両足がしびれている
・足の感覚が鈍い
・麻痺がある
・しびれや筋力低下が悪化している
・尿が出ない
・尿や便を漏らす
・お尻や陰部の感覚がない
・呼吸が苦しい
・意識がぼんやりしている
・胸部や腹部にも強い痛みがある

腰椎破裂骨折の検査

腰椎破裂骨折が疑われる場合は、救急科や整形外科で画像検査を受けます。

レントゲン検査

腰椎の骨折、椎体の高さ、背骨の配列、変形などを確認します。

ただし、レントゲンだけでは骨片の位置や脊柱管内への影響を十分に確認できない場合があります。

CT検査

CTは、腰椎破裂骨折の評価で重要な検査です。

次の内容を詳しく確認できます。

・骨折線
・椎体の砕け方
・骨片の位置
・脊柱管への骨片の突出
・椎体の潰れ方
・後方部分の損傷
・手術に必要な骨の情報

MRI検査

MRIでは、骨だけでなく神経、椎間板、靱帯などの軟部組織を確認できます。

次のような場合に検討されます。

・足のしびれがある
・筋力低下がある
・脊髄や馬尾神経への影響が疑われる
・靱帯損傷が疑われる
・脊椎の安定性を確認する必要がある
・画像所見と症状が一致しない

神経障害がある脊椎外傷では、圧迫している骨片や軟部組織を確認するため、MRIが重要になる場合があります。

神経学的検査

医師が次の項目を確認します。

・足の筋力
・皮膚の感覚
・腱反射
・肛門周囲の感覚
・排尿・排便機能
・歩行能力
・左右差

事故直後だけでなく、治療中も症状が進行していないか繰り返し確認されます。

腰椎破裂骨折の重症度を決める要素

治療方法は、単に「破裂骨折」という診断名だけで決まるわけではありません。

主に次の内容を確認します。

・骨折した腰椎の位置
・椎体の潰れ方
・骨片が脊柱管へ入り込んでいる程度
・背骨の後方部分の損傷
・靱帯の損傷
・脊椎が安定しているか
・足のしびれや筋力低下
・排尿・排便障害
・複数箇所の骨折
・年齢や全身状態
・骨粗鬆症の有無

腰椎破裂骨折の治療方法

治療方法は、保存療法と手術療法に分かれます。

神経症状がなく、脊椎が安定している場合は保存療法が検討されます。

一方、骨折が不安定、椎体の潰れが大きい、神経障害がある場合は手術が必要になる可能性があります。

保存療法

コルセット・装具固定

硬いコルセットなどを使用し、骨折した腰椎を支えます。

腰椎へ加わる動きを抑え、骨折部分が安定するのを待ちます。

装着期間は骨折の状態によって異なるため、自己判断で外してはいけません。

薬物療法

痛みの程度に応じて、鎮痛薬や消炎鎮痛薬などが処方されます。

神経障害性疼痛がある場合は、一般的な痛み止めとは異なる薬が使用されることもあります。

安静と早期離床

骨折直後は安静が必要ですが、長期間の寝たきりは筋力低下、血栓、肺機能低下、関節の硬さなどにつながります。

医師が安全と判断した時期から、コルセットを使用して座る、立つ、歩くなどの練習を始めます。

定期的な画像検査

保存療法中に椎体の潰れや背骨の変形が進んでいないか、レントゲンやCTなどで確認します。

治療途中で不安定性が強まった場合は、手術へ変更されることもあります。

手術療法

不安定な破裂骨折では、固定術や神経の圧迫を取り除く手術が検討されます。

脊椎固定術

スクリューやロッドなどの金属器具を使用して、骨折した腰椎の上下を固定します。

目的は次のとおりです。

・不安定な腰椎を安定させる
・変形の進行を防ぐ
・神経を保護する
・早期離床を可能にする
・腰椎の配列を整える

骨折の状態によっては、背中側だけでなく、前方からの手術や前後両方からの手術が必要になる場合があります。

神経除圧術

骨片が脊柱管内へ入り込み、神経を圧迫している場合は、骨片などを取り除いて神経への圧迫を軽減します。

神経障害が進行している場合は、早急な手術が検討されることがあります。

骨移植

固定した部分の骨が癒合するように、自分の骨や人工骨などを移植する場合があります。

腰椎破裂骨折のリハビリ

手術後または保存療法中に骨折が安定してきたら、医師や理学療法士の指導でリハビリを行います。

目的は次のとおりです。

・寝たきりによる筋力低下を防ぐ
・安全に起き上がる方法を覚える
・立位や歩行能力を取り戻す
・体幹や下肢の筋力を回復する
・日常生活動作を改善する
・転倒や再受傷を防ぐ
・仕事への復帰を目指す

