
自損事故とは相手のいない交通事故のことです。
相手の存在がない事故のため自分の負傷の有無に関わらず『物損事故』の扱いとなります。
自分に過失が100%あり、『単独事故』や『自爆事故』とも呼ばれています。
ここでは、どんな事故が自損事故にあたるのか、自損事故では保険が使えるのかを解説していきます。
自損事故ってどんな事故?
ハンドル操作ミスや判断ミスなど自分の運転ミスによって引き起された事故を自損事故と言います。
具体的には次のような事故があてはまります。
- 自分のハンドル操作ミスにより電柱に衝突する
- 車庫入れの際アクセルとブレーキを間違え壁に追突する
- カーブを走行中ハンドル操作ミスによりカーブを曲がりきれずガードレールに衝突する
このように自分のミスにより起きた事故で他人を巻き込んでいない交通事故がこれにあたります。
他人を巻き込んでいないため警察に届けるか判断に迷うかもしれませんが、実際はどうしたらよいのでしょうか?
警察への届け出は必要か?
自分が損害を負っただけの交通事故の場合も警察への報告義務があります。
電柱やガードレールなど公共物にぶつかった場合には、その損害を賠償する必要があります。たとえ軽く擦っただけの事故でも同様です。
警察に連絡さえしていれば、行政責任(免許証の点数)や、刑事責任の処罰対象にはなりません。
しかし、「軽くこすっただけだから」と、警察に連絡しないままでいると【当て逃げ】として捕まってしまう可能性があることを覚えておきましょう。
当て逃げは「安全運転義務違反」と「危険防止措置義務違反」の両方が科され計7点の違反点になります。これは最低でも30日の免許停止処分の対象になります。その他、懲役や罰金など重い刑が科されることもあるので警察へは必ず届け出をしましょう。。
免許の色は?
報告義務を怠り何らかの処罰の対象になった場合は違反履歴として残るので、ゴールド免許の方は次回免許更新時はブルーへ変更になります。
警察へ届け出さえしていればこんな処分は下されないので必ず報告しましょう。
交通事故証明書
警察に届け出すると交通事故証明書を取得することができます。
任意保険を使って保険金の請求をする場合にこちらが必要になってきます。
警察に届け出をしていれば保険金請求の手続きの際、保険会社の担当者が代わりに取得してくれます。
どんな保険が使えるのか?
自損事故の場合でも自分自身が負傷するケースや、同乗者がいた場合に同乗者にケガを負わせてしまうケースもあります。
また、車が破損してしまった場合や、他人の物を壊してしまった場合に、その損害を補償するにはどうしたらよいのでしょうか?
自賠責保険
自損事故でも、自分以外の同乗者に自賠責保険が使えます。
自賠責保険の補償範囲は『他人を死傷させた場合』に限られています。そのため、運転者本人とその家族(父母、配偶者、子供など)は他人にあたらない為、死傷した場合でも自賠責保険での補償は対象外です。
しかし、友達や同僚など、他人を乗せて交通事故を起こし他人にケガをさせてしまった場合には自賠責保険の対人補償が適応されます。
その他、自賠責保険は物に対する補償はありません。車やガードレールなど物が壊れてしまった場合の補償はないので覚えておきましょう。
任意保険
他人にケガをさせてしまった場合はもちろん、自分自身や家族が負傷した場合や、物を壊してしまった場合には任意保険から補償を受けることができます。
人身傷害保険
運転者本人や家族が負傷した場合、事故の責任のに関わらず保険金を請求することが出来ます。
搭乗者傷害保険
人身傷害保険の上乗せと考えていいでしょう。保険加入時にあらかじめ設定している金額をすぐに受け取ることが出来ます。
自損事故保険
人身傷害保険や搭乗者傷害保険に加入していない場合に補償を受けることができます。
一般的には自動車保険に自動で付帯されていることが多く、補償の範囲は小さいです。
対人賠償保険
自損事故の際、同乗者がいた場合にこちらの保険を使って補償することができます。同乗者が他人である場合のみ補償の対象となります。運転者本人とその家族(父母、配偶者、子供など)は補償の対象外です。
対物賠償保険
自分の車や塀など、自分の所有物に対する補償はありません。他人の物や、公共物(ガードレールや電柱など)を壊してしまった場合に修理にかかる損害額を補償します。
車両保険
自損事故の場合でも車両保険が使えることがあります。
車両保険は自分の車が損害を受けたときに補償されます。補償される範囲が加入の形によって異なっているので自分の保険がどのような形になっているか確認する必要があります。
自損事故で保険を使うと等級は下がるの?
自損事故を起こした場合でも任意保険に加入していれば、ケガの補償も車や物に対する補償も心配ないことが分かりました。「自動車保険を使うと翌年の保険料が上がる」と言う話を聞いたことがあるかと思いますが実際、自損事故で保険を使った場合、翌年の保険料はどうなるのでしょうか?
等級(ノンフリート等級)とは
任意保険の等級(ノンフリート等級)とは、1~20等級まであり、加入の状態によって割引率が適応される制度です。初めて任意保険に加入する場合6等級から始まり、保険を使った事故がなければ毎年1等級ずつ上がっていきます。数字が大きいほど割引率は高くなります。
一般的に保険を使った事故を起こした場合、3等級、または1等級ダウンします。
自動車保険は、使用する保険の内容によって等級が下がってしまうものと下がらないものがあります。
使うと等級が下がる保険
対人賠償保険、対物賠償保険、車両保険
交通事故で上記の保険を使い保険金を請求した場合、3等級ダウンとなり、翌年の保険料が高くなります。
使っても等級が下がらない保険
人身傷害保険、搭乗者傷害保険
上記の保険のみを使って保険金を請求した場合は、等級が下がることはないので、翌年の保険料が上がることはありません。
例えば、損害の額が小さいのに車両保険を使って修理してしまうと3等級ダウンし、翌年の保険料が大幅に上がる可能性があります。
保険を使った方がいいのか、使わず修理した方がいいのか迷った場合は、一度修理工場や保険の担当者に相談してみると良いでしょう。どちらが損をしないかアドバイスしてくれるはずです。
まとめ
軽微な事故であっても、自損事故を起こした場合にはトラブルを避けるためにも必ず警察に届け出をしましょう。
任意保険に加入していれば、ケガや治療費ほ心配をすることがなく治療に専念することができます。
交通事故によって身体に受ける衝撃は想像以上に強く、後から出るケースも多いです。
自損事故の場合、事故を起こしてしまった責任から自分自身の身体の治療を後回しにしてしまいがちですが、事故直後からしっかり治療を受けるようにしましょう。