
過失割合を元に賠償金が支払われます。
過失割合とは、交通事故が発生した原因がどちらにどの程度あるのか、どちらの方がより落ち度があったのかを割合で表したものです。
基本的に交通弱者(車対人では人)が被害者になります。
交通事故で発生した損害は、通常事故を起こした双方が過失割合に応じて負担します。そのため、被害者にも過失がある場合はその割合の分だけ賠償金が減額されることになります。
過失割合はどのようにして決まるのか?
過失割合は交通事故の賠償金にダイレクトに影響します。
過失割合は現場の目撃情報や状況を元に、事故を起こした双方に対して聞き取りを行い、保険会社同士が協議して双方の合意により決まるのが一般的です。
警察が行うものだと誤解されている方が多いですが実はそうではありません。
警察も現場に駆けつけて現場検証したり聞き取りして書類を作成したりしますが、警察がこれを行うのは刑事処分と行政処分を行うためです。
警察は民事に介入してはいけないという決まりがあるため、賠償金を決める為に必要な過失割合については介入しません。
過失割合が10対0になるケース
過失割合が10対0とは、被害者に一切過ちや不注意などの落ち度が無かったという状態です。
典型的なケースは以下の3つです。
①追突事故
信号待ちや渋滞などで停車している車や、路肩に停車している車に後方から走行してきた車が追突した場合の過失割合は、追突した車:追突された車=10:0となります。
ただし、追突された車が無意味な急ブレーキをかけたり、路肩に駐停車中に非常点滅灯を灯火していなかったなど、追突された車にも事故の発生原因があると判断された場合には10対0にはなりません。
②センターラインをオーバーした車との衝突事故
センターラインを超えて対向してきた車と衝突した場合の過失割合は、センターラインを超えた車:衝突された車=10:0となります。
ただし、衝突された車の方にも速度違反や飲酒運転などの違反行為がある場合には10対0とはなりません。
③青信号車と赤信号車との出会い頭事故
信号機のある交差点で、青信号に従って直進中の車の横から信号無視で突入してきた車が出会い頭に衝突した場合の過失割合は、青信号車:赤信号車=10:0となります。
ただし、赤信号車が明らかに先に交差点内に進入していた場合や、青信号車に速度違反があったような場合などでは、青信号車にも過失が認められる可能性があります。
過失割合が9対1となるケース
過失割合が9対1になる典型的なケースは以下の3つです。
①優先道路での出会い頭における事故
信号機のない交差点で、(A)優先道路を走行中の車と(B)優先道路でない側の道路を走行してきた車とが出会い頭に衝突した場合の過失割合は、A:B=9:1となります。
ただし、劣後車が明らかに先に交差点内に進入した場合や、優先車に速度違反があったような場合などでは9対1とならず、優先車の過失がより重くなります。
②一時停止規制がある道路での出会い頭における事故
一方に一時停止規制がある交差点内で、(A)一時停止規制のある道路を直進してきた車が減速せず、(B)一時停止規制がない道路を直進してきた車が減速してそれぞれ進入し出会い頭に衝突した場合の過失割合は、A:B=9:1となります。
ただし、Aが一時停止後に進入したかどうか、双方の進入速度がどれくらいであったかなどにより過失割合は変化します。例えば、Aが減速し、Bが減速しなかった場合の過失割合はA:B=7:3となります。
③路外に出るため右折しようとした車と対向直進車との衝突事故
(A)右折で路外に出ようとした車と(B)対向車線を直進してきた車とが衝突した場合の過失割合は、A:B=9:1となります。
ただし、Aがすでに右折の状態に入っていた場合や、Bに速度違反があったような場合などではBの過失がより重くなります。
過失割合が8対2になるケース
過失割合が8対2になる典型的なケースは以下の3つですす。
①交差点内における右折車と直進車の衝突事故
信号機のある交差点内で、青信号で右折しようとした車と青信号に従って直進しようとした車とが衝突した場合の過失割合は、右折車:直進車=8:2となります。
ただし、右折車がすでに右折の状態に入っていた場合や、直進車に速度違反があったような場合などではBの過失がより重くなります。
②黄信号車と赤信号車との衝突事故
信号機のある交差点内で、赤信号で進入してきた車と、交差する道路から黄信号で進入してきた車とが衝突した場合の過失割合は、赤信号車:黄信号車=8:2となります。
ただし、黄信号車の進入が赤信号に変わる直前であった場合や、黄信号車に速度違反があったような場合などでは黄信号車の過失がより重くなります。
③信号機のない交差点での出会い頭事故
信号機のない交差点で、(A)明らかに狭い側の道路を進行してきた車と(B)明らかに広い側の道路を進行してきた車とが、同程度の速度で交差点内に進入し、出会い頭に衝突した場合の過失割合は、A:B=8:2となります。
この場合、双方の車がどの程度の速度で交差点内に進入したかによって過失割合が異なります。Aが減速しBが減速しなかった場合はA:B=6:4、Aが減速せずBが減速した場合はA:B=9:1となります。
過失割合は修正されることがある
この記事では、交通事故の典型的なケースにおける基本的な過失割合をご紹介しました。しかし、実際の過失割合は具体的な状況や事情に応じて修正される場合もあると言います。
過失割合の主な修正要素として『著しい過失』や『重過失』があります。以下のような過失がある場合には、その人の過失が10%~30%ほど重くなることが考えられます。
著しい過失
- 酒気帯び運転
- 時速15㎞以上の速度違反
- 著しい前方不注視(脇見運転等)
- 携帯電話等の使用
- ハンドルやブレーキの操作が著しく不適切
重過失
- 無免許運転
- 酒酔い運転
- 居眠り運転
- 過労や病気、薬物の影響等で正常な運転ができないおそれがある状態
- 時速30㎞以上の速度違反
この他にも、多種多様な過失修正要素があります。
まとめ
保険会社は過失割合を決めるとき、過去の事例を参考にしながら『別冊判例タイムズ38』を参照して過失割合を提示してきます。そこで双方が納得したら過失割合が決定します。
まれに加害者の保険会社が保険金の支払額を少しでも抑えるため被害者に不利な主張をしてくることもあるので注意が必要です。
そんなときは、事故の発生状況を証明できる証拠を示して保険会社と交渉しなければなりません。その前提として、正しい過失割合を知ることが不可欠です。
保険会社を説得するためには専門的な知識と交渉力が要求されますので、提示された過失割合に納得できないときは弁護士に相談してみた方がよいでしょう。当院にご相談いただければ、交通事故に強い弁護士を紹介することもできます。
専門家のアドバイスを受け、適正な過失割合で示談することをおすすめします。