シートベルトをしないと死亡率はどれくらい上がる?後部座席の着用義務・違反点数・事故時の危険性を解説

「後部座席でもシートベルトをしないと違反になる?」「一般道路なら後ろの席はしなくてもいい?」「エアバッグが付いていればシートベルトをしなくても大丈夫?」「シートベルトをしないと事故の死亡率はどれくらい変わる?」など、シートベルトについて正しく理解できていない方もいるのではないでしょうか。

シートベルトは、交通事故が起きたときに乗員の身体が車内で大きく移動したり、車外へ投げ出されたりすることを防ぐための重要な安全装置です。現在は運転席や助手席だけではなく、後部座席を含むすべての座席でシートベルトを着用することが義務になっています。警察庁も「自動車に乗ったら後部座席を含むすべての座席でシートベルトを着用する」よう呼びかけています。

しかし、2025年の警察庁とJAFによる全国調査では、一般道路のシートベルト着用率は運転席99.1%、助手席96.5%だったのに対し、後部座席は45.8%にとどまりました。高速道路等でも、運転席99.6%、助手席98.8%に対して、後部座席は79.9%です。

この記事では、シートベルトを着用しない場合に交通事故の危険性がどれくらい高くなるのか、後部座席の着用義務、違反点数、エアバッグとの関係、妊娠中や子どものシートベルト・チャイルドシートまで詳しく解説します。

シートベルトにはどんな役割がある?

シートベルトの大きな役割は、交通事故の衝撃によって乗員の身体が車内で激しく移動するのを抑えることです。

例えば正面衝突では、車が急停止しても乗員の身体には前方へ進み続けようとする力が加わります。シートベルトをしていなければ、ハンドル、ダッシュボード、フロントガラス、前の座席などへ身体を強くぶつける可能性があります。

また、横転事故などでは車外へ投げ出される危険もあります。シートベルトは身体を座席に保持し、こうした二次的な衝撃から身体を守る役割を持っています。

シートベルトをしないと死亡率はどれくらい上がる?

特に分かりやすいのが、後部座席のデータです。

警察庁によると、後部座席のシートベルト非着用者の致死率は、着用者と比較して高速道路で約13.9倍、一般道路で約2.8倍高くなっています。ここでいう致死率とは、交通事故で死傷した人のうち死亡した人の割合です。

つまり、「後ろの席だから安全」「高速道路だけ気をつければいい」という考え方は危険です。

一般道路でもシートベルトを着用していない後部座席の乗員は、着用している人と比べて死亡につながる危険性が大きくなります。

後部座席は前より安全だからシートベルトはいらない?

必要です。

後部座席は前方のダッシュボードやフロントガラスから離れているため、「後ろなら事故でも安全」と考える方がいます。しかし、シートベルトをしていないと、事故の衝撃で身体が前方、天井、ドアなどへ激しくぶつかる可能性があります。

警察庁は、後部座席でシートベルトを着用しない場合について、「車内で全身を強打する」「車外へ放り出される」「前席の人へ被害を与える」という3つの大きな危険を挙げています。

自分自身だけではなく、前に座っている家族や友人を守るためにも後部座席での着用が重要です。

後部座席の人が前席の人をケガさせることもある

シートベルト非着用による危険は、本人だけではありません。

強い衝突が起きると、後部座席の乗員の身体が前方へ投げ出される場合があります。その結果、運転席や助手席の人へ後ろから衝突し、前席の人がシートやエアバッグとの間で強い衝撃を受ける可能性があります。

警察庁も、後部座席のシートベルト着用は前席の人の命を守ることにもつながるとしています。

「自分がベルトをしたくないだけだから他人には関係ない」と考えることはできません。

後部座席のシートベルトは法律で義務?

はい。

道路交通法では、後部座席を含むすべての座席についてシートベルト着用が義務付けられています。後部座席については2008年6月から着用が義務化されています。

そのため、「高速道路だけ義務」「一般道路では後部座席はしなくてもいい」という理解は誤りです。

一般道路でも高速道路でも、後部座席のシートベルト着用は義務です。

後部座席でシートベルトをしないと違反点数はつく?

後部座席のシートベルト非着用については、高速道路等での着用義務違反の場合、運転者に行政処分の基礎点数1点が付されます。

ここで注意したいのは、違反の対象が「後ろに座っている人だけ」の問題ではないことです。

運転者には、同乗者にシートベルトを着用させる義務があります。そのため、車を発進させる前に、運転者自身がベルトを締めるだけではなく、同乗者も正しく着用しているか確認しましょう。

一般道路なら後部座席でシートベルトをしなくても罰則はないから大丈夫?

