単独事故ではどの保険が使える?自賠責・車両保険・人身傷害と等級への影響を解説

「電柱にぶつかってしまった」

「ガードレールへ衝突して車が壊れた」

「カーブを曲がりきれずに道路外へ転落した」

「相手のいない事故で自分がケガをした」

このような事故は、一般に単独事故・自損事故と呼ばれます。

事故相手がいないため、

「自賠責保険で治療できる?」

「自分の車の修理代は保険から出る?」

「同乗者がケガをした場合は?」

「人身傷害保険を使ったら等級が下がる?」

「車両保険を使うと翌年の保険料は上がる?」

など、通常の交通事故とは違った疑問が出てきます。

結論からいうと、単独事故では事故相手がいないため、自分のケガ・自分の車・壊してしまった他人の物を、それぞれ別の保険で考える必要があります。

例えば、

自分や同乗者のケガ → 人身傷害保険・搭乗者傷害保険・自損事故保険など

自分の車 → 車両保険

電柱・ガードレールなど他人の物 → 対物賠償保険

という考え方です。人身傷害保険は相手のいる事故だけでなく単独事故も対象になる契約があり、車両保険も補償タイプによって単独事故による自車損害を補償します。

この記事では、単独事故で使える保険、自賠責保険が使えない理由、車両保険、人身傷害保険、同乗者のケガ、等級への影響、事故後の対応まで分かりやすく解説します。

単独事故・自損事故とは?

単独事故とは、基本的に他の車両との衝突を伴わず、自分の車だけで起こした交通事故を指します。

例えば、

電柱へ衝突した

ガードレールへ衝突した

壁へぶつかった

道路から転落した

駐車場の柱へぶつけた

などです。

日本損害保険協会も、自損事故の例として電柱との衝突や崖からの転落などを挙げています。

ただし、事故相手の車がいなくても、電柱・ガードレール・建物など他人の所有物を壊していれば「何も損害賠償が発生しない事故」とは限りません。

単独事故では自賠責保険を使える?

ここは最初に理解しておきたい重要なポイントです。

基本的に、

運転者本人が単独事故でケガをしても、自分の車の自賠責保険から治療費を受け取ることはできません。

自賠責保険は、自動車事故によって他人を死傷させ、法律上の損害賠償責任を負った場合に備える保険です。運転者自身のケガや自分の車の修理費は補償対象ではありません。

例えば、

自分で電柱へ衝突

運転者本人が首を負傷

というケースで、

「自分の車には自賠責保険が付いているから、そこから治療費を出してもらえる」

とはならないのが基本です。

単独事故で自分の車の修理代を補償するのは車両保険

単独事故によって自分の車が壊れた場合、確認したいのが車両保険です。

車両保険は、契約している車が事故によって損傷した場合などに、契約内容に応じて修理費等を補償する保険です。

例えば、

電柱にぶつかった

ガードレールへ衝突した

駐車場の柱へぶつけた

など、自分で起こした単独事故についても、一般補償型など単独事故を補償するタイプの車両保険であれば対象になる場合があります。

車両保険に入っていれば単独事故は全部補償される?

そうとは限りません。

車両保険には補償範囲の広いタイプと、補償対象を限定したタイプがあります。

三井住友海上の例では、「一般補償」では単独事故による自車損害が対象になりますが、「10補償限定」では単独事故が対象外とされています。

したがって、

「車両保険に入っている=単独事故も必ず補償される」

とは考えず、

「単独事故・自損事故が補償対象になっているか」

を契約内容で確認することが重要です。

車両保険には免責金額もある

車両保険には、事故時に契約者自身が負担する免責金額が設定されている場合があります。

例えば、

修理費20万円

免責金額5万円

という契約なら、実際の保険金は契約条件に従って計算されます。

そのため、小さな傷や軽微な損傷の場合には、

修理費

免責金額

保険を使った場合の翌年以降の保険料

を比較して、車両保険を使用するか検討した方がよい場合があります。

単独事故で車両保険を使うと等級は下がる?

