
自動車保険は大きく分けて2つの種類があります。
1つ目は「自賠責保険」、2つ目は「任意保険」です。
この2つの違いは簡単に説明すると義務か義務ではないかです。
自賠責保険
「自賠責保険」は全ての車に対し加入が義務づけられている 「強制保険」で 、加入していない車は、車検は通らず公道を走ることは出来ません。
自賠責保険は、他人を死傷させた場合に「人」に対しのみ損害を補償するための最低補償の保険です。
補償額には上限があり、自賠責保険で賄いきれないほど高額な場合には、任意保険か自己負担で対応する事になります。
また、相手の車の補償や、自分自身がケガをした場合には、自賠責保険から補償を受けることは出来ません。
任意保険
「任意保険」は必ずしも加入する義務はなく、加入していなくても公道を走ることが可能です。
しかし、万が一事故を起こしてしまった際、発生する賠償金や慰謝料はとても高額になるため自賠責保険だけではカバーしきれない部分を任意保険で補う役割がありとても大切な保険です。
加入率はおよそ75%で、4台に1台が任意保険に未加入のようです。
しかし、警視庁だ発表している2015年のデータによると、日本全国における1年間の事故発生件数は53万件。
単純に割ると1分に1件の交通事故が発生しているということになります。これは「自分は大丈夫!」とは言っていられないかもしれません。
「もしも」のための任意保険ですが、加入しようとしても保険料が高く補償内容も色々あるため、どうしたらいいか分からないという方も多いようです。自動車保険についてまとめてみたので参考にしてみてください。
補償内容の選び方
自動車保険に加入していても、もしもの時、補償がなければ意味がありません。
自動車保険の補償内容は大きく分けると「相手への補償」「自分への補償」「車の補償」の3つに分けられます。
それぞれ下記の名称で呼ばれます。

①相手への補償
・対人賠償保険
・対物賠償保険
②自分への補償
・人身傷害保険
・搭乗者傷害保険
・自損事故保険
・無保険者傷害保険
③車の補償
・車両保険
その他、保険会社によってさまざまなロードサービスがあり、もしもの時に備える事ができます。
任意保険は代理店型とネット型どちらを選ぶべき?
まずは、自動車保険には「代理店型」と「ネット型」という2つの加入方法があります。
「代理店型」は担当者と直接会い保険に加入する、従来型の手続きの方法です。
一方、「ネット型」は近年インターネットの普及に伴い増えてきた形で選択から加入までの全てをパソコンやスマホを使い自分で手続きする方法です。担当者と会う必要はなく自宅で手軽に加入することができます。
「代理店型」と「ネット型」、どちらも良さがあるので、どちらが自分に合うか参考にしてみてください。
代理店型の保険が合っているのはこんな方
・対面で話を聞ける方が安心できる方
・手続きなど面倒な事が苦手な方
・保険に疎く、自分で決めるより選んでほしい方
ネット型の保険が合っているのはこんな方
・保険料をおさえたい方
・わずらわしい面談などをなるべく避けたい方
・保険にある程度詳しく、自分で理解できる方
「代理店型」は「ネット型」と比べ保険料が割高ではありますが、もしもの時、相談できたり駆けつけてくれたりするので安心感があります。更新時、「うっかり手続きを忘れてしまった!」という心配もなさそうです。
「ネット型」は「代理店型」に比べて自分で調べたり決めたりしないといけないので、保険に詳しくない人は難しいと感じるでしょう。しかし、インターネットや電話を使って分からない事を保険会社に聞く事は可能です。
「ネット型」保険は難しいと敬遠されがちですが、近年インターネットの普及により年々増加傾向にあるようです。
基本的補償
対人賠償保険(相手への補償)
交通事故を起こした時、「人」に対して補償されるものです。
保険金額は無制限にするのが一般的です。。
交通事故の相手方と事故を起こした車の中に乗っていた運転者以外の搭乗者が補償の対象です。
対物賠償保険(自分や家族のための補償)
交通事故を起こした時、「物」に対して補償されるものです。
こちらも無制限にするにが一般的です。
交通事故により相手方の車やガードレールなど他人の財物を損壊してしまった場合に適応されます。
人身傷害保険(相手への補償)
交通事故にあった時、加害者が任意保険に加入していない場合、自分の治療費を自分の加入している保険会社から補ってもらう保険です。
自分(契約者側)の過失の有無を問わず契約時に決めた補償の範囲内で補償を受けられます。身体の治療費以外にも休業損害や慰謝料などが支払いの対象になります。
人身傷害保険は「車内のみ補償型」と「車内+車外補償型」の2つがあります。
①「車内のみ補償型」⇒保険料は安くなる分、契約中のお車に搭乗中のみ補償されます。
②「車内+車外補償型」⇒契約者とその家族が契約のお車に乗っていない時でも、自動車に関わる事故全般が補償の対象となります。
搭乗者損害(自分や家族のための補償)
この保険は人身傷害補償と同じく契約の車に乗っている人(自分と搭乗者)が補償の対象となります。
人身傷害との違いは支払いのタイミングです。
