交通事故で意識不明になる原因・症状・後遺症・慰謝料を徹底解説

交通事故で頭や身体に大きな衝撃を受け、「家族が意識不明になった」「いつ意識が戻るのだろう」「意識が戻っても後遺症が残るのではないか」と不安を抱えている方もいるでしょう。

交通事故後の意識障害は、頭部外傷だけでなく、頭蓋内出血、脳への酸素供給不足、重度の出血やショックなど、さまざまな原因によって起こる可能性があります。

また、意識を取り戻したからといって必ず元の状態へ戻れるとは限りません。脳が損傷している場合には、記憶力や注意力の低下、性格の変化、麻痺などが残り、高次脳機能障害などが問題になることがあります。国土交通省も、自動車事故などによる脳損傷によって認知障害や人格変化、運動麻痺などが生じ、仕事や日常生活に支障をきたすことがあると説明しています。

この記事では、交通事故で意識不明になる主な原因、事故現場での対応、病院での検査・治療、回復後に考えられる後遺症、後遺障害、慰謝料・介護に関する補償まで詳しく解説します。

目次

交通事故で「意識不明」とはどのような状態?

「意識不明」は病名そのものではありません。

事故によって脳や身体へ大きなダメージを受け、呼びかけなどに正常な反応ができなくなっている状態を指す一般的な表現です。

実際の医療現場では、意識がある・ないという二択だけではなく、呼びかけへの反応、目を開けるか、身体を動かせるかなどを確認しながら意識レベルが評価されます。

交通事故直後に一時的に意識を失って、その後すぐ回復する場合もあれば、重度の脳損傷などによって意識障害が長期間続く場合もあります。

重要なのは、「意識が戻ったから大丈夫」と自己判断しないことです。

事故直後に一度でも意識を失った場合や、事故前後の記憶がない、強い頭痛や嘔吐、けいれん、手足の麻痺などがある場合には、医療機関での評価が必要です。

交通事故で意識不明になる主な原因

交通事故による意識障害には複数の原因があります。

現在の記事では、外傷性脳損傷、頭蓋内出血、低酸素状態、ショックなどを挙げています。この方向性は残して問題ありません。

外傷性脳損傷

交通事故で頭部へ強い衝撃が加わると、脳そのものが損傷することがあります。

自動車同士の衝突だけでなく、バイクや自転車から投げ出されて頭を打つ、歩行中に車にはねられて路面へ頭を打ちつけるなど、さまざまな状況で発生する可能性があります。

脳の損傷程度によっては意識障害だけでなく、麻痺、記憶障害、注意障害などが残る場合があります。

頭蓋内出血

交通事故による強い衝撃で頭蓋骨内部の血管が損傷すると、頭蓋内で出血することがあります。

出血によって脳が圧迫されれば、意識レベルが低下する可能性があります。

事故直後には会話ができていても、その後状態が悪化する場合もあるため注意が必要です。

脳への酸素不足

交通事故によって呼吸や循環に重大な問題が起きると、脳へ十分な酸素が届かなくなることがあります。

脳は酸素不足の影響を受けやすいため、重度の低酸素状態では意識障害や脳機能への影響が生じる可能性があります。

大量出血・ショック

交通事故では頭部だけでなく、胸部、腹部、骨盤などを負傷して大量出血することがあります。

重度の出血などによって血圧が低下し、脳へ十分な血液を送れなくなると意識障害が起こる可能性があります。

したがって、交通事故による意識不明では**「頭を打ったから意識を失った」と決めつけることはできません。**

全身状態を含めた緊急評価が必要になります。

交通事故後に意識がない人がいたらどうする?