一般的な単独事故で車両保険を使った場合、3等級ダウン事故として扱われることがあります。

三井住友海上では、電柱に衝突して車両保険金が支払われる事故を3等級ダウン事故の例として明示しています。

また、単独事故で車両保険を使用すると、継続契約の等級が3等級下がり、事故有係数が適用される例も案内されています。

そのため、

「修理代10万円だから車両保険を使おう」

とすぐ決めるのではなく、保険会社へ、

保険を使用した場合の翌年の保険料

使用しなかった場合の保険料

数年間の保険料差額

を確認してから判断することをおすすめします。

単独事故で自分がケガをした場合は人身傷害保険を確認

単独事故で運転者や同乗者がケガをした場合に重要なのが、人身傷害保険です。

人身傷害保険は、相手がいる事故か単独事故かを問わず、契約条件に従い、実際に発生した治療費や休業損害などの損害を保険金額の範囲内で補償する保険です。

例えば、

自分で電柱へ衝突

首を負傷して通院

仕事を休んだ

というケースでも、人身傷害保険の契約内容によっては、

治療費

休業損害

その他の人身損害

などが補償対象になります。

人身傷害保険は「実際の損害」を補償する

人身傷害保険の特徴は、契約で定められた基準に基づいて実際の損害額を補償する実損払いであることです。

日本損害保険協会も、人身傷害保険について、治療費や休業損害などを保険約款の基準・計算方法に基づいて支払う保険と説明しています。

そのため、

「骨折したら一律○万円」

という定額給付だけを目的とする保険とは仕組みが異なります。

人身傷害保険を使うと等級は下がる?

ここは現在の記事から特に修正した方がよいところです。

現在の記事では、

「車両保険・人身傷害などを使うと等級ダウン」

と読める記載があります。

しかし、人身傷害保険だけの使用についてはノーカウント事故として扱われる商品があります

つまり、

人身傷害を使った=必ず3等級下がる

とは限りません。自動車保険には3等級ダウン事故・1等級ダウン事故のほか、保険を使用しても等級が変わらないノーカウント事故があります。

ただし、同じ単独事故で車両保険も使用した場合には、車両保険の支払いによって3等級ダウン事故となる可能性があります。

そのため、

「人身傷害だけ使う場合」

と、

「人身傷害+車両保険を使う場合」

を分けて保険会社へ確認しましょう。

搭乗者傷害保険とは?

単独事故でケガをした場合には、搭乗者傷害保険が利用できる契約もあります。

搭乗者傷害保険は、契約している車に乗っている人が自動車事故によって死傷した場合に、契約であらかじめ定められた金額が支払われる保険です。

人身傷害保険との大きな違いは、

人身傷害保険 → 実際に発生した損害額を基準に補償

搭乗者傷害保険 → 契約であらかじめ決められた金額を支給

という点です。

商品によって補償範囲や支払条件が異なるため、自分の契約を確認してください。

同乗者がケガをした場合は?

例えば、

運転者Aさん

助手席に家族Bさん

という状態でAさんが電柱へ衝突し、Bさんがケガをしたケースです。

同乗者については、事故状況や契約内容によって、

人身傷害保険

搭乗者傷害保険

自賠責保険

などが関係する場合があります。

特に自賠責保険は「他人」の人身損害を対象とするため、運転者本人とは扱いが異なり、同乗者が「他人」に該当する場合には自賠責の対象になる可能性があります。 自賠責の補償範囲は原則として事故相手や同乗者の人的損害で、運転者自身は対象外です。

したがって、

「単独事故だから自賠責は絶対に誰にも使えない」

と一括りにしないことが重要です。

運転者本人と同乗者では扱いが異なる可能性があります。

自損事故保険とは?