人身傷害が実際にかかった損害を計算し、後から支払われるのに対し搭乗者傷害は契約時に決めた一定額がすぐに支払われます。人身傷害の上乗せと考えてよいでしょう。
自損事故保険
運転中に自らハンドル操作を誤ってガードレールにぶつかってしまったなど、相手のいない単独事故の場合に、運転者の過失により交通事故を起こしてしまった場合に保険金が支払われます。
対人賠償保険や人身傷害保険に自動付帯されていることが多いです。
無保険者傷害保険
交通事故にあったとき相手が任意保険に加入していない場合に補償が受けられます。
人身傷害保険がついている場合はそちらからの補償が優先されるため両方から補償を受け取ることはできません。
また任意保険に加入しているけれど補償内容が不十分な場合や、ひき逃げや当て逃げなどで加害者が分からない場合も補償を受け取ることができます。
ただし死亡や後遺障害を負った時の補償のため、一般的なケガの場合の入院費や通院費は補償の対象外です。
車両保険
契約している車が壊れた場合に修理費用を補償する保険です。交通事故以外にも盗難や自然災害などで自分の車が損害を受けた場合に保険金が支払われます。
車両保険をつけるとどうしても保険料は高くなってしまうため自分に合った補償のみを選ぶことで保険料を抑えることができます。
ポイント① そもそも車両保険をつけるか、つけないか
ポイント② 補償範囲をどうするか
一般型
交通事故の補償に加え単独事故、自損事故、当て逃げ、盗難、自然災害などにも対応。
車に何か損害があった場合に保険金が支払われます。
オールマイティに対応する分、保険料も高くなります。
エコノミー型
相手のいる車同士の事故の場合にのみ保険金が支払われます。
相手が分からない事故の場合は対応されません。
車両保険を使える範囲が限定されている分、保険料は抑えられます。
ポイント③ 保険を利用する場合の免責金額はどうするか
免責金額は車両保険を利用した時に自分で支払う金額の事です。
この金額を高く設定すると毎月の保険料を抑えることができますが、0円にすると毎月の保険料は高くなります。
ポイント④ 保険金額はどうするか
車両保険につける保険金額は契約のお車の時価相当額で設定されるものなので、勝手に高い金額を設定することは出来ません。万が一の場合にはここで設定した金額を上限とし保険金が支払われます。
新車のときは保険金額が高く年数が経つにつれ徐々に低くなっていくのが一般的です。
車両保険をつけると保険料が高くなることから車両保険をつけている人の割合は、全体の半数ほどと言われています。
アドバイス
車の購入から何年も経っていたり中古で購入した場合など、多少のキズは気にしないという方は車両保険をつけていない場合も多いようです。
新車の場合やローンが残っている間は再び車を購入することによる、二重ローンをさけるためにも車両保険をつけることをお勧めします。
特約の種類について
基本的な補償は対人・対物・人身・車両の4つとなります。
その他、保険会社によって様々な特約があります。
運転する人のリスクに合わせ自分に合った補償を備えましょう。特約は基本補償にプラスでつけておくことで万が一の時、相手とのトラブルを防ぐことができます。
保険会社によってある特約、ない特約、あらかじめセットになっているものなど補償のつけ方や名称などが少しずつ異なっています。
〇弁護士費用特約
万が一の時、不慣れな交渉や手続き、費用を気にすることなく弁護士に手続きしてもらうことができます。
〇他車運転特約
契約のお車以外を運転している時、事故を起こしてしまった場合、自分の車の保険を使って補償を受け取ることができます。
〇ファミリーバイク特約
125CC以下の原付バイクを運転中に事故を起こしてしまった場合に利用できます。
〇対物超過特約
事故を起こしてしまった時相手の車に時価を超える修理費用が発生してしまった場合に超えた分の費用を補います。
〇個人賠償責任特約
日常生活において偶然の事故で他人をケガさせてしまったり他人の財物に損害を与えてしまったとき、その費用を補償する保険です。
この特約は自動車保険以外にも火災保険や地震保険にも付帯できるため重複していないか確認した方が良いでしょう。
自動車保険選び方のコツ
①運転する人はどんな人ですか?
「運転者限定特約」と「運転者年齢条件特約」を上手に使おう。

運転者限定特約
契約する車を運転する人を限定することで保険料をおさえることができます。
この特約に関わる家族とは家を出てⅠ人くらしている子供も入ります。
※「未婚の子」とは「結婚歴のない子」をさします。
離婚歴がある方が同居されている場合、同じ車を運転する場合は運転車限定を「限定なし」にする必要があります。
運転者年齢条件特約
運転する人の年齢を限定することで保険料を抑えることができます。
年齢条件にはいくつかの種類があり、一般的に若い人は交通事故のリスクが高いため保険料も高い傾向にあります。
この特約に関わる運転者の家族とは同居の家族に限ります。
別居している未婚の子がいる場合は、年齢条件に当てはまりません。
別居している子が運転する場合は上の運転者限定「家族」にすることで補償が受けられます。
②契約の車以外を運転しますか?
