
交通事故に遭うと、身体の痛みだけでなく、お金の問題も大きな不安になります。
「治療費は自分で払わないといけない?」
「仕事を休んだ分の給料はどうなる?」
「通院するための交通費は請求できる?」
「車の修理費は全額払ってもらえる?」
「後遺症が残って仕事ができなくなったらどうなる?」
交通事故によって生じる経済的負担は、単なる治療費だけではありません。
事故の内容によっては、
治療費
仕事を休んだことによる収入減少
通院交通費
車の修理費
代車費用
後遺障害による将来の収入減少
介護や生活環境の変更にかかる費用
など、生活のさまざまな部分に影響する可能性があります。
一方、交通事故による損害の中には、自賠責保険や任意保険、健康保険、労災保険などによって補償・給付の対象になるものがあります。
国土交通省によると、自賠責保険では傷害による損害として、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料などが支払対象となり、被害者1人につき120万円が傷害部分の限度額です。
この記事では、交通事故によって生じる主な経済的負担と、負担を軽減するために確認したい補償・手続きについて分かりやすく解説します。
- 1 交通事故で発生する経済的負担は治療費だけではない
- 2 治療費の負担
- 3 交通事故でも健康保険は使える
- 4 仕事中・通勤中の事故なら労災保険も確認する
- 5 通院交通費も経済的負担になる
- 6 診断書などの文書費用もかかる
- 7 仕事を休んだ場合は「休業損害」が問題になる
- 8 休業損害は「休んだ日数だけ」で決まるわけではない
- 9 有給休暇を使った場合はどうなる?
- 10 自営業者は収入減少の証明が重要
- 11 家事ができなくなった場合にも経済的影響がある
- 12 失職・退職まで発展すると負担が大きくなる
- 13 後遺障害が残った場合は長期的な負担になる
- 14 逸失利益とは?
- 15 重い後遺障害では介護費などが発生することもある
- 16 車の修理費も大きな負担になる
- 17 修理代が車の価値を超える「経済的全損」
- 18 代車費用も必ず全額認められるわけではない
- 19 過失割合によって自己負担が生じることがある
- 20 自賠責保険でどこまで補償される?
- 21 自賠責保険は車の修理費を補償しない
- 22 自分の人身傷害保険が使える場合もある
- 23 経済的負担を減らすには「証拠」を残す
- 24 事故後の家計負担を減らすために最初に確認すること
- 25 「保険会社が払ってくれるから記録は不要」ではない
- 26 交通事故後にお金で困ったら早めに相談する
- 27 よくある質問
- 28 まとめ
交通事故で発生する経済的負担は治療費だけではない
交通事故後に最初に思い浮かぶのは治療費かもしれません。
しかし、実際にはそれ以外にもさまざまなお金の問題が発生します。
例えば、
事故によって仕事を休む
車が壊れて通勤できなくなる
病院へ何度も通う必要がある
家事ができなくなる
後遺障害が残り以前と同じ仕事ができなくなる
といった状況です。
日本損害保険協会も、交通事故による損害として、ケガの治療費、休業による収入減少、自動車の破損などを挙げています。
そのため、事故後は「病院代だけ」を考えるのではなく、事故によってどのような支出や収入減少が発生したかを記録しておくことが重要です。
治療費の負担
交通事故でケガをすれば、
診察
検査
投薬
手術
入院
リハビリ
などの医療費が発生する可能性があります。
自賠責保険では、必要かつ妥当な治療費が傷害による損害として支払対象になります。
事故状況や保険会社の対応によっては、被害者が医療機関で治療費を一旦支払い、後から加害者側へ請求する場合があります。
一方、加害者側または被害者側の自動車保険会社が、医療機関へ直接治療費を支払う対応が行われることもあります。
交通事故でも健康保険は使える
ここは現在の記事から必ず修正してください。
現在の記事では、
「原則として交通事故では健康保険が適用されない」
と記載されています。
しかし、これは正しくありません。
厚生労働省は、自動車事故など第三者の行為によって生じたケガについても、健康保険などの医療保険の給付対象になると明記しています。
協会けんぽでも、業務中・通勤中の事故など労災保険が適用される場合を除けば、交通事故によるケガに健康保険を使用できると案内しています。
健康保険を使う場合は届出が必要
第三者による交通事故で健康保険を使用した場合、加入している健康保険へ**「第三者行為による傷病届」**などを提出する必要があります。
健康保険が負担した医療費については、後から健康保険側が加害者などへ求償する仕組みになっています。
そのため、
「交通事故=健康保険は使えない」
ではなく、
「交通事故でも健康保険を使えるが、第三者行為として必要な手続きを行う」