リハビリでは、骨折の状態に合わせて段階的に負荷を上げます。

自己判断で腹筋運動、腰をひねる運動、重い物を持つトレーニングなどを行ってはいけません。

腰椎破裂骨折の回復期間

回復期間は、骨折の重症度、神経障害、手術の有無、年齢、全身状態、仕事の内容などによって異なります。

骨が安定するまで数か月を要することがあります。

神経障害や大きな変形がある場合は、1年以上にわたり治療やリハビリが続くこともあります。

「3か月で必ず治る」「6か月で治療終了」と一律に判断することはできません。

主治医の診察と画像検査を受けながら、骨の癒合、神経症状、仕事や生活への影響を確認します。

腰椎破裂骨折で残る可能性がある後遺症

適切な手術やリハビリを受けても、骨折や神経損傷の程度によっては後遺症が残ることがあります。

慢性的な腰痛

骨折部分の変形、固定術による負担、周辺筋肉の緊張などによって、慢性的な腰痛が残る場合があります。

長時間の座位、立位、歩行、車の運転などで痛みが強くなることがあります。

腰椎の変形

椎体が潰れた状態で固まると、腰椎の後弯などの変形が残る可能性があります。

姿勢が変わることで、他の腰椎や背中の筋肉へ負担がかかる場合もあります。

腰の運動制限

腰を前へ曲げる、反らす、ひねるなどの動きが制限されることがあります。

脊椎固定術を受けた場合は、固定した範囲の動きが失われます。

足のしびれ・神経痛

骨折時に神経が損傷した場合や、変形・癒着による影響が残った場合は、足のしびれや神経痛が続くことがあります。

筋力低下・麻痺

神経損傷の程度によっては、足の筋力低下や麻痺が残る可能性があります。

装具や杖、車いすが必要になることもあります。

排尿・排便障害

馬尾神経などへの重大な損傷がある場合、排尿や排便の管理が必要になる可能性があります。

固定した隣接部分への負担

脊椎固定術を受けると、固定した腰椎の上下にある関節へ負担が集中する場合があります。

長期的には、隣接する椎間板や関節に変性が生じる可能性があります。

日常生活への影響

後遺症によって次の動作が難しくなる場合があります。

・長時間座る
・長時間立つ
・重い物を持つ
・身体を曲げる
・靴下を履く
・入浴する
・車を運転する
・階段を上り下りする
・子どもを抱き上げる
・家事や介護を行う

仕事への影響

特に次の仕事では、復帰が難しくなる可能性があります。

・建設作業
・運送業
・介護職
・製造業
・立ち仕事
・重量物を扱う仕事
・長距離運転
・中腰姿勢が多い仕事

デスクワークでも、長時間座ることで腰痛やしびれが強くなる場合があります。

交通事故の慰謝料を請求できる?

交通事故によって腰椎破裂骨折を負った場合は、事故との因果関係と治療の必要性が認められれば、損害賠償を請求できる可能性があります。

主な項目は次のとおりです。

・救急搬送費
・治療費
・手術費
・入院費
・リハビリ費
・通院交通費
・装具代
・付添看護費
・休業損害
・入通院慰謝料
・後遺障害慰謝料
・後遺障害逸失利益
・将来介護費
・住宅改造費
・車両改造費