自動車保険には自損事故保険が付帯されている場合があります。

日本損害保険協会によると、自損事故保険は、電柱との衝突や崖からの転落など、単独事故や自身の過失が100%となる事故などで、自賠責保険や人身傷害保険から補償を受けられない場合に、運転者などの死傷を補償する保険です。

例えば、

電柱へ衝突した

崖から転落した

相手に責任がない事故

などです。

人身傷害保険と自損事故保険は両方必要?

ここは現在の記事のまとめから修正したいポイントです。

現在の記事では、

「最低でも車両保険+人身傷害+自損事故傷害特約」

という形でおすすめしています。

しかし、一律に「全部必要」とするのはおすすめしません。

自損事故保険は、商品によっては人身傷害保険と補償関係が重なります。

日本損害保険協会も、自損事故保険について「自賠責保険や人身傷害保険による補償を受けることができない場合」に支払われる保険と説明しています。

そのため、

現在の人身傷害保険で単独事故が補償されるか

自損事故保険が自動付帯されているか

重複して保険料を払っていないか

などを契約時に確認する方が重要です。

電柱やガードレールを壊した場合は?

単独事故でも、

電柱

ガードレール

道路標識

民家の塀

店舗

駐車場設備

などを壊した場合があります。

この場合、自分の車の修理を補償する車両保険ではなく、他人の物に対する損害賠償は対物賠償保険が問題になります。

三井住友海上も、単独事故で電柱など他人の物を壊した場合、その修理費等は車両保険ではなく対物賠償保険で補償すると案内しています。

「相手がいない事故」でも警察へ届け出る

単独事故だからといって、

「誰にも迷惑をかけていないから警察を呼ばなくていい」

とは考えないようにしましょう。

電柱・ガードレールなどを壊している場合には物損が発生しています。

また、事故後にケガが判明したり、車両保険の手続きで事故状況の確認が必要になったりする場合もあります。

事故が起きた場合には、安全を確保し、負傷者がいる場合は救護したうえで警察へ届け出ましょう。

単独事故で健康保険は使える?

単独事故でケガをした場合、医療機関で健康保険を利用できるケースがあります。

日本損害保険協会も、交通事故の治療について健康保険を利用できると案内しています。

特に単独事故では相手方の任意保険から治療費が支払われるわけではないため、

人身傷害保険

自損事故保険

搭乗者傷害保険

健康保険

など、自分が利用できる制度・保険を確認することが重要です。

単独事故後にケガをしたらまず医療機関へ

単独事故でも身体には大きな力が加わる場合があります。

例えば、

電柱へ衝突した

ガードレールへ衝突した

道路外へ転落した

という事故では、

頭部

胸部

などを負傷する可能性があります。

事故直後に痛みが軽くても、時間が経ってから症状を自覚することもあるため、痛みや違和感がある場合には自己判断せず医療機関を受診してください。

単独事故で保険を使うか迷ったらどうする?

車両保険については、修理費が少額の場合、保険を使わない方が総負担を抑えられることがあります。

例えば、

修理費

車両保険の免責額

保険使用後の等級

事故有係数適用期間

翌年以降の保険料

を比較します。

単独事故で車両保険を使用すると一般的には3等級ダウンとなる例があるため、目先の修理費だけではなく将来の保険料まで確認することが重要です。

保険会社へ確認したい6つのポイント

単独事故が起きたら、契約している保険会社へ次の内容を確認しましょう。

1.単独事故は車両保険の対象ですか?

補償タイプによって対象外の場合があります。

2.免責金額はいくらですか?

修理費のうち自分で負担する金額を確認します。

3.人身傷害保険は単独事故にも使えますか?

契約上の補償範囲を確認します。

4.搭乗者傷害保険・自損事故保険は付いていますか?

自分や同乗者のケガについて利用できる可能性があります。

5.車両保険を使ったら何等級下がりますか?