と理解するのが適切です。
仕事中・通勤中の事故なら労災保険も確認する
交通事故が、
仕事中
業務で移動中
通勤途中
などに発生した場合には、労災保険の対象になる可能性があります。
第三者がいる交通事故でも、労災保険の給付請求と加害者に対する損害賠償請求が関係することがあります。厚生労働省も、このような事故を「第三者行為災害」として取り扱っています。
ただし、同じ損害について二重に補償を受けることはできないため、損害賠償との調整が行われます。
仕事中や通勤中の事故の場合は、勤務先や労働基準監督署などへ確認しましょう。
通院交通費も経済的負担になる
病院へ通院するためには、
電車
バス
タクシー
自家用車
などの費用がかかります。
自賠責保険では、通院に必要かつ妥当な交通費が傷害による損害として支払対象になります。
そのため、
電車・バスの利用記録
タクシーの領収書
駐車場代などの記録
などを残しておくとよいでしょう。
ただし、どの交通手段でも無条件に全額認められるわけではなく、事故による通院に必要かつ相当な費用かどうかが重要になります。
診断書などの文書費用もかかる
交通事故の手続きでは、
診断書
診療報酬明細書
交通事故証明書
その他の証明書
などが必要になることがあります。
国土交通省によると、自賠責保険の傷害部分では、診断書や交通事故証明書などの文書料も支払対象となります。
事故関連の書類を取得した場合には、領収書や控えを保管しておきましょう。
仕事を休んだ場合は「休業損害」が問題になる
交通事故によるケガで仕事ができなくなれば、治療費だけでなく収入そのものが減る可能性があります。
このような損害を休業損害といいます。
自賠責保険でも、事故による傷害のために発生した収入減少が休業損害として支払対象になります。
対象になり得るのは会社員だけではありません。
状況によっては、
自営業者
個人事業主
家事従事者
などについても休業損害が問題になる場合があります。
休業損害は「休んだ日数だけ」で決まるわけではない
現在の記事では、
「会社員=1日平均賃金×休業日数」
「主婦=日額5,000~8,000円」
など、かなり単純化された説明になっています。
しかし、実際の休業損害は、
事故前の収入
職業
実際の休業日数
事故と休業との因果関係
収入減少の有無
などによって判断されます。
そのため、記事では具体的な金額を一律に断定するより、
「収入資料や休業の必要性をもとに算定される」
と説明する方が安全です。
会社員であれば、勤務先に休業損害証明書の作成を依頼するケースがあります。
有給休暇を使った場合はどうなる?
交通事故後、
「欠勤扱いになると困るから有給休暇を使った」
という方もいます。
有給休暇を使ったからといって、
「給料が減っていないから何も損害はない」
と必ずしも単純には判断できません。
本来、本人が自由に利用できた有給休暇を事故のために消化したことについて、損害として問題になる場合があります。
実際の請求可否については、事故状況や保険会社の判断などを確認しましょう。
自営業者は収入減少の証明が重要
自営業者や個人事業主の場合には、会社員のような給与明細だけで収入を確認できないことがあります。
そのため、
確定申告書
売上資料
帳簿
事故前後の収入資料
などから、事故によってどの程度の収入減少が発生したかを確認することになります。
「仕事を休んだから自動的に○万円」というものではなく、事故との因果関係を示す資料が重要です。
家事ができなくなった場合にも経済的影響がある
専業主婦・主夫など家事を担っていた人が事故でケガをすると、
料理
掃除
洗濯
買い物
子どもの送迎
などができなくなることがあります。
家事は給与を受け取っていなくても経済的価値があるため、事故によって家事労働ができなくなった場合には休業損害が問題になるケースがあります。
ただし、金額は一律ではありません。
現在の記事のように「主婦は日額5,000~8,000円」と固定的に書くのではなく、実際の事故時点の基準や家事への支障を踏まえて判断されると説明する方が適切です。
失職・退職まで発展すると負担が大きくなる
ケガが重い場合、
長期間仕事へ戻れない
以前と同じ仕事ができない
勤務先を退職する
転職で収入が下がる
といった問題へ発展することがあります。
この場合、単純な数日・数週間の休業損害だけでなく、事故による将来的な収入への影響が問題になる可能性があります。
ただし、
「事故後に退職した=その後の収入減少をすべて加害者へ請求できる」
というわけではありません。
事故と退職・減収との因果関係などが個別に検討されます。
後遺障害が残った場合は長期的な負担になる
十分な治療を受けても症状が残り、一定の条件を満たして後遺障害として認定された場合には、
後遺障害慰謝料
逸失利益
などが問題になります。
自賠責保険にも後遺障害に対する補償があり、等級に応じて支払限度額が定められています。
逸失利益とは?