入通院慰謝料

入通院慰謝料は、腰椎破裂骨折による痛みや、入院・通院を余儀なくされた精神的苦痛に対する補償です。

金額は主に次の内容によって変わります。

・入院期間
・通院期間
・実通院日数
・手術回数
・骨折の重症度
・神経障害の有無
・被害者側の過失割合
・使用する慰謝料基準

慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準・裁判基準があります。

重傷事故では、自賠責保険の傷害限度額を超える可能性が高く、超過部分は加害者側の任意保険などへ請求します。

休業損害

骨折によって仕事を休み、収入が減少した場合は、休業損害を請求できる可能性があります。

会社員だけでなく、自営業者、パート・アルバイト、家事従事者なども対象になる場合があります。

ただし、医師が休業の必要性を認めた期間や、実際の減収などを証明する必要があります。

後遺障害慰謝料

治療後も腰椎の変形、運動制限、しびれ、麻痺などが残り、後遺障害等級が認定された場合は、後遺障害慰謝料を請求できる可能性があります。

逸失利益

後遺障害によって労働能力が低下し、将来得られたはずの収入が減少すると考えられる場合は、逸失利益を請求できる可能性があります。

年齢、職業、収入、後遺障害等級、労働能力への影響などを基に算定します。

腰椎破裂骨折と後遺障害認定

腰椎破裂骨折によって症状が残った場合は、後遺障害等級認定を申請できる可能性があります。

後遺障害の対象として検討されるのは、主に次の障害です。

・脊柱の変形障害
・脊柱の運動障害
・足の神経症状
・下肢の麻痺
・排尿・排便障害
・介護を必要とする神経障害

国土交通省の後遺障害等級表には、脊柱の変形・運動障害や、神経系統の機能障害などに関する項目が定められています。

具体的な等級は、画像所見、神経障害、可動域、介護の必要性などによって個別に判断されます。

後遺障害認定で確認される内容

主に次の資料や状態が確認されます。

・事故状況
・救急搬送記録
・初診時の診断
・レントゲン、CT、MRI画像
・椎体の潰れや変形
・骨片の位置
・手術記録
・固定した腰椎の範囲
・腰椎の可動域
・足の筋力
・感覚障害
・腱反射
・排尿・排便障害
・治療経過
・リハビリ記録
・仕事や日常生活への影響
・後遺障害診断書

後遺障害診断書は医師が作成する

後遺障害診断書は医師が作成します。

整骨院や鍼灸院では、後遺障害診断書を作成できません。

後遺障害申請を考えている場合は、症状固定前から主治医へ次の内容を具体的に伝えてください。

・腰の痛みが出る動作
・座れる時間
・立てる時間
・歩ける距離
・足のしびれの範囲
・筋力低下
・排尿・排便への影響
・仕事でできなくなったこと
・家事や日常生活で困っていること

症状固定とは?

症状固定とは、治療を続けても大幅な改善が期待できない状態をいいます。

症状固定の時期は、保険会社が一方的に決めるものではありません。

骨の癒合、神経症状、追加手術の必要性、リハビリによる改善の可能性などを確認し、基本的には主治医が医学的に判断します。

症状固定後は、一般的に治療費ではなく、残った症状を後遺障害として評価する段階へ移ります。

腰椎破裂骨折に鍼治療は有効?

腰椎破裂骨折に対する鍼治療の位置づけには、十分な注意が必要です。

鍼治療で骨折は治せない

鍼治療によって、砕けた腰椎を接合したり、脊柱管内へ入り込んだ骨片を取り除いたりすることはできません。

また、金属で固定した腰椎を元の状態に戻すこともできません。

腰椎破裂骨折の治療の中心は、整形外科や脊椎外科で行う次の治療です。

・画像検査
・脊椎の固定
・薬物療法
・神経の状態確認
・リハビリテーション
・必要に応じた手術

鍼治療は、これらの治療に代わるものではありません。

骨折が安定する前は鍼治療を受けない

事故直後、手術前、手術直後、骨癒合前、脊椎が不安定な時期は、鍼治療や整骨院の施術を優先してはいけません。

まず医療機関で骨折の状態を安定させ、神経障害の有無を確認する必要があります。

残った筋緊張や慢性痛への補助的施術

骨折が癒合または安定し、医師から施術の許可が出た後であれば、腰や背中周辺の筋緊張、手術後の周辺筋肉の張り、慢性的な痛みに対し、補助的な方法として鍼治療を検討する場合があります。

ただし、効果には個人差があります。

骨片による神経圧迫、腰椎の不安定性、重度の神経損傷が原因の場合は、鍼治療で根本的に改善することはできません。

足のしびれが残っている場合

リハビリ終了後も足のしびれがある場合は、鍼治療を始める前に整形外科へ相談してください。

特に次の症状がある場合は、再検査を優先します。

・しびれが悪化している
・しびれの範囲が広がっている
・足に力が入らない
・つまずくようになった
・歩ける距離が短くなった
・排尿や排便に変化がある
・手術後に新しい症状が出た

必要に応じてCTやMRIなどの検査が検討されます。

手術後に鍼治療を受ける際の注意点

手術後に鍼治療を受ける場合は、次の点を確認します。

・手術創が完全に治っている
・感染症がない
・骨折部分が安定している
・主治医から許可を得ている
・抗凝固薬の使用状況を伝える
・固定されている腰椎の範囲を伝える
・金属器具の位置を伝える
・足の神経症状を伝える

手術部分や感染リスクのある場所へ安易に鍼を刺してはいけません。

自賠責保険で鍼治療を受けられる?

