アクセルとブレーキの踏み間違い事故はなぜ起こる?原因・高齢者の特徴・防止方法を解説

駐車場で車を止めようとした瞬間、

「ブレーキを踏んだつもりなのに車が急発進した」

という事故が起こることがあります。

いわゆるアクセルとブレーキの踏み間違い事故です。

ニュースでは高齢ドライバーによる事故が大きく報道されることが多いため、

「踏み間違いは高齢者だけの事故」

と思っている方もいるかもしれません。

しかし、ペダルの踏み間違いそのものは高齢者だけに起こる操作ミスではありません。

一方で警察庁は、高齢運転者の死亡事故では、70歳未満と比べてブレーキとアクセルの踏み間違いが占める割合が高いとしています。

また、踏み間違いが起きた後に、

「車が止まらない」

と焦ってさらにアクセルを強く踏み込むと、店舗や歩行者、他の車へ衝突する重大事故につながる可能性があります。

この記事では、アクセルとブレーキの踏み間違い事故がなぜ起きるのか、高齢者だけの問題なのか、起こりやすい場面、事故を防ぐための方法、踏み間違い時加速抑制装置について分かりやすく解説します。

アクセルとブレーキの踏み間違い事故とは?

ペダル踏み間違い事故とは、本来ブレーキを踏むべき場面でアクセルを踏んでしまうなど、ペダル操作を誤ったことで発生する事故です。

例えば、

駐車しようとして停止する

駐車スペースから発進する

店舗前で車を止める

車庫入れをする

切り返しをする

といった低速で細かな操作が必要な場面でも発生します。

車が急に動いたことに驚き、さらにアクセルを踏み込んでしまうと、短い距離でも速度が上がり重大事故につながることがあります。

踏み間違い事故は高齢者だけに起こる?

高齢者だけではありません。

年齢にかかわらず、

焦り

注意散漫

ペダル位置の確認不足

運転姿勢

車両への不慣れ

などによって操作を誤る可能性があります。

ただし、事故の重大化という点では高齢運転者への対策が重要です。

警察庁は、高齢運転者の死亡事故について、70歳未満の運転者と比較すると、

ハンドル操作不適

ブレーキとアクセルの踏み間違い

が占める割合が高いとしています。

そのため、

「若ければ起こらない」

でも、

「高齢者は必ず踏み間違える」

でもありません。

年齢だけでなく、運転者の身体状態・運転環境・車両の安全装備などを含めて考える必要があります。

高齢者で注意したい理由

年齢を重ねると、個人差はありますが、

足を素早く動かしにくくなる

身体をひねりにくくなる

反応に時間がかかる

複数の情報を同時に処理しにくくなる

といった変化が生じる場合があります。

駐車時には、

ハンドル操作

周囲の歩行者確認

サイドミラー

バックモニター

前後の車両

ペダル操作

などを同時に処理します。

こうした複数の操作が重なることで、ミスにつながる可能性があります。

踏み間違い事故が起こりやすい場面

駐車場

特に注意したい場所です。

駐車場では、

発進

停止

前進

後退

切り返し

を短時間で繰り返します。

さらに店舗の駐車場では歩行者も多く、踏み間違いによる急発進が重大事故につながる可能性があります。

警察庁が2026年に公表した高齢運転者の事故例でも、金融機関の駐車場で83歳男性が駐車時にブレーキとアクセルを踏み間違え、建物へ突入した事故が紹介されています。

車庫入れ・切り返し

車庫入れでは、

前進

停止

後退

を何度も切り替えることがあります。

シフト操作とペダル操作が連続するため、焦って操作すると踏み間違いにつながることがあります。

狭い駐車スペースでは、

「隣の車にぶつかる」

と思って慌てた瞬間に操作を誤る可能性もあります。

店舗や建物の直前

コンビニやスーパーなどでは、駐車スペースの前に店舗や歩道があることがあります。

停止しようとしてアクセルを踏み込めば、

店舗へ突入する

歩道へ乗り上げる

歩行者へ衝突する

といった重大事故になる可能性があります。

輪止めや壁があるから大丈夫とは考えないようにしましょう。

坂道

坂道では、

車が下がる

前へ進まない

と焦ってアクセルを強く踏み込むことがあります。

勾配や車両の動きに慣れていない場合には、操作を急がないことが重要です。

慣れていない車を運転するとき

代車

レンタカー

家族の車

買い替えた直後の車

などでは、普段乗っている車と、

ペダル位置

シート位置

ブレーキの感覚

アクセルの反応

が異なることがあります。

運転を始める前に、座席位置やペダルの位置を確認しましょう。

なぜ踏み間違えてもアクセルを踏み続けてしまう?