逸失利益とは、交通事故による後遺障害などがなければ将来得られたと考えられる収入について、事故による労働能力の低下などを踏まえて算定する損害です。
現在の記事には、
「逸失利益=事故前年収-労働能力喪失率×ライプニッツ係数」
と書かれていますが、この式は正しくありません。
そのため今回のリメイクでは削除します。
実際には、
事故前の収入
労働能力喪失率
労働能力喪失期間
中間利息の控除
などを踏まえて算定されます。
事故の内容や年齢、職業、後遺障害等級などで変わるため、一律の金額を示すことはできません。
重い後遺障害では介護費などが発生することもある
交通事故による後遺障害が重い場合には、
介護
車いす
補装具
住宅の改修
介護用品
などの費用が必要になる場合があります。
自賠責保険でも、傷害による損害として義肢、義眼、補聴器、松葉杖などについて必要かつ妥当な費用が支払対象とされています。
一方、将来の介護費や住宅改造費などについては、事故との因果関係や必要性などを個別に確認する必要があります。
車の修理費も大きな負担になる
身体のケガだけでなく、車の損害も家計へ影響します。
事故で車が壊れた場合には、
修理費
レッカー費用
代車費用
などが発生する可能性があります。
ただし、
「修理にかかった金額なら何円でも全額請求できる」
とは限りません。
日本損害保険協会によると、事故車の修理費が事故時の車両時価額を上回る場合、法律上の損害として認められる修理費は原則として時価額が限度となります。
修理代が車の価値を超える「経済的全損」
例えば、
事故前の車の時価額が80万円
修理費が120万円
となった場合です。
この場合、修理費120万円がそのまま全額損害として認められるとは限りません。一般的には車両時価額との関係が問題になります。
古い車や走行距離の多い車では、この問題が起きることがあります。
そのため修理を始める前に、
修理見積もり
事故時の車両価値
保険会社の査定
などを確認することが重要です。
代車費用も必ず全額認められるわけではない
事故車を修理している間、
通勤
仕事
子どもの送迎
などで車が必要になることがあります。
日本損害保険協会によると、事故によって車が使えない期間中、やむを得ず代車を利用し実際に費用が生じた場合には、損害として請求できることがあります。
ただし、
代車の必要性
使用期間
車種
金額
などが相当かどうかも問題になります。
「高級車を借りたから全額認められる」とは限りません。
過失割合によって自己負担が生じることがある
事故の相手に損害賠償を請求できる場合でも、自分にも事故発生について過失があると、賠償額が調整されることがあります。
交通事故による治療費、収入減少、自動車損害などは、責任割合に応じて賠償されるのが基本です。
例えば、自分にも20%の過失が認められる事故なら、すべてを相手側に100%負担してもらえるとは限りません。
そのため、
「被害者だから自己負担は絶対に0円」
と考えないことも重要です。
自賠責保険でどこまで補償される?
自賠責保険は交通事故被害者の基本的な人身損害を補償する制度です。
傷害部分では、被害者1人につき120万円が支払限度額です。
対象になる主な損害として、
治療費
看護料
入院雑費
通院交通費
義肢等の費用
診断書などの文書料
休業損害
慰謝料
があります。
ただし、この120万円は治療費だけの上限ではありません。
傷害部分の治療費・休業損害・慰謝料などを合わせた限度額です。
治療が長期化すると120万円を超える場合があります。
自賠責保険は車の修理費を補償しない
自賠責保険は対人賠償を目的とする制度なので、
自分の車
相手の車
ガードレール
建物
などの物損は対象外です。
物損については任意保険の対物賠償保険や車両保険などが関係します。
「自賠責があるから交通事故の損害は全部補償される」というものではありません。
自分の人身傷害保険が使える場合もある
交通事故の被害者でも、自分が加入している任意保険の人身傷害保険が利用できる場合があります。
特に、
相手との過失割合でもめている
相手が無保険
相手側からの支払いに時間がかかる
といった状況で、自分の契約が役立つ場合があります。
ただし、人身傷害の補償対象や支払基準は保険商品によって異なります。
保険証券や契約内容を確認しましょう。
経済的負担を減らすには「証拠」を残す
交通事故後はさまざまなお金が動きます。
そのため、必要な支出や収入減少を証明できるよう資料を保存しておくことが重要です。
例えば、
診療費の領収書
薬代の領収書
通院交通費の記録
タクシー領収書
診断書
休業損害証明書
給与明細
確定申告書
車の修理見積書
レッカー費用
代車費用
などです。
保険会社へ提出すると原本が返却されない場合もあるため、必要に応じてコピーや写真を残しておくと安心です。
事故後の家計負担を減らすために最初に確認すること