単独事故では3等級ダウンになる例があります。

6.人身傷害だけ使用した場合の等級はどうなりますか?

車両保険とは取扱いが違う可能性があるため、分けて確認しましょう。

飲酒運転などでは自分の補償が受けられないことがある

保険に加入していれば、どのような単独事故でも保険金を受け取れるわけではありません。

例えば酒気帯び運転の場合、日本損害保険協会は、飲酒した運転者自身のケガや自動車の損害を補償する搭乗者傷害保険、自損事故保険、車両保険などについて保険金が支払われない旨が約款に定められていると説明しています。

実際の免責事項は契約によって確認してください。

単独事故で使える保険を整理すると

単独事故では、何が損害を受けたかによって利用する保険が異なります。

損害主に確認する保険
運転者本人のケガ人身傷害保険・自損事故保険・搭乗者傷害保険など
同乗者のケガ人身傷害・搭乗者傷害・自賠責など
自分の車車両保険
電柱・ガードレール等対物賠償保険
運転者本人のケガを自賠責で補償原則対象外

自賠責保険は、運転者本人のケガや自分の車の損害を補償する保険ではありません。

よくある質問

単独事故で自賠責保険は使えますか?

運転者本人が単独事故でケガをした場合、自分の車の自賠責保険から治療費を受け取ることは基本的にできません。自賠責保険は他人を死傷させた場合の対人賠償を目的とする保険です。

単独事故で自分の車を修理する保険は何ですか?

単独事故を補償するタイプの車両保険です。車両保険の補償範囲は契約タイプによって異なるため、自損事故が対象になっているか確認してください。

単独事故で車両保険を使うと何等級下がりますか?

一般的な電柱への衝突などで車両保険金を受け取る事故は、3等級ダウン事故となる例があります。

単独事故で人身傷害保険は使えますか?

人身傷害保険は、相手のいる事故か単独事故かを問わず、契約条件に従って治療費や休業損害などを補償する保険です。

人身傷害保険を使うと等級は下がりますか?

人身傷害保険のみの利用がノーカウント事故として扱われる商品があります。ただし、同じ事故で車両保険なども使う場合には、事故全体の等級への影響を保険会社へ確認してください。

同乗者のケガにも自賠責は使えませんか?

運転者本人とは扱いが異なります。同乗者が自賠責上の「他人」に該当する場合には、自賠責保険の対象になる可能性があります。

電柱を壊した場合はどの保険を使いますか?

電柱など他人の物への損害賠償については、対物賠償保険が問題になります。自分の車を修理する車両保険とは別です。

修理代が少額なら車両保険を使わない方がいいですか?

場合によります。単独事故で車両保険を使うと3等級下がるケースがあるため、修理費・免責金額と、保険使用後の数年間の保険料増加額を比較して判断するとよいでしょう。

まとめ

単独事故では事故相手がいないため、

「相手の保険から補償してもらう」

という通常の交通事故とは考え方が異なります。

基本的には、

運転者本人のケガ
→ 人身傷害保険・自損事故保険・搭乗者傷害保険など

自分の車
→ 車両保険

電柱・ガードレールなど他人の物
→ 対物賠償保険

という形で、それぞれ利用できる補償を確認します。

また、運転者本人のケガについては、自分の車の自賠責保険を使うことは基本的にできません。 自賠責保険は他人の人身損害を補償する制度だからです。

さらに重要なのが保険料への影響です。

単独事故で車両保険を使用すると、一般的には3等級ダウン事故として扱われる例があります。

一方、人身傷害保険などはノーカウント事故になるケースがあるため、

「単独事故で保険を使ったら全部3等級下がる」

という理解も正しくありません。

事故が起きた場合は、

どの保険が使えるか

免責はいくらか

等級はどうなるか

翌年以降の保険料はいくら増えるか

を契約している保険会社へ確認してから、車両保険を使用するか判断することをおすすめします。