交通事故で保険を使うと保険料はいくら上がる?等級を下げないケースと判断方法を解説

交通事故を起こしたとき、

「自動車保険を使ったら翌年の保険料はいくら上がる?」

「修理代が10万円くらいなら保険を使わない方がいい?」

「もらい事故でも自分の車両保険を使ったら等級が下がる?」

「人身傷害保険を使っても保険料は上がる?」

など、保険を使うべきか迷う方は多いのではないでしょうか。

自動車保険は、事故で保険金を受け取ったからといって、すべてのケースで等級が下がるわけではありません。

事故や保険金請求の内容によって、大きく、

3等級ダウン事故

1等級ダウン事故

ノーカウント事故

に分けられます。

ノーカウント事故に該当すれば、保険金を受け取っても事故件数として数えられず、原則として等級ダウンにはつながりません。

一方、車両保険や対人・対物賠償保険を使用すると、事故内容によって翌年の等級が下がり、保険料が高くなる場合があります。

重要なのは、

「保険を使う=損」でも「保険を使える=使った方が得」でもない

ということです。

この記事では、自動車保険の等級制度、保険を使うと保険料が上がる仕組み、ノーカウント事故、もらい事故、小さな修理で保険を使うか判断する方法まで分かりやすく解説します。

自動車保険を使うと必ず翌年の保険料が上がる?

必ずではありません。

自動車保険では、保険金の支払い対象となった事故の内容によって、翌年の等級への影響が異なります。

一般的なノンフリート契約では、事故の取扱いは主に、

3等級ダウン事故

1等級ダウン事故

ノーカウント事故

に分けられます。

日本損害保険協会も、自動車保険では事故の有無などによって等級がアップ・ダウンし、翌年の保険料が増減する等級別料率制度が採用されていると説明しています。

そのため、

「保険金を1円でも受け取ったら翌年の保険料が上がる」

というわけではありません。

自動車保険の「等級」とは?

自動車保険の保険料を理解するために重要なのがノンフリート等級です。

一般的な個人向け自動車保険では1~20等級が設定されており、基本的には等級が高くなるほど保険料の割引が大きくなります。

1年間保険事故がなければ、原則として翌年の等級が1つ上がります。

一方、保険を使用する事故が発生すると、その事故の種類によって等級が下がることがあります。

3等級ダウン事故とは?

自動車同士の衝突など、一般的な交通事故で保険を使用すると3等級ダウン事故になるケースがあります。

例えば、

相手にケガをさせて対人賠償保険を使用した

相手の車を壊して対物賠償保険を使用した

自分の車をぶつけて車両保険を使用した

などです。

三井住友海上の案内でも、3等級ダウン事故が1件発生すると、継続契約の等級が3つ下がる仕組みが示されています。

例えば現在15等級だった場合、3等級ダウン事故が1件あれば、基本的には翌年12等級になります。

3等級下がるだけではない「事故有係数」

保険料への影響を考えるうえで、等級と一緒に覚えておきたいのが事故有係数適用期間です。

同じ等級でも、

無事故

事故有

では、適用される割増引率が異なる場合があります。

3等級ダウン事故が1件発生した場合、一般的には事故有係数適用期間が3年間加算されます。

そのため、

「3等級下がった分だけ翌年少し高くなる」

という単純な仕組みではありません。

事故後の数年間まで含めて保険料を比較することが重要です。

1等級ダウン事故とは?

事故内容によっては3等級ではなく、1等級下がるケースがあります。

代表例として、

盗難

台風

洪水

高潮

などによる車両損害について車両保険金を受け取った場合などがあります。

日本損害保険協会も、盗難や台風、洪水、高潮などによる車両保険の保険金受取りでは、1事故につき1等級下がる場合があり、1年間「事故有」の低い割引率が適用されると説明しています。