交通事故後の鍼灸施術費が補償対象になるかは、医師の指示、施術の必要性、保険会社の承認などによって異なります。

鍼治療を開始する前に、次の確認が必要です。

1.主治医へ鍼治療を受けてもよいか相談する
2.医師の指示や同意が必要か確認する
3.保険会社へ事前に連絡する
4.施術費が補償対象になるか確認する
5.整形外科への定期通院を継続する

事前確認をせずに鍼灸院へ通院すると、施術費が補償されない可能性があります。

鍼灸整骨院かまたきでの対応

鍼灸整骨院かまたきでは、腰椎破裂骨折そのものを治療することはできません。

腰椎破裂骨折の診断、画像検査、固定、手術、薬の処方は、整形外科や脊椎外科で行います。

当院で相談を受け付けるのは、原則として次の条件を満たす方です。

・医療機関で腰椎破裂骨折の診断を受けている
・必要な手術や保存療法を終えている
・骨折した腰椎が安定している
・主治医から施術を禁止されていない
・医療機関で現在の痛みやしびれを確認している
・保険会社への必要な確認が済んでいる
・リハビリ後も周辺筋肉の張りや慢性痛が残っている

施術を検討する際は、診断名、骨折した腰椎の位置、手術方法、固定範囲、神経症状、医師の指示などを確認します。

次の症状がある場合は、当院への来院より医療機関を優先してください。

・足の筋力低下
・歩行障害
・急激に悪化するしびれ
・両足の麻痺
・排尿・排便障害
・お尻や陰部の感覚低下
・発熱
・手術部分の腫れや赤み
・強い安静時痛

よくある質問

腰椎破裂骨折とは何ですか?

腰椎の椎体へ強い圧力が加わり、椎体が複数方向へ砕けるように骨折した状態です。骨片が脊柱管へ入り込み、神経を圧迫することがあります。

腰椎圧迫骨折とは何が違いますか?

圧迫骨折は椎体の前方を中心に潰れることが多いのに対し、破裂骨折は椎体が広い範囲で砕け、後方の壁や神経へ影響する可能性があります。

交通事故で腰椎破裂骨折になることはありますか?

正面衝突、車両の横転・転落、バイク事故、歩行者事故などで腰椎へ強い圧力が加わると発生する可能性があります。

腰椎破裂骨折でも歩けることはありますか?

神経障害が軽い場合は歩けることもあります。しかし、歩けるから軽傷とは限りません。無理に歩かず医療機関で検査を受けてください。

腰椎破裂骨折の主な症状は何ですか?

激しい腰痛、腰の動作制限、足のしびれ、感覚低下、筋力低下、麻痺、排尿・排便障害などが現れる可能性があります。

足に力が入らない場合はどうすればよいですか?

重大な神経障害の可能性があります。身体を無理に動かさず、直ちに救急医療機関を受診してください。

尿が出ない場合は関係ありますか?

馬尾神経などが障害されている可能性があります。尿が出ない、尿や便を漏らす場合は緊急受診が必要です。

腰椎破裂骨折はレントゲンで分かりますか?

レントゲンで骨折や変形を確認できる場合がありますが、骨片の位置や脊柱管への影響を詳しく調べるにはCTが重要です。

MRI検査は必要ですか?

足のしびれや筋力低下、靱帯損傷、神経への圧迫が疑われる場合などにMRIが検討されます。

腰椎破裂骨折は手術が必要ですか?

すべてのケースで手術が必要とは限りません。脊椎の不安定性、椎体の変形、骨片の位置、神経障害などを確認して判断します。

保存療法では何をしますか?

コルセットなどによる固定、薬物療法、一定期間の安静、段階的なリハビリ、定期的な画像検査などを行います。

手術では何をしますか?

スクリューやロッドによる脊椎固定術、骨片などによる神経圧迫を取り除く除圧術、骨移植などが検討されます。

コルセットはいつまで着けますか?

骨折の状態、骨の癒合、手術の有無などによって異なります。自己判断で外さず、主治医の指示に従ってください。

回復までどれくらいかかりますか?