踏み間違い事故が大きくなる理由の一つが、

踏み間違えた後もアクセルを踏み続けること

です。

例えば、

停止しようとする

間違えてアクセルを踏む

車が急に前進する

「止まらない」と驚く

ブレーキを踏んでいるつもりでアクセルをさらに踏む

さらに加速する

という流れです。

本人は、

「ブレーキを踏んでいるのに車が止まらない」

と考えている可能性があります。

そのため慌ててさらに強く踏み込むことで、事故が大きくなることがあります。

運転姿勢も重要

ペダル操作では正しい運転姿勢が重要です。

シートが遠すぎると、

ブレーキを十分に踏み込めない

足が伸びきる

ペダルを踏み替えにくい

などの問題が起こります。

逆にシートが近すぎても操作しにくくなります。

運転を始める前に、

ブレーキをしっかり踏み込めるか

アクセルとブレーキを無理なく踏み替えられるか

ハンドル操作に支障がないか

を確認しましょう。

駐車するときは「かかと」を安定させる

通常の運転では、かかとを床付近に置き、足先をアクセルとブレーキへ動かすことで操作を安定させやすくなります。

ペダルを踏み替えるたびに足全体を大きく持ち上げると、自分の足がどの位置にあるのか分かりにくくなる場合があります。

ただし身体の状態や車両によって適切な姿勢は異なります。

無理のない姿勢で確実にペダル操作できるよう調整しましょう。

厚底靴・サンダルなどにも注意

運転するときは、ペダル操作を妨げない履物を選ぶことも重要です。

例えば、

非常に厚い靴底

かかとの高い靴

脱げやすいサンダル

などでは、ペダルの感覚をつかみにくくなることがあります。

「近所だから」と普段履きのまま運転する場合にも、ペダルを正確に操作できるか確認しましょう。

焦っているときほど操作を急がない

駐車場で後ろに車が待っていると、

「早く駐車しないと」

と焦ることがあります。

しかし、焦って事故を起こす方が問題です。

駐車位置がうまく合わなければ、一度停止してから落ち着いて切り返しましょう。

周囲の車を待たせることより、安全を優先してください。

踏み間違い時加速抑制装置とは?

踏み間違い事故を防ぐ安全技術の一つに、

ペダル踏み間違い時加速抑制装置

があります。

ブレーキと間違えてアクセルを急激に踏み込んだ場合などに、急発進・急加速を抑制する装置です。

国土交通省では、この装置が一定の性能を持っているかを評価・認定する制度を設けています。

認定基準には、例えば停止状態からアクセルを大きく踏み込んだ際、

衝突しない

または加速を一定程度抑制する

ことや、加速抑制時に警報が作動することなどがあります。

踏み間違い時加速抑制装置は新車に義務化される

ここは現在の記事から必ず修正してください。

現在の記事では、

「2025年から新車搭載の義務化も検討」

となっています。

現在はすでに方針が決まっています。

国土交通省は2025年6月、乗用車に国際基準へ適合するペダル踏み間違い時加速抑制装置を搭載することを義務づけるため、道路運送車両の保安基準などを改正しました。

2026年6月時点の国土交通省資料では、オートマチック車の新車について2032年9月以降に義務化されるとされています。

したがって、

「義務化を検討している」

という文章は古い情報です。

今乗っている車にも後付け装置を付けられる?

車種によっては、既存車へ取り付けられる後付けペダル踏み間違い急発進抑制装置があります。

国土交通省は認定制度を設け、認定された装置の一覧を公開しています。

2026年8月現在も、トヨタ、日産、三菱、SUBARU、スズキ、ダイハツ、マツダなどの装置が認定一覧に掲載されています。

ただし、

すべての車へ取り付けられるわけではありません。

車種

型式

年式

既存装備

などによって対応が異なるため、販売店などへ確認してください。

安全装置があれば踏み間違えても大丈夫?

いいえ。

踏み間違い時加速抑制装置は、事故を完全に防ぐ装置ではありません。

国土交通省も、装置の作動には条件があり、状況によっては作動しない場合があることを案内しています。

また、踏み間違い事故だけでなく、

速度超過

前方不注意

信号無視

ハンドル操作ミス

など、他の事故原因をすべて防げるわけではありません。

安全装置は運転を支援するものであり、

安全確認と正確な運転操作が基本

です。

衝突被害軽減ブレーキとの違い

踏み間違い時加速抑制装置と混同しやすいのが、衝突被害軽減ブレーキです。

踏み間違い時加速抑制装置は、

アクセルの誤操作による急発進・急加速を抑える

ための装置です。

一方、衝突被害軽減ブレーキは、前方の車両や対象物などとの衝突のおそれを検知し、警報や自動ブレーキなどによって衝突回避・被害軽減を支援します。政府広報も、これらを異なる安全運転支援装置として紹介しています。