ただし、具体的な取扱いは契約内容によって確認する必要があります。

ノーカウント事故なら等級が下がらない

ここが今回の記事で最も重要なポイントです。

自動車保険には、保険金を受け取っても等級に影響しないノーカウント事故があります。

ノーカウント事故とは、保険金を受け取ってもノンフリート等級制度上の事故件数として数えられない事故です。

そのため、ノーカウント事故だけであれば、事故がなかった場合と同様に扱われます。

例えば現在15等級で、その年の保険金請求がノーカウント事故だけだった場合、通常は翌年16等級へ進むことになります。

人身傷害保険はノーカウントになるケースがある

交通事故で自分や補償対象となる人がケガをした場合に利用できるのが人身傷害保険です。

日本損害保険協会では、ケガにより人身傷害保険の保険金を受け取った場合でも、事故がなかったものとして翌年1等級アップするケースがあると説明しています。

つまり、

自分のケガのために人身傷害保険を使った=必ず3等級下がる

というわけではありません。

ただし非常に重要なのが、

同じ事故で他の補償も使っていないか

です。

人身傷害がノーカウントでも車両保険を使えば話が変わる

例えば事故で、

自分がケガをした

自分の車も壊れた

というケースを考えてみましょう。

自分のケガについて人身傷害保険を使用し、それだけならノーカウント事故として扱われる契約だったとします。

しかし同じ事故で、自分の車を修理するため車両保険も使用し、その車両保険の支払いが3等級ダウン事故に該当すれば、

事故全体として「等級に影響しない」と考えることはできません。

「どの保険を使うのか」をまとめて確認する必要があります。

弁護士費用特約は等級に影響しないことが多い

交通事故の被害者になったときに役立つのが弁護士費用特約です。

例えば、

信号待ちで後ろから追突された

相手が100%悪い事故

相手の保険会社との交渉に納得できない

過失割合でもめている

といったケースで利用されます。

弁護士費用特約だけを使用した場合、ノーカウントとして扱われる商品があります。

ただし契約によって取扱いが異なる可能性があるため、利用前に保険会社へ確認してください。

もらい事故なら自分の保険を使わない方法もある

例えば赤信号で停止中に後ろから追突され、自分に過失がないケースです。

相手が任意保険に加入しており、相手側の対物賠償保険から自分の車の修理費が支払われるのであれば、基本的に自分の車両保険を使う必要はありません。

自分の保険を使用しなければ、その事故によって自分の保険の等級が下がるという問題も通常は生じません。

まず相手側から適切な賠償を受けられるか確認しましょう。

もらい事故では自分の保険会社が示談交渉できない場合がある

ここは意外と知られていません。

自分に責任がまったくない「もらい事故」では、自分の保険会社が相手との示談交渉を代行できない場合があります。

そのようなケースで役立つのが弁護士費用特約です。

東京海上日動も、信号待ちで追突されるなど責任がまったくないもらい事故では、保険会社が示談交渉できないため、弁護士費用特約を利用できるケースを案内しています。

車両無過失事故の特約が使える場合もある

自分に過失がない事故であっても、

相手が任意保険に加入していない

相手からすぐに修理費を受け取れない

示談交渉が長引いている

などの理由から、自分の車両保険を使って先に修理したいことがあります。

このような場合に、一定の条件を満たす無過失事故について、自分の車両保険を使用してもノーカウントとして扱う商品・特約があります。

ただし、すべての自動車保険に同じ仕組みがあるわけではありません。

適用条件も保険会社や商品によって異なります。

実際、東京海上日動でも一定条件を満たす無過失事故についてノーカウントとして扱う仕組みを案内しています。

自分の契約で利用できるか、必ず保険会社や代理店へ確認しましょう。

修理代が少額なら保険を使わない方が得な場合がある

事故で車両保険を使えるからといって、必ず使用した方が得とは限りません。

例えば、

修理費15万円

保険使用による自己負担5万円

翌年以降の保険料増加額が数年間で15万円

というケースならどうでしょうか。

保険から10万円程度の実質的な補償を受けるために、将来の保険料が15万円増えるのであれば、自己負担で修理した方が総支払額を抑えられる可能性があります。

ただし実際の金額は、

現在の等級

現在の保険料

事故の種類

契約内容

免責金額

車両保険の種類

年齢

車種

などによって大きく変わります。

一律に「○万円以下なら保険を使わない方がよい」とは判断できません。

「修理費」と「保険を使った場合の将来保険料」を比較する

保険を使用するか迷った場合は、感覚で決めるのではなく数字で比較しましょう。

考え方はシンプルです。

① 保険を使わなかった場合の自己負担額

と、

② 保険を使った場合の免責金額+今後数年間の保険料増加額

を比較します。

例えば保険会社へ、

「今回保険を使った場合、次回更新時の保険料はいくらになりますか?」

「使わなかった場合はいくらですか?」

「3年間の保険料を比較すると差額はいくらですか?」

と確認します。

そのうえで修理費と比較すれば、保険を使用するか判断しやすくなります。

保険会社へ事故連絡しただけで等級は下がる?

