
交通事故の際、被害者の損害補償は、加害者側の保険会社が代理人となり進めてくれます。
ここでいう損害とは、治療費、通院費、看護費、休業損害、診断書等の費用、文書料、傷害慰謝料、車の修理や買い替えにかかる費用などです。
加害者側の保険担当者は、損害を補償するための手続きや書類を準備をする役割を担います。
被害者の方は補償を受けるために様々な書類にサインしなければいけないので、示談するまでの間、加害者側の保険担当者とやり取りをしていく事になります。
やり取りしていく中で、この「加害者の保険担当者」に不満を持つ方が少なくないようなので、対処方法をご紹介します。
保険会社の担当者の対応に不満を持つ事例
当院の交通事故患者さんから実際にお聞きした、加害者側の保険担当者の対応に不満を持った事例をいくつかご紹介します。
①担当者の態度が高圧的
痛みで身体が辛く気持ち的に弱っているのに、加害者側の保険担当者が高圧的な態度の話し方が嫌だと思いつつ、ケガの事や書類の事でやり取りしていました。
何度もやり取りをしていくうちに話すのが嫌になり電話が来るたびに恐怖を感じるようになりました。
→→→→→担当者を変えてもらうよう保険会社に連絡してみましょう。
②治療の打ち切りを催促してくる
まだ痛みがあり整形外科で医師の治療継続の指示も出ていて通院中なのにも関わらず、加害者側の保険担当者が「もう良くなったんじゃないですか?」「三ヶ月経ちますし示談しませんか?」と催促の連絡をしてくる。
→→→→→保険会社の担当者が治療に関して口出しをする権利はありません。中には、言葉巧みに治療の打ち切りを催促してくる担当者もいるようです。そのような場合は医師の診断が優先されますので毅然とした態度で対応しましょう。
③休業損害を支払わない
交通事故のケガで医師が休業診断をしたので仕事を休み休業損害を申請しました。
定期的に治療を受け医師の休業診断も継続してるのに、二ヶ月目から休業損害の支払いが滞り三ヶ月目には支払い出来ないと言われた。
→→→→→どのような理由でそうなったのか分かりません。しかし、わからないままにしておくと痛みを抱えたまま泣き寝入りすることになってしまいます。弁護士やその他の相談機関に相談してみましょう。
④担当者が治療の必要性を疑ってくる
整形外科で診断してもらい、診断書に記載もされているのに、「記載内容の一部は治療部位として認めない。」と言ってきた。
→→→→→保険会社の担当者は治療に関して口出しする権利はありません。治療は診断書をベースに行います。まずは自分の加入している任意保険の担当者に相談してみましょう。それでも揉めてしまうような場合は弁護士やその他の相談機関に相談してみましょう。
⑤加害者有利の過失割合にしてくる
加害者の話ばかりを聞き、加害者優位に過失割合を算出し、被害者の過失を高くしてくる。
→→→→→過失割合は絶対的な決め方がないため、保険会社が過去の同様の事故を参考にし、話し合いで決めます。
しかし、事実と違う判断をされ、過失割合に納得がいかないときは、保険会社に交渉することが可能です。
その際、同乗者の証言、ドライブレコーダーの映像、警察の刑事記録などがあると良いでしょう。
不満への対処法
1.加害者側の保険会社のお客様相談センターに相談をする
加害者側の保険担当者の対応に不満があれば、各保険会社のお客様相談センターに相談して下さい。
担当者名と不満な出来事を伝えるで、対応が改善される可能性があります。
2.そんぽADRに相談する
そんぽADRとは、損害保険会社が設立している裁判外の紛争解決機関です。
そんぽADRに相談をすると、加害者側の保険会社に連絡を入れて、注意勧告してくれます。
3.弁護士に相談する
お客様相談センターやそんぽADRは保険会社関係なので不満改善までは出来ない事もあります。
その場合、弁護士に相談してみましょう。
弁護士と聞くと大げさと感じるようですが、最近は任意保険に「弁護士特約」が付帯されていることも多いです。
まずは自分の保険を確認してみましょう。
弁護士は加害者側の保険担当者の対応が法律的に問題がないかを精査し、保険会社に苦情を申し立ててくれます。
4.日弁連交通事故相談センター
交通事故における民事上の法律問題に関して電話相談、面接相談を行っています。
警察や市区町村等から紹介されている安心できる相談窓口です。
5.担当を変えてもらう
加害者側の保険担当者の対応が不満であれば、お客様相談センターで担当の変更を依頼できます。
まとめ
交通事故の被害に合われた方で、加害者側の保険担当者の対応に不満を持つ方は少なくありません。
なぜなら、対応してくれる保険会社は加害者側の保険会社であるため、被害者の望むことは加害者側の保険会社にとって利益の損失でしかないからです。
その為、治療の必要性を疑ってきたり、早期に治療を打ち切ろうしてくるケースが多いようです。
もちろん、そのような人ばかりではなく、被害者の身体の状態を親身になって心配し、精一杯の対応をしてくれる方もいらっしゃいます。
少しでも不満を感じたら我慢せず、第三者に相談してはいかがでしょうか。