
この記事は、交通事故で首を痛め、病院で『ストレートネック』と診断された方に向けた記事です。
交通事故の際、首や肩を痛めたり重だるさや違和感を感じた場合、整形外科では『むち打ち』と診断することがほとんどです。
しかし稀に『ストレートネック』と診断を受ける方もいます。
ここでは、トレートネックの診断を受けた方の治療や対処法を、むち打ちと比較しながら解説するとともに、後遺障害の申請や慰謝料の請求などが可能かどうかも併せて解説しています。
ストレートネックとは?
ストレートネックは病気ではありません。本来ある首の正常な湾曲が失われ首が真っ直ぐになってしまう状態をあらわした呼称です。首の骨そのものが変形することではなく、だるま落としのように積み重なっている骨がズレることで起こります。
人間の首は7つの骨が積み重なり生理的な湾曲(前弯)を形成することで様々な動きを可能にし、湾曲がクッションの役割を担うことで衝撃を吸収してくれます。
しかし、何らかの理由によりストレートネックになると頭の重さを効率よく支えることができなくなり、首や肩周りの筋肉や関節が硬くなりやすくなります。
交通事故で起こるむち打ちは事故の衝撃により、首肩周りに大きな負担がかかり痛みや痺れ、めまいや吐き気などの症状があらわれますが、ストレートネックによる症状も同じような症状があらわれます。
交通事故でストレートネックになるのか?
ストレートネックは突発的に起こる外傷ではないため、基本的には交通事故による突発的な衝撃が原因でなることはないでしょう。
なぜかと言うと、ストレートネックは日常的に行っている動作や不良姿勢による身体の歪みが原因で起こる症状だからです。本来ある首の湾曲が失われる姿勢を続けることでストレートネックは発症します。
以上のことから考えると、ストレートネックと診断された場合、交通事故の以前から姿勢の崩れによる所見があった可能性が高いです。
交通事故以前から姿勢の悪さがあり、そこへさらに交通事故の衝撃が重なりストレートネックになったと考えられます。
つまり、交通事故は姿勢の崩れを作ってしまう要因の1つであり、ストレートネックの直接的な原因にはならないとい考えられます。
ストレートネックになる原因
ストレートネックの原因は顎を前へ突き出したような猫背の姿勢です。
猫背になる要因には以下の生活習慣があります。
- パソコンなどを使ったデスクワークをしている
- スマホやタブレットなどを1日5時間以上操作している
- 椅子にもたれかかって座る習慣がある
これらの習慣は高確率で猫背の姿勢となり、ストレートネックを招きます。
ストレートネックは、時間をかけて徐々に起こるため何かの原因で突発的に発症するものではありません。
『ストレートネック』と『むち打ち』の違い
・ストレートネック⇒本来ある正常な首の湾曲が失われた状態
・むち打ち⇒首の周辺の筋肉や関節、靭帯などを損傷し炎症を起こした状態
両者の明確な違いは『炎症』の存在です。
むち打ちは交通事故による衝撃で、首が鞭を打ったように振られることで筋肉や靭帯、関節などの部位に損傷が発生し炎症が起こります。
しかし、ストレートネックは姿勢の崩れから筋肉や靭帯、関節がストレスを受けることでむち打ちと類似した症状が起こります。必ずしも首に炎症が存在しているわけではありません。
つまり、ストレートネックは姿勢の崩れによる首の骨のズレ、むち打ちは外傷による炎症という点が大きな違いになります。
このように『ストレートネック』と『むち打ち』はあらわれる症状は似ているものの、状態は全く異なるため行う治療も違ってきます。
ストレートネックの治療は整骨院が得意!
むち打ちは首のケガであるため、ケガの炎症を抑えるためにロキソニンなどの消炎鎮痛効果がある痛み止めの服用は有効であり、治療の際は筋肉や靭帯の損傷を改善させる治療を行います。
それに対しストレートネックは筋肉の炎症ではないため、消炎鎮痛効果がある痛み止めでは効果が乏しく、治療の際は筋肉の緊張を取り除き姿勢改善をするとともに、不良姿勢によって弱ってしまった筋肉のトレーニングを行い、首を元の正しい形に戻すことを目的とします。
ストレートネックの治療 整骨院をお勧めする理由
整骨院は、病院施設のような検査機器もなければ医師のように症状を診断することも出来ません。
しかし、すべての身体の不調に明確に病的な原因があるわけではありません。
現代人の身体に起こる痛みや違和感のほとんどが『検査しても特に異常がみられない症状』なのです。
検査で異状が見当たらない多くの症状は湿布や痛み止め、安静にすることで様子をみましょう、と言われることがほとんどです。
整骨院では、そのような身体の不調や不具合に対する施術を得意としています。
検査で異常が無いけれど症状が出ている場合、多くの問題は筋肉にあります。
筋肉の硬さやそれによる血流の滞り、骨格のバランスや不良姿勢、自律神経の働きなどさまざまな理由から身体の不調は起こります。整骨院で行う施術は基本的に、筋肉や関節に対する施術であり、ストレートネックはまさに整骨院の得意分野であると言えるのです。
医師のように検査や診断をすることはできませんが、筋肉の硬さや関節のバランスなどから不調の原因を判断し施術することで症状の改善に努めます。
ストレートネックを改善するための4つのポイント
- ストレートネックにより生じた痛みを緩和する
- ストレートネックを引き起こしている首肩周りの筋緊張を取り除く
- 正しい姿勢をキープする筋肉を付ける
- ストレートネック防止のための運動やストレッチ