その考え方はおすすめできません。

高速道路等と一般道路では行政処分の扱いに違いがありますが、後部座席の着用義務そのものは一般道路でも同じです。

しかも、警察庁のデータでは後部座席非着用者の致死率は、一般道路でも着用者の約2.8倍です。

シートベルトは「違反点数を避けるために着用するもの」ではなく、交通事故から身体と命を守るために着用するものと考えることが重要です。

2025年のシートベルト着用率

2025年に警察庁とJAFが全国で実施した調査では、一般道路と高速道路等で次の結果となりました。

座席一般道路高速道路等
運転席99.1%99.6%
助手席96.5%98.8%
後部座席45.8%79.9%

この数字を見ると、運転席と助手席ではほとんどの人がシートベルトを着用していますが、一般道路の後部座席では半数以上が着用していないことになります。

特に短距離移動では「近所だから」「後ろだから大丈夫」と考えてしまうことがありますが、交通事故は自宅から何km離れた場所で起こるか分かりません。

車へ乗ったら距離に関係なくシートベルトを着用する習慣をつけることが大切です。

エアバッグがあるならシートベルトをしなくても大丈夫?

いいえ。

エアバッグはシートベルトの代わりになる安全装置ではなく、シートベルトと組み合わせて乗員を守る補助装置です。

国土交通省は、エアバッグが作動した事故でも、シートベルトを着用していなかった場合は着用していた場合と比べて死亡率が約8倍高いというデータを紹介し、「エアバッグはあくまでも補助的な装置で、シートベルトが不可欠」と注意喚起しています。

シートベルトをしない状態でエアバッグが膨らんでも、身体の位置を適切に保持できず、フロントガラスなどへ強く衝突する可能性があります。

シートベルトは正しく着けないと十分な効果を得られない

シートベルトは、ただ金具を差し込めばよいわけではありません。

肩ベルトは首にかからず、肩から胸の中央を通るようにします。腰ベルトはお腹の上ではなく、できるだけ骨盤の低い位置にかかるようにします。

また、ベルトがねじれていたり、厚手の上着の上から極端に緩く着用したりすると、事故時に身体を適切に保持できない可能性があります。

車へ乗ったら、シート位置や背もたれを調整したうえで身体に沿わせて着用しましょう。

シートベルトを脇の下へ通してもいい?

肩ベルトが首に当たって不快だからといって、肩ベルトを脇の下へ通したり背中側へ回したりするのは避けましょう。

事故の衝撃が加わったときに身体を適切に支えることができず、胸部や腹部などへ大きな負担が加わる可能性があります。

ベルトの高さを調節できる車の場合は、肩ベルトの位置を調整してください。

シートベルトで事故時にケガをすることもある?

あります。

強い交通事故では、シートベルトが身体を止めたことで胸部や腹部に圧力がかかり、ベルトの跡、打撲、肋骨周辺の痛みなどが現れる場合があります。

しかし、これは「シートベルトをしない方が安全」という意味ではありません。

シートベルトをしていなければ、身体がハンドルやフロントガラスへ衝突したり、車外へ放り出されたりするなど、さらに重大な被害につながる可能性があります。

事故後にシートベルトが当たった胸や腹部に強い痛みがある、息苦しい、呼吸すると痛む、腹痛が強いなどの場合は自己判断せず医療機関を受診してください。

妊娠中でもシートベルトをした方がいい?

妊娠中であっても、原則としてシートベルトを適切に着用することが重要です。

ただし、お腹のふくらみに直接腰ベルトがかからないよう注意します。腰ベルトは腹部の下側、骨盤の低い位置を通し、肩ベルトは胸の間を通して腹部の側面へ沿わせるように着用します。

妊娠経過や身体の状態によっては個別の注意が必要な場合があるため、不安がある方は医師へ相談してください。

子どもはシートベルトだけでいい?

小さな子どもは、大人用のシートベルトを適切に着用できない場合があります。

警察庁は、6歳未満の子どもにはチャイルドシートを使用する必要があると案内しています。また、6歳以上でも体格などの事情により大人用シートベルトを正しく着用できない場合には、チャイルドシートを使用させるよう案内しています。

「6歳になったから必ず大人と同じシートベルトだけで大丈夫」と年齢だけで判断せず、身体の大きさやシートベルトの位置も確認しましょう。

チャイルドシートを助手席に付けてもいい?

国土交通省は、エアバッグ装備車の助手席に後ろ向きのチャイルドシートを取り付けることについて、エアバッグ作動時に重大な傷害を負う危険があると注意喚起しています。チャイルドシートは後部座席への取り付けが基本です。

やむを得ず助手席へ使用する場合などは、車両とチャイルドシートの取扱説明書を確認し、メーカーの指示に従ってください。

タクシーでもシートベルトは必要?

タクシーや知人の車など、自分が運転していない車でもシートベルトは必要です。

「タクシーだから」「後部座席だから」「数分だけだから」という理由で安全性が変わるわけではありません。

車へ乗ったら、出発前にまずシートベルトを着用する習慣をつけましょう。

高速バスでもシートベルトは必要?