交通事故現場で意識のない人がいる場合は緊急事態です。

まず119番へ通報し、救急隊の指示に従ってください。

呼吸状態などを確認し、必要な場合には119番の通信指令員などの指示を受けながら心肺蘇生などを行います。

一方で、交通事故では頚椎などを損傷している可能性もあります。

そのため、道路上にいて二次事故の危険があるなど、やむを得ない場合を除き、不必要に身体を動かさないことも重要です。

現在の記事には「可能な範囲で安全な場所に移動」とありますが、これだけでは事故被害者を不用意に動かしてしまう可能性があるため、今回の表現へ変更することをおすすめします。

意識が戻った場合も病院へ

事故現場では一時的に意識を失っていたものの、その後、

「大丈夫です」
「痛くありません」
「普通に話せます」

という状態へ戻る場合があります。

しかし、一度でも交通事故後に意識を失った場合には自己判断で帰宅せず、医療機関で評価を受けることが重要です。

特に、

強い頭痛、繰り返す嘔吐、強い眠気、けいれん、手足の麻痺、会話がおかしい、事故前後の記憶がない、意識状態が再び悪くなる

などの異常がある場合には緊急性があります。

病院ではどのような検査をする?

交通事故による意識障害では、原因を特定するために全身状態や神経学的な状態を確認します。

頭部外傷が疑われる場合には、状態に応じてCTなどの画像検査が行われます。

CTでは頭蓋内出血や頭蓋骨骨折などを確認できます。

必要に応じてMRIなどの検査が行われる場合もありますが、「意識不明なら必ずCTとMRIの両方を行う」というわけではありません。

事故状況、症状、意識レベル、身体所見などから医師が必要な検査を判断します。

意識が戻るまでどれくらいかかる?

家族が交通事故で意識不明になった場合、最も知りたいことの一つが、

「いつ意識が戻るのか」

だと思います。

しかし、意識が回復するまでの期間を一律に予測することはできません。

意識障害を起こしている原因、脳損傷の程度、損傷部位、低酸素状態の有無、合併損傷、治療への反応などによって大きく異なるからです。

数分・数時間で意識が戻るケースと、長期間にわたって重い意識障害が続くケースを同じように考えることはできません。

担当医から画像検査や神経学的な状態などについて説明を受け、経過を見ていくことになります。

意識が戻れば元の生活に戻れる?

意識を取り戻すことと、事故前と同じ状態まで回復することは同じではありません。

特に脳外傷がある場合には、意識が回復した後にさまざまな症状が明らかになることがあります。

国土交通省では、自動車事故などによる脳外傷後の高次脳機能障害について、認知障害や人格変化などが現れ、仕事や日常生活へ支障をきたすことがあると説明しています。また、半身の運動麻痺や起立・歩行の不安定などを伴う場合もあります。

そのため、意識が回復した後も継続的な評価やリハビリが重要になります。

交通事故で意識不明になった後に残る可能性がある後遺症

意識不明そのものが後遺症を作るというより、意識障害を引き起こした脳損傷などによって後遺症が残る可能性があると考える方が正確です。

記憶障害

新しいことを覚えにくくなったり、事故前後の記憶が失われたりする場合があります。

日常会話では問題がないように見えても、

「約束を忘れる」
「同じ質問を何度もする」
「仕事の手順を覚えられない」

などの問題が明らかになることがあります。

注意・集中力の低下

長時間集中できない、複数の作業を同時にできない、周囲の刺激に気を取られるなどの症状が出ることがあります。

事故前と比べて仕事の効率が大きく低下する場合もあります。

性格・感情の変化

脳損傷後には、事故前と比べて怒りっぽくなる、感情をコントロールしにくくなるなどの変化が現れることがあります。

本人が変化を認識しにくく、家族が最初に気付くケースもあります。

言語障害

脳の損傷部位によっては、言葉が出にくい、相手の言葉を理解しにくいなど、コミュニケーションに影響が出る場合があります。

運動障害

脳損傷によって手足の麻痺や歩行障害などが残る場合があります。

国土交通省も、脳外傷による高次脳機能障害に半身の運動麻痺や起立・歩行の不安定などが伴う場合があるとしています。

高次脳機能障害とは?