両方を組み合わせることで安全性を高めることが期待されますが、運転者自身の安全確認が不要になるわけではありません。

踏み間違い事故を防ぐための7つのポイント

1.エンジンをかける前にシート位置を確認する

ブレーキをしっかり踏める位置へ調整しましょう。

2.発進前にペダル位置を確認する

特に普段と違う車では、足元の感覚を確認します。

3.駐車場では速度を出さない

低速で周囲を確認しながら操作します。

4.切り返すときは一度完全に停止する

シフト操作とペダル操作を焦って同時に行わないようにしましょう。

5.車が思わぬ動きをしたら一度足を離す意識を持つ

急に車が動いたときに、同じペダルをさらに強く踏み続けないよう注意します。

6.運転に適した履物を使う

脱げやすい靴やペダル感覚をつかみにくい靴は避けます。

7.安全装置付きの車も検討する

車を買い替える場合は、踏み間違い時加速抑制装置などの安全装備も確認してみましょう。

家族が運転を心配している場合

高齢の家族について、

「最近駐車が危なっかしい」

「車を何度かぶつけている」

「アクセルとブレーキを間違えそうになった」

という変化がある場合には、本人と運転について話し合うことも重要です。

いきなり、

「危ないから免許を返して」

と伝えるだけではなく、

安全装置付きの車への変更

運転する時間帯を限定する

夜間や雨天は運転しない

近距離だけにする

家族が同乗する

自主返納を検討する

など、複数の選択肢を考える方法があります。

運転に不安がある場合は「#8080」へ相談できる

高齢や病気などによって運転に不安を感じている本人や家族は、警察の安全運転相談窓口へ相談できます。

電話では全国共通の安全運転相談ダイヤル、

#8080

を利用できます。

発信した地域を管轄する都道府県警察の相談窓口につながります。

「免許を返すべきか分からない」という段階でも相談できます。

踏み間違い事故を起こしてしまったら

事故を起こした場合は、まず車を停止させます。

負傷者がいる場合は救護を行い、必要であれば119番へ通報します。

そのうえで警察へ交通事故を届け出てください。

店舗、塀、電柱、他人の車などを壊した場合にも、当事者だけで済ませないようにしましょう。

加入している自動車保険会社にも事故を報告します。

踏み間違いで人をケガさせた場合

踏み間違いだからといって、

「わざとではないので責任はない」

とはなりません。

交通事故によって他人を負傷させた場合には、事故状況に応じて刑事・行政・民事上の責任が問題になります。

被害者に対しては、

治療費

休業損害

慰謝料

後遺障害に関する損害

などが問題になる場合があります。

任意保険に加入している場合には、事故後速やかに保険会社へ連絡しましょう。

被害者になった場合も事故後の症状に注意

踏み間違いによって店舗や歩道へ車が突っ込む事故では、歩行者が突然車にはねられる場合があります。

また、駐車場で自分の車が衝突されることもあります。

事故後に、

首の痛み

腰痛

頭痛

手足のしびれ

めまい

関節の痛み

などがある場合は、自己判断で放置せず医療機関を受診してください。

よくある質問

アクセルとブレーキの踏み間違いは高齢者だけですか?

いいえ。年齢にかかわらず起こる可能性があります。ただし警察庁の資料では、高齢運転者の死亡事故では70歳未満の運転者より、ブレーキとアクセルの踏み間違いが占める割合が高いとされています。

踏み間違い事故はどこで起こりやすいですか?

駐車、発進、後退、切り返しなど、アクセルとブレーキを頻繁に踏み替える場面では特に注意が必要です。

踏み間違い防止装置とは何ですか?

アクセルを誤って強く踏み込んだ場合などに、急発進や急加速を抑制する装置です。国土交通省では一定の性能を持つ装置を認定する制度があります。

踏み間違い防止装置は新車への搭載が義務になりますか?

はい。国土交通省は2025年に保安基準を改正し、乗用車への搭載義務化を決定しています。現在の国土交通省資料では、オートマチック車の新車について2032年9月以降に義務化される予定です。

今乗っている車にも後付けできますか?

車種によっては可能です。国土交通省は後付けペダル踏み間違い急発進抑制装置の認定一覧を公開しています。対応車種については販売店などへ確認してください。

踏み間違い防止装置が付いていれば事故は起きませんか?

事故を完全に防ぐものではありません。作動条件があり、状況によっては装置が作動しない場合があります。安全装置を過信せず、運転者自身が安全確認を行うことが重要です。

家族の運転が心配な場合はどこへ相談できますか?

全国共通の安全運転相談ダイヤル「#8080」を利用できます。高齢や病気などで運転に不安がある本人や家族が相談できます。

まとめ

アクセルとブレーキの踏み間違いは、高齢者だけに起こる事故ではありません。

駐車や発進、後退、切り返しなど細かなペダル操作が必要な場面では、年齢に関係なく操作を誤る可能性があります。

一方、警察庁の資料では、高齢運転者の死亡事故では70歳未満と比べてブレーキとアクセルの踏み間違いが占める割合が高いことが示されています。

事故を防ぐためには、運転姿勢を整える駐車時に焦らない発進・後退前にペダル位置を確認する運転しやすい履物を選ぶ思わぬ車の動きがあったときに同じペダルを踏み込み続けないなど、基本的な操作を丁寧に行うことが重要です。

さらに現在は、アクセルの踏み間違いによる急発進を抑えるペダル踏み間違い時加速抑制装置も普及しています。

国土交通省は2025年に乗用車への搭載義務化を決定しており、現在の資料ではオートマチック車の新車について2032年9月以降に義務化される予定です。

既存車向けの後付け装置も認定されています。

ただし、安全装置はあくまで運転を支援するものです。

「装置が止めてくれるから大丈夫」ではなく、正しいペダル操作と安全確認を基本にすることが、踏み間違い事故を防ぐうえで最も重要です。