事故後は次の順番で整理すると分かりやすくなります。
①どの保険が使えるか確認する
相手の、
自賠責保険
任意保険
だけでなく、自分自身の、
人身傷害保険
車両保険
弁護士費用特約
なども確認します。
②健康保険・労災の対象を確認する
交通事故でも健康保険を使える場合があります。
仕事中・通勤中なら労災保険を確認します。
③支出を記録する
事故に関連して支払った費用をその都度記録します。
④仕事への影響を記録する
休業日
早退
遅刻
仕事内容の変更
収入減少
などを記録しておきます。
⑤すぐに示談を成立させない
治療中は、今後どの程度治療費や休業損害が発生するか確定していません。
損害が十分に把握できていない段階で安易に示談することは避けた方がよいでしょう。
「保険会社が払ってくれるから記録は不要」ではない
保険会社が治療費を医療機関へ直接支払っている場合でも、被害者自身が事故の影響を記録しておくことをおすすめします。
例えば、
仕事を何日休んだか
タクシーを何回利用したか
家事がどの程度できなかったか
どんな症状が続いているか
などです。
交通事故による損害は治療費だけではないため、後になってから確認できるようにしておきましょう。
交通事故後にお金で困ったら早めに相談する
事故後、
治療費を立て替えられない
仕事を休んで収入が減った
保険会社の説明が分からない
修理費について合意できない
過失割合に納得できない
などの問題が起こることがあります。
このような場合には、一人で判断せず、
加入している保険会社
相手側の保険会社
健康保険
労災保険
交通事故に詳しい弁護士
などへ早めに確認することが大切です。
特に弁護士費用特約が契約に付いている場合には、利用できるか自分の保険会社へ確認してみるとよいでしょう。
よくある質問
交通事故の治療に健康保険は使えますか?
使える場合があります。交通事故など第三者の行為によるケガも健康保険の給付対象です。ただし、第三者行為による傷病届などの手続きが必要になります。仕事中や通勤中の事故では労災保険が対象になる場合があります。
交通事故の治療費は誰が払いますか?
原則として被害者が一旦支払い、後から加害者へ請求する考え方がありますが、実務上は保険会社が医療機関へ直接治療費を支払う対応が行われることもあります。
仕事を休んだ分の給料は補償されますか?
交通事故によるケガのために休業し収入が減少した場合には、休業損害として補償対象になる可能性があります。自賠責保険でも休業損害は傷害による損害の支払対象です。
通院の電車代やバス代は請求できますか?
必要かつ妥当な通院交通費は自賠責保険の支払対象になります。領収書や利用記録を残しておきましょう。
タクシー代も補償されますか?
必要性や相当性が認められる場合には対象になる可能性があります。ただし、すべてのタクシー利用が自動的に認められるわけではありません。
車の修理代は全額請求できますか?
必ずしも全額ではありません。修理費が事故時の車両時価額を超える場合、損害賠償上は時価額が上限となることがあります。
代車費用は請求できますか?
事故によって車が使えない期間に代車が必要で、実際に費用が発生した場合には損害として認められることがあります。ただし必要性や期間などが問題になります。
自賠責保険の120万円は治療費だけですか?
違います。傷害部分の120万円は、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料などを合わせた支払限度額です。
交通事故で後遺障害が残ったらどうなりますか?
後遺障害として認定された場合には、自賠責保険の後遺障害補償や、後遺障害慰謝料、逸失利益などが問題になる可能性があります。
まとめ
交通事故による経済的負担は、
治療費だけではありません。
事故によって、
治療費
通院交通費
休業による収入減少
車の修理費
代車費用
後遺障害による将来の収入減少
介護や生活環境の変更にかかる費用
など、さまざまな負担が生じる可能性があります。
一方、交通事故の被害者には、自賠責保険や任意保険などから補償を受けられる可能性があります。
自賠責保険では、傷害による損害として治療関係費・文書料・休業損害・慰謝料などが対象となり、被害者1人につき120万円が傷害部分の支払限度額です。
また、交通事故でも健康保険を使うことは可能です。第三者による事故の場合には、加入している健康保険へ「第三者行為による傷病届」などを提出する必要があります。
事故後の経済的負担を減らすためには、
どの保険が使えるのか確認する
治療費や交通費などの領収書を残す
仕事を休んだ日や収入減少を記録する
修理費・代車費などの資料を残す
治療・損害が確定する前に安易な示談をしない
ことが重要です。
交通事故後は身体の回復だけでなく、家計を守るための記録と手続きも早い段階から進めておくことをおすすめします。