交通事故後に意識が戻り、外見上は回復しているように見えても、

「事故前と性格が違う」
「記憶力が大きく落ちた」
「仕事ができなくなった」
「集中できない」
「感情をコントロールできない」

などの変化が現れる場合があります。

その一つとして考えられるのが脳外傷による高次脳機能障害です。

国土交通省では、自動車事故などによって脳が損傷し、認知障害や人格変化などが現れて仕事や日常生活に支障をきたす障害と説明しています。

また、自賠責保険では交通事故による高次脳機能障害について、脳神経外科医や弁護士などで構成する専門部会を設け、後遺障害等級を審査・認定する仕組みがあります。

家族だから分かる変化を記録しておく

高次脳機能障害では、画像検査だけではなく、事故前と事故後で日常生活がどのように変化したのかも重要になります。

例えば、

事故前には一人でできたことができなくなった、同じ話を繰り返すようになった、性格が変わった、金銭管理ができなくなった、一人で外出できなくなった、仕事へ復帰できない

などです。

本人自身が症状を十分認識できない場合もあるため、家族が日常生活で感じた変化を記録しておくことは、その後の診療や状態の把握にも役立ちます。

意識障害が長期間続いた場合

重度の脳損傷では、意識障害が長期間続き、日常生活で常時または随時の介護が必要になる場合があります。

このような重度のケースでは、医療費だけでなく、将来の介護や生活環境などについても考えなければなりません。

自賠責保険では、神経系統の機能や精神などに著しい障害が残り介護を必要とする後遺障害について、通常の後遺障害とは別の区分が設けられています。

交通事故で意識不明になった場合の慰謝料

ここは現在の記事より大きく改善したい部分です。

交通事故で意識不明になったからといって、

「意識不明○日=慰謝料○万円」

と単純に決まるわけではありません。

交通事故の人身損害では、治療段階の損害と、治療後に後遺障害が残った場合の損害を分けて考える必要があります。

自賠責保険では傷害による損害として、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料などが対象となり、被害者1人につき120万円が支払限度額です。

ただし、120万円すべてが慰謝料という意味ではありません。

治療費などを含めた傷害部分全体の限度額です。

後遺障害が残った場合は別に補償される可能性がある

治療を続けても脳機能障害や身体機能障害などが残った場合には、後遺障害認定を検討することがあります。

国土交通省では、交通事故による傷害が治ったときに身体へ残った精神的・肉体的な障害について、事故による傷害との相当因果関係があり、その存在が医学的に認められる場合に後遺障害の対象となるとしています。

後遺障害として認定された場合には、障害の程度に応じて逸失利益や慰謝料などが対象となります。

介護が必要になった場合の自賠責保険

重度の脳損傷などによって介護が必要な状態が残った場合には、自賠責保険で「介護を要する後遺障害」に該当する可能性があります。

国土交通省による自賠責保険の支払限度額は、

常時介護を要する第1級:4,000万円
随時介護を要する第2級:3,000万円

です。

一方、介護を要する後遺障害以外では、第1級3,000万円から第14級75万円までの支払限度額が設定されています。

ここでも注意したいのは、これらは慰謝料だけの金額ではなく、自賠責保険における後遺障害による損害の支払限度額ということです。

後遺障害の申請はいつ行う?

事故直後の意識不明の段階で後遺障害等級を決めるわけではありません。

国土交通省では、治療を行ってもそれ以上の医療効果が期待できず、将来的にも回復が見込めない状態になった場合に、医師が症状固定を判断し、後遺障害に関する手続きを行うことができるとしています。