『鍼灸整骨院かまたき』で行う施術
- 電気療法
- 手技療法
- 鍼灸治療
- 筋力トレーニング
- 生活習慣の指導
・姿勢指導
・日常動作指導
・自分で行う日々のメンテナンス指導
1・電気療法
電気療法では、押したり揉んだりしただけでは届かない筋肉の深部に電気を流します。凝り固まった筋肉を柔らかくすることで血管の通り道を広げ血流を改善させます。
揉んだり押したりするのが痛い場合や、鍼が苦手な方、痛みが強いときは電気療法が有効です。
電気療法を行っていると施術前は冷感があった皮膚が温かくなり、筋肉が柔らかくなったことを実感することができます。
ストレートネックは、首の筋肉がカチコチに凝り固まってしまい、筋肉が血管を圧迫し血液の流れが悪くなり、血管内に『疲労物質』が溜まり痛みやハリを発生させています。そのため、筋肉が柔らかくなり血流が良くなれば、溜まっていた老廃物が血液に乗って流れていき痛みが和らぎます。
2・手技療法
文字通り、手を使って行う施術です。
一般的にはマッサージやもみほぐしと認識されているものです。
身体に直接触れることで筋肉や関節の硬さや動き具合をみて、揉む・押す・捻る・引っ張るなどして身体の状態に合った方法で不調を改善させていきます。
ストレートネックにより、緊張した筋肉が首の動きを制限しています。
手技療法により緊張した筋肉をほぐし首がスムーズに動かせるよう整えます。首や肩の凝り固まった筋肉がほぐれると、首が正しい位置をキープすることができるようになります。
3・鍼灸治療
鍼や灸を用いてツボや患部を刺激し症状の改善をはかる施術です。
鍼は髪の毛ほどの細さのため、刺した時の痛みはほとんどありません。手技では届かない筋肉の奥の方を刺激することができます。
灸は、よもぎの葉っぱから作られる『もぐさ』と呼ばれるものを患部に置き火をつけて燃やします。もぐさが燃えることで発生する熱により身体を温め、凝り固まった筋肉をほぐし血行を促進します。
また、もぐさに含まれるシネオールという成分には、強力な消毒、殺菌、鎮静、鎮痛効果があり、灸をすることで皮膚から身体の中に浸透し痛みなどの症状を和らげます。
ストレートネックの原因は日常的に行っている姿勢の悪さなど、原因が全身に及んでいることが考えられるため、ツボや経絡を用いた鍼灸治療は全身をトータル的にケアできるためお勧めです。
4・筋力トレーニング
正しい姿勢を維持するための筋肉を鍛えます。
人間の体は姿勢が崩れると、負荷が増えすぎてストレスがかかってしまう筋肉と、使われなくなって弱ってしまう筋肉が生まれ身体のアンバランスが起こります。
手技によって筋肉の緊張を取り除く施術を行っても、姿勢を維持する筋力が無ければすぐにまた元の不良姿勢に戻ってしまいます。
ストレートネックの方は不良姿勢が長く続いたことにより、首を正しい位置に支える筋肉が弱くなっています。そのため姿勢を維持するための筋力トレーニングは必須です。
5・生活習慣の指導
- 姿勢指導
- 日常動作指導
- 自分で行う日々のメンテナンス指導
ストレートネックは日々の生活習慣による姿勢の崩れが原因になっていることが多いから、ストレートネックを改善するには生活習慣の見直しは欠かせません。
1・姿勢指導
まずは自分の姿勢を知ることから!
真っすぐに立ってもらった時、自分の立っている姿勢がバランスが悪いと認識している人はほとんどいません。猫背、巻き肩、肩の高さの左右差、首の位置、骨盤の高さや開き、膝や足首の向き、、、など様々なところをチェックしていきます。
2・日常動作指導
普段、何気なく行っている動作が身体に大きな負担をかけていることが考えられます。
適切な椅子の高さ、座り方、頭の位置、肩の開き、広背筋(背中)の使い方、歩き方、枕の高さ、、、などを指導します。普段の動きを意識することで身体にかかる負荷を減らすことができます。
3・自分で行う日々のメンテナンス指導
1日中全く姿勢のバランスを崩さずに過ごすことは不可能です。1日使った筋肉の疲労は出来ればその日のうちに取り除きたいものです。
首肩周りの筋肉のストレッチ方法から、簡単に行える筋力トレーニングなどを身体の状態に合わせて指導していきます。
生活習慣は個々のライフスタイルによって変わるため、絶対的な答えはありません。理想的な姿勢を維持できる習慣を一緒に相談しながら進めていきます。
ストレートネックの後遺障害等級と慰謝料
交通事故が原因となりストレートネックを発症し、後遺症が残ってしまった場合、認定を受けられる可能性がある後遺障害等級は12級または14級が該当します。
該当項目にある、局部に神経症状を残すものの部分で認定を受けられる可能性があります。
認定を受けた場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益などの慰謝料を請求することができます。
しかし、ストレートネックでの後遺障害等級の申請には、交通事故との因果関係を証明をすることが困難なケースも多く、むちうちと比べ認定を受ける事例は圧倒的に少ないです。
なぜなら、ストレートネックという症状が一般的には突発的に起こる外傷ではないため、生活習慣による要因も考慮されることから、偶発的に起きた交通事故が原因と考えられ辛いためです。
もしも、ストレートネックによる後遺障害等級の申請を考える場合には、治療経過や自身の身体の状態を細かく記録するとともに、申請には医師の診断書が必要なため医療機関との連携も必須です。その際医師には、後遺障害等級申請をする意思がある旨を相談しておくと良いでしょう。