シートベルトが備え付けられている高速バスなどでは、乗車中に着用することが重要です。

国土交通省も事業用自動車について、乗客が常時シートベルトを着用できる状態にするとともに、車内放送などで着用を促し、発車前に着用状況を確認するよう事業者へ求めています。

長距離バスでは途中で眠ることもありますが、就寝中もベルトを外さないようにしましょう。

短い距離でもシートベルトをする

「家からコンビニまでだから」「近所のスーパーまでだから」と短距離でシートベルトを省略するのは危険です。

交通事故は高速道路や長距離移動だけで起こるものではありません。交差点、住宅街、駐車場周辺など日常的に走る道路でも発生します。

車へ乗ったら、距離にかかわらずエンジンをかける前または発進前に全員がシートベルトを着けることを習慣にするとよいでしょう。

シートベルトをしていても交通事故ではケガをする

シートベルトは交通事故時の死亡や重傷の危険を下げるための重要な装置ですが、すべてのケガを防げるわけではありません。

追突事故や正面衝突では、シートベルトを着用していても首や腰に大きな力が加わり、むちうち、腰痛、肩の痛み、胸部の打撲などが起こる場合があります。

事故直後には痛みが少なくても、数時間後や翌日以降に首が動かしにくくなったり、頭痛、しびれなどが出たりすることがあります。

身体に痛みや違和感がある場合には、シートベルトをしていたから大丈夫と自己判断せず医療機関を受診してください。

シートベルトをしていなかったら交通事故の補償は受けられない?

シートベルトを着用していなかったからといって、それだけで交通事故による損害賠償を一切受けられなくなるわけではありません。

ただし、シートベルトをしていなかったことによってケガが大きくなったと認められる場合などには、損害賠償上の評価に影響する可能性があります。

具体的な事故状況や傷害との関係によって判断されるため、「ベルトをしていなかったから補償は0円」「必ず○%減額」と一律に考えない方がよいでしょう。

交通事故後にシートベルトの跡が残った場合

事故後に胸や腹部へ赤い線や青あざなど、シートベルトに沿った跡が残ることがあります。

見た目が軽い傷でも、強い衝撃が加わっている場合があります。特に胸部の強い痛み、息苦しさ、腹痛、吐き気などがある場合には早めに医療機関へ相談してください。

事故状況を説明するときには、「シートベルトをしていた」「どの部分に痛みがある」「エアバッグが作動した」なども医師へ伝えるとよいでしょう。

よくある質問

後部座席でもシートベルトは義務ですか?

はい。後部座席を含めてすべての座席でシートベルト着用が義務付けられています。一般道路でも高速道路でも着用義務があります。

後部座席でシートベルトをしないと何点ですか?

高速道路等で後部座席のシートベルト着用義務に違反した場合、運転者に行政処分の基礎点数1点が付されます。

一般道路なら後部座席はシートベルトをしなくてもいいですか?

いいえ。一般道路でも後部座席の着用は義務です。2025年の調査では一般道路の後部座席着用率は45.8%にとどまっています。

シートベルトをしないと死亡率はどれくらい高くなりますか?

警察庁によると、後部座席の非着用者の致死率は、着用者と比較して高速道路で約13.9倍、一般道路で約2.8倍高くなっています。

エアバッグが付いていればシートベルトは必要ありませんか?

必要です。エアバッグはシートベルトを補助する装置です。国土交通省は、エアバッグが作動した事故でも、シートベルト非着用の場合は着用時より死亡率が約8倍高いというデータを紹介しています。

子どももシートベルトをすればチャイルドシートはいりませんか?

6歳未満の子どもには原則としてチャイルドシートを使用させる必要があります。また6歳以上でも、体格などによって大人用シートベルトを適切に使用できない場合はチャイルドシートの使用が推奨されています。

シートベルトをしていて胸が痛くなったらどうすればいいですか?

事故の衝撃によってシートベルトが胸部へ強く当たり、打撲などが起こる場合があります。強い痛み、息苦しさ、呼吸時痛、腹痛などがある場合は自己判断せず医療機関を受診してください。

まとめ

シートベルトは、交通事故が起きたときに身体が車内で激しく移動したり、車外へ放り出されたりすることを防ぐ重要な安全装置です。

後部座席を含むすべての座席で着用が義務付けられていますが、2025年の全国調査では、一般道路の着用率は運転席99.1%、助手席96.5%に対して、後部座席はわずか45.8%でした。高速道路等でも後部座席は79.9%で、前席より低い状況が続いています。

さらに警察庁によると、後部座席でシートベルトを着用していない人の致死率は、着用している人と比較して高速道路で約13.9倍、一般道路で約2.8倍高くなっています。

シートベルトをしないことで危険になるのは本人だけではありません。後部座席の人が衝突時に前方へ投げ出されると、運転席や助手席の人へ大きな衝撃を与える可能性があります。

また、エアバッグが付いていてもシートベルトは必要です。エアバッグはあくまでも補助的な安全装置であり、シートベルトと組み合わせて使用することを前提としています。

車へ乗ったら、「近距離だから」「一般道路だから」「後部座席だから」と考えず、発進する前に乗員全員がシートベルトを正しく着用することを習慣にしましょう。