したがって、

事故→救命治療→入院・治療→リハビリ→症状固定→後遺障害申請

という流れになることがあります。

自賠責保険の被害者請求では、後遺障害については症状固定日の翌日から3年以内が請求期限となっています。

意識不明になった交通事故では記録を残しておく

重度の交通事故では治療期間が長くなる可能性があります。

そのため、本人だけでなく家族も、

事故状況、入院期間、手術内容、意識状態の変化、リハビリ内容、医師から受けた説明、事故前後の日常生活の変化、仕事への影響、介護内容

などを可能な範囲で記録しておくとよいでしょう。

国土交通省でも、交通事故被害者本人や家族が事故概要などの記録を残し、利用できる支援制度を把握するための「交通事故被害者ノート」を提供しています。

意識不明になった事故で整骨院を利用する場合

このページでは、無理に整骨院への誘導を強くしない方がよいです。

交通事故による意識障害は、脳や全身の重大な損傷が隠れている可能性があるため、救急医療・脳神経外科などによる診断と治療が最優先です。

意識障害や脳損傷そのものを整骨院で治療することはできません。

その後、医療機関で必要な治療を受け、医師から身体を動かすことについて問題がないと判断された段階で、事故による別の筋肉・関節症状などが残っている場合には、その症状について施術を検討するという位置付けが適切です。

よくある質問

交通事故で意識不明になる原因は何ですか?

外傷性脳損傷、頭蓋内出血、低酸素状態、大量出血によるショックなど、さまざまな原因が考えられます。意識不明は病名ではないため、医療機関で原因を特定することが重要です。

交通事故で一度意識を失っても、すぐ戻れば大丈夫ですか?

自己判断はおすすめできません。一時的でも意識を失った場合には頭部などを損傷している可能性があるため、医療機関で評価を受けることが重要です。

意識不明からいつ目覚めるか分かりますか?

一律には予測できません。原因、脳損傷の程度、損傷部位、低酸素状態の有無、合併損傷などによって大きく異なります。

意識が戻れば後遺症は残りませんか?

意識が戻っても、原因となった脳損傷などによって記憶障害、注意障害、人格変化、麻痺などが残る場合があります。脳外傷による高次脳機能障害が問題になるケースもあります。

高次脳機能障害とは何ですか?

自動車事故などで脳が損傷したことによって、認知障害や人格変化などが現れ、仕事や日常生活へ支障をきたす障害です。運動麻痺などを伴う場合もあります。

意識不明になったら後遺障害になりますか?

意識不明になった事実だけで後遺障害等級が決まるわけではありません。治療後にどのような障害が残り、それが事故による傷害と因果関係を有し、医学的に認められるかなどが重要です。

介護が必要になった場合も自賠責保険の対象ですか?

神経系統の機能や精神などに著しい障害が残り介護が必要となった場合には、自賠責保険の介護を要する後遺障害に該当する可能性があります。支払限度額は常時介護を要する第1級で4,000万円、随時介護を要する第2級で3,000万円です。

意識不明になった場合の慰謝料はいくらですか?

「意識不明○日なら○万円」という決まりではありません。治療期間、傷害内容、後遺障害の有無などによって異なります。また、自賠責保険の支払限度額と慰謝料そのものの金額は別なので注意が必要です。

まとめ

交通事故による意識不明は、外傷性脳損傷、頭蓋内出血、低酸素状態、大量出血・ショックなど、重大な損傷によって起こる可能性があります。

事故現場で意識のない人がいる場合には、すぐに119番へ通報して救急隊の指示に従うことが重要です。

また、意識が回復したとしても、それだけで完全に回復したとは判断できません。脳損傷によって記憶障害、注意障害、人格変化、麻痺などが残り、高次脳機能障害が問題になることもあります。国土交通省でも、自動車事故による脳外傷後の高次脳機能障害について専門的な後遺障害認定が行われています。

治療後も障害が残った場合には後遺障害認定を検討します。自賠責保険では、介護を要する後遺障害について常時介護の第1級4,000万円、随時介護の第2級3,000万円の支払限度額が設定されています。

交通事故で重い意識障害が生じた場合には、治療だけでなく、その後のリハビリ、介護、仕事や生活への影響、後遺障害、損害賠償まで長期的に考えていく必要があります。