事故が起きたとき、

「保険会社へ連絡したら保険を使ったことになるのでは?」

と心配する方がいます。

事故を保険会社へ報告・相談したことと、実際に保険金の支払いを受けることは別です。

そのため、

「等級が下がるのが怖いから保険会社へ事故を連絡しない」

という判断はおすすめできません。

事故が発生したら契約している保険会社へ連絡し、

保険を使用した場合

使用しなかった場合

それぞれの保険料への影響を確認しましょう。

事故後に保険を使うか決める手順

交通事故が発生したら、次の順番で考えると分かりやすくなります。

事故発生

警察・保険会社へ連絡

相手方の保険から支払われる金額を確認

自分の車の修理見積もりを取る

自分の保険で利用できる補償を確認

利用すると等級が下がるか確認

保険を使った場合の更新保険料を確認

自己負担した場合と比較

保険を使用するか判断

重要なのは、事故現場ですぐ、

「保険を使います」

「自費で払います」

と決めてしまわないことです。

「保険料を上げないために保険を使わない」が正解とは限らない

保険料が上がることだけを考えて、保険を使用しないのも問題です。

例えば、

高額な対人賠償

高額な対物賠償

高額な車両損害

などでは、将来の保険料増加より事故による損害額の方がはるかに大きくなる可能性があります。

自動車保険は、そもそも自分だけでは負担することが難しい損害に備えるためのものです。

そのため、

「等級を絶対に下げない」ことを目的にするのではなく、保険を使った場合と使わなかった場合の総負担を比較する

ことが重要です。

自動車保険を使う前に保険会社へ確認したい5つのこと

保険を使うか迷ったら、次の5点を確認しましょう。

1.今回の事故は何等級ダウン事故ですか?

3等級、1等級、ノーカウントのどれになるのか確認します。

2.事故有係数適用期間は何年ですか?

等級だけでなく、事故有係数の影響も確認します。

3.保険を使った場合の次回保険料はいくらですか?

概算ではなく、可能であれば具体的な金額を確認します。

4.使わなかった場合はいくらですか?

比較対象がなければ判断できません。

5.数年間の差額はいくらですか?

翌年だけではなく、等級が回復するまでの総額を比較しましょう。

保険料を上げたくないなら事故前の契約確認も重要

交通事故が起きてから、

「この特約を付けておけばよかった」

と思っても、その事故について後から特約を追加して補償を受けることはできません。

そのため更新時などに、

人身傷害保険

弁護士費用特約

車両保険

無過失事故に関する補償

など、自分に必要な補償が付いているか確認しておくことが重要です。

ただし、補償を増やせばその分保険料も高くなる場合があります。

「全部付ければ安心」ではなく、自分の車の価値、運転頻度、家族構成、自己負担できる金額などを考えて契約内容を決めましょう。

よくある質問

自動車保険を使うと必ず3等級下がりますか?

いいえ。事故内容によって3等級ダウン事故、1等級ダウン事故、ノーカウント事故などに分かれます。保険金を受け取っても等級が下がらないケースがあります。

ノーカウント事故とは何ですか?

保険金を受け取ってもノンフリート等級制度上の事故件数として数えられず、その事故による等級ダウンや事故有係数適用期間への加算がない事故です。

人身傷害保険を使うと等級は下がりますか?

人身傷害保険金の受取りがノーカウント事故として扱われるケースがあります。ただし、同じ事故で車両保険や対人・対物賠償保険など別の補償を使用する場合は、事故全体の取扱いを保険会社へ確認してください。

保険会社へ事故の連絡をしただけで等級は下がりますか?

事故の報告・相談をしたことと、保険金の支払いを受けることは別です。保険を使用するか迷っている場合でも、まず保険会社へ事故を報告し、使用した場合の等級や保険料への影響を確認しましょう。

修理費が10万円なら保険を使わない方がいいですか?

一律には判断できません。現在の等級、免責金額、保険料、事故の種類などによって異なります。修理費と、保険を使用した場合に増える将来の保険料を比較して判断しましょう。

もらい事故でも自分の車両保険を使うと等級が下がりますか?

通常の車両保険の使用では等級に影響する場合があります。一方、一定の無過失事故をノーカウントとして扱う商品・特約もあります。契約している保険会社へ確認してください。

弁護士費用特約を使うと保険料は上がりますか?

弁護士費用特約のみの利用をノーカウント事故として扱う商品があります。ただし契約によって取扱いが異なる場合があるため、利用前に保険会社へ確認してください。

まとめ

交通事故で自動車保険を使ったからといって、必ず翌年の保険料が上がるわけではありません。

事故や保険金請求の内容によって、

3等級ダウン事故

1等級ダウン事故

ノーカウント事故

などに分けられます。

特に、人身傷害保険などはノーカウント事故として扱われるケースがあります。

一方、車両保険や対人・対物賠償保険を利用すると、事故内容によって等級が下がり、事故有係数が適用されることで翌年以降の保険料が高くなる可能性があります。

そのため、事故が起きたら、「保険を使ったらいくら受け取れるか」だけで判断しないことが重要です。

保険会社へ、保険を使った場合の等級事故有係数適用期間次回更新保険料使わなかった場合の保険料を確認し、修理費・自己負担額と将来の保険料増加額を比較してから判断するのがおすすめです。

また、保険会社によって事故や特約の取扱いが異なる場合があります。日本損害保険協会も、詳しい取扱いについて保険会社または代理店へ確認するよう案内しています。