友人の車やレンタカーに乗ることもよくあるという方は他車運転特約という特約がおすすめです。
他に車にもバイクにもよく乗るという方はファミリーバイク特約を付帯することでバイク事故でのリスクに備えられます。
ただし125CC以下のバイクのみです。
③どのくらい車に乗りますか?
契約の際、年間走行距離やいつ乗るか?なども重要になってきます。
街乗りが多く年間走行距離が7000キロ以下の方や通勤には使わずプライベートのみという方も保険料は安くなる傾向にあります。
④他に加入している保険料はありますか?
家族で数台の車を持っている場合、弁護士費用特約と個人賠償特約はすべての車で加入する必要はありません。
こちらの補償範囲は契約者本人と同居の家族と別居の未婚の子となります。
保険料の無駄を防ぐためにチェックしておきましょう。
⑤どこまでの補償を必要とするか考えよう
リスクに備えてあれこれ特約をつけてしまったら保険料がとても高くなってしまいます。
自動車保険でカバーしたい補償はどこまでかをきちんと考えておきましょう。
例えば人身傷害特約と搭乗者傷害特約は事故を起こしケガをした際に支払われる保険金という点で同じです。
搭乗者傷害特約は、人身傷害特約の方が補償範囲も広いため上乗せと考えられるので保険料を抑えたい方は外してもいいでしょう。
その他自動車保険とは別に普通の傷害保険に加入している方、生命保険に加入していて通院や入院の補償がある方は人身傷害特約を車内のみにすることで保険料を抑えることができます。
人身傷害特約はあくまでも自動車事故によるケガに対する最低限の補償と考えて補償を小さくすることで保険料の負担を軽くすることができます。
18歳~20歳の方は保険料が高くなりがちです
運転経験が浅い18歳~20歳のうちはリスクが高いため保険料はどうしても高くなりがちです。
保険料を抑えるにはいくつかのポイントがあります。
①親の持っている車を「たまに」運転する程度なら1日保険を検討してみる!!
子供が免許を取ったから子供が乗るために条件を変えると運転者条件を限定なしまたは家族に変更し年齢条件を全年齢に変更する事になります。
この場合、保険料が5~6万も上がってしまうケースもあります。
たまにしか運転しないという場合は1日保険というものがあるのでそちらをチェックしてみましょう。
②車種によって保険路湯が異なります。
若いうちはエンジンの小さい車(軽自動車)や車両保険に入らなくても良いような中古者などを選択することで保険料の負担を減らすことができます。
③家族の等級を引き継ぐ
親の等級が20等級の場合、同居のお子様の等級を引き継ぐことができます。
この場合、親の等級は20等級⇒6等級になりますが年齢条件が35歳以上などほかの部分で割引がきくため保険料が大幅に上がることは防げます。
お子様は6等級⇒20等級になりますが、年齢条件は全年齢となります。しかし、等級の割引が大きいので保険料を抑えることができます。
車両保険を考える
万が一に備えるための補償なので保険料が負担になりすぎるのはさけたいです。
しかし車両保険を充実させるとどうしても保険料が高くなります。
車両保険が必要かどうかしっかり考えてみましょう。
ポイント①新車ですか?
新車のうちは車両保険に加入している方は多いです。
購入してすぐに事故にあった場合、また数百万の車を簡単に購入することは難しいので必要かと思います。
ポイント②ローンはありますか?
自動車ローンが残っているうちに事故にあってしまった場合、車が走行不能になってしまったら再度購入する必要があります。
こうした場合、二重ローンになってしまいます。
二重ローンをさけるためにローンがあるうちは車両保険に加入している方は多いようです。
ポイント③免責金額を選ぶ
免責金額とは実際に交通事故に合い保険を使う際自己負担する金額の事です。
もし免責金額を5万円に設定した場合、実際事故で生じた損害費用が20万円だった場合、自己負担となる5万円を差し引いた15万円が保険金として支払われます。
万が一の際の自己負担額がある分、月々の保険料が安く抑えられます。
免責金額は高いと保険料は安くなり低いと保険料は高くなります。
まとめ
自賠責保険があるため、任意の自動車保険の必要性を感じられない人もいるかもしれません。
しかし万が一、交通事故を起こしてしまった場合、自賠責保険の補償の範囲を超える高額な賠償額が発生することは珍しくありません。
公道には様々なドライバーがいます。その中で車を運転する以上、リスクをさせることは容易ではありません。
自動車事故は誰にでも起こる可能性があるという事を自覚しておきましょう。
任意の自動車保険に加入することで自賠責保険では補えない部分を補償してくれるので、万が一の時、相手への賠償責任をしっかり果たすことができます。
自分のライフスタイルに合った形にすることで保険料の無駄を省くこともできるので細かなところまでチェックして自分にピッタリの自動車保険を選びましょう。