数か月を要することがあり、神経障害や大きな変形がある場合は1年以上治療やリハビリが続くこともあります。

リハビリでは何をしますか?

安全な起き上がり方、立位・歩行練習、体幹・下肢の筋力回復、日常生活動作の練習、職場復帰訓練などを行います。

腰椎破裂骨折ではどのような後遺症が残りますか?

慢性腰痛、腰椎の変形、運動制限、足のしびれ、筋力低下、麻痺、排尿・排便障害などが残る可能性があります。

交通事故の腰椎破裂骨折で慰謝料を請求できますか?

事故との因果関係と治療の必要性が認められれば、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などを請求できる可能性があります。

慰謝料はいくらですか?

入院・通院期間、手術の有無、骨折の重症度、後遺障害、過失割合、算定基準などによって異なります。

仕事を休んだ場合は補償されますか?

骨折によって休業する必要があり、実際に収入が減少したことを証明できれば、休業損害を請求できる可能性があります。

腰椎破裂骨折は後遺障害になりますか?

腰椎の変形、運動制限、足の神経症状、麻痺などが残り、所定の要件を満たした場合は認定される可能性があります。

骨折したら必ず後遺障害が認定されますか?

必ず認定されるわけではありません。画像所見、変形や運動制限、神経症状、治療経過などが総合的に審査されます。

後遺障害診断書は整骨院で書けますか?

書けません。後遺障害診断書は医師が作成します。

症状固定は保険会社が決めますか?

症状固定は医学的な判断です。骨の癒合や神経症状、今後の改善可能性を確認して主治医が判断します。

腰椎破裂骨折に鍼治療は有効ですか?

鍼治療で骨折を治したり、骨片を取り除いたりすることはできません。骨折が安定した後に、周辺筋肉の緊張や慢性痛への補助的な施術として検討される場合があります。

骨折直後から鍼治療を受けられますか?

受けるべきではありません。事故直後や骨折が不安定な時期は、医療機関での固定、検査、手術などを優先してください。

手術後に鍼治療を受けられますか?

骨折と手術創が安定し、主治医から許可を得た後であれば、補助的な施術として検討できる場合があります。

足のしびれが残っていても鍼治療を受けられますか?

最初に整形外科で神経圧迫や損傷の状態を確認してください。筋力低下や歩行障害を伴う場合は再検査を優先します。

鍼治療費は自賠責保険から支払われますか?

医師の指示、施術の必要性、保険会社の承認などが必要になる場合があります。施術開始前に主治医と保険会社へ確認してください。

整形外科と鍼灸整骨院を併用できますか?

主治医と保険会社へ相談し、骨折が安定していることを確認したうえで併用できる場合があります。

腰椎破裂骨折で整骨院だけへ通ってもよいですか?

腰椎破裂骨折は、画像検査、固定、手術適応の判断が必要な重大な外傷です。整骨院だけで治療を完結させることはできません。

示談はいつ行えばよいですか?

治療が終了し、症状固定と後遺障害申請の必要性を確認し、損害全体が確定してから示談するのが基本です。

まとめ

交通事故による腰椎破裂骨折は、腰椎の椎体が複数方向へ砕け、骨片が神経の通り道へ入り込む可能性がある重大な外傷です。

主な症状には次のものがあります。

・激しい腰痛
・腰の運動制限
・足のしびれ
・感覚低下
・筋力低下
・麻痺
・歩行障害
・排尿・排便障害

特に、足に力が入らない、歩けない、排尿や排便に異常がある場合は、重大な神経障害の可能性があります。

身体を無理に動かさず、直ちに救急医療機関を受診してください。

治療は、骨折の安定性や神経障害の程度に応じて、コルセットなどによる保存療法、脊椎固定術、神経除圧術、リハビリなどが行われます。

治療後も腰椎の変形、運動制限、慢性腰痛、足のしびれや麻痺などが残った場合は、後遺障害等級認定を申請できる可能性があります。

鍼治療は、砕けた腰椎を治したり、神経を圧迫している骨片を取り除いたりする治療ではありません。

骨折が安定し、主治医から許可を得た後に、残った筋肉の緊張や慢性痛へ対応する補助的な施術として検討します。

リハビリ終了後も痛みやしびれが残っている場合は、まず整形外科で腰椎と神経の状態を再確認し、そのうえで鍼灸施術を併用できるか相談しましょう。