
人身傷害保険を選ぶとき、「契約している車に乗っている事故だけで十分なのか」「歩行中や自転車に乗っているときの事故まで補償した方がよいのか」と迷う方は少なくありません。
結論からいうと、徒歩や自転車で移動することが多い方、家族や友人の車・タクシー・バスなどを利用する機会がある方は、車外事故まで補償範囲を広げるタイプを検討する価値があります。
ただし、「車外事故補償を付ければ、外出中のケガがすべて補償される」という意味ではありません。補償される事故、対象になる家族、対象外になる車両などは、保険会社や商品、特約によって異なります。
実際に三井住友海上では、人身傷害保険に「自動車事故特約」を付けることで、契約車両以外の自動車に乗車中の事故や、歩行中に自動車にはねられた事故まで補償範囲を広げています。損保ジャパンでは「人身傷害交通乗用具事故特約」によって、他の自動車だけでなく、自動車以外の交通乗用具や歩行中の自転車との衝突事故などへ補償を広げています。
この記事では、人身傷害保険の仕組み、契約車両搭乗中限定タイプと車外事故まで補償するタイプの違い、車外補償を検討したい人、注意すべき補償範囲や重複について解説します。
- 1 人身傷害保険とは?
- 2 人身傷害保険と対人賠償保険の違い
- 3 人身傷害保険の主なメリット
- 4 人身傷害保険には「車内だけ」と「車外まで」の違いがある
- 5 契約車両に乗車中の事故を補償するタイプ
- 6 車外事故まで補償するタイプ
- 7 車外事故まで補償するタイプを検討したい理由
- 8 他人の車に乗る人にもメリットがある
- 9 家族の歩行中・自転車事故にも備えられる場合がある
- 10 車外事故補償なら何でも補償されるわけではない
- 11 家族で複数台契約している場合は重複を確認する
- 12 人身傷害保険を使うと等級は下がる?
- 13 人身傷害保険を使って通院するときの流れ
- 14 整形外科と整骨院は併用できる?
- 15 車外事故補償を検討したい人
- 16 契約前に確認したいポイント
- 17 よくある質問
- 18 交通事故後の通院でお困りの方へ
- 19 まとめ
人身傷害保険とは?
人身傷害保険とは、自動車事故によって自分や契約上の補償対象者が死亡したりケガをしたりした場合に、自分が契約している保険会社から補償を受けるための保険です。
一般的には、治療費、休業による損害、精神的損害、後遺障害による損害、死亡による損害などが、契約の保険金額や約款上の損害額算定基準に基づいて補償されます。
東京海上日動も、人身傷害保険について、過失割合にかかわらず治療費等の実費、休業損害、精神的損害、逸失利益などを保険金額の範囲内で補償すると案内しています。
大きな特徴は、相手方への賠償請求とは別に、自分の保険契約から補償を受けられることです。
人身傷害保険と対人賠償保険の違い
この2つは名前が似ていますが、役割が異なります。
対人賠償保険は、自分が交通事故によって他人を死傷させ、法律上の損害賠償責任を負った場合に備える保険です。
一方、人身傷害保険は、自分や契約上の補償対象者が交通事故で死傷した場合に、自分側の損害を補償する保険です。
簡単に整理すると、相手の身体への賠償が対人賠償、自分側の身体への補償が人身傷害と考えると分かりやすいでしょう。
人身傷害保険の主なメリット
自分にも過失がある交通事故に備えられる
交通事故では、相手だけでなく自分にも過失が認められることがあります。
相手方への損害賠償請求では、自分の過失割合によって受け取れる金額が減額されることがあります。
一方、人身傷害保険では、契約内容と保険会社の損害額算定基準に基づき、自分の過失割合による減額をせず補償を受けられることがあります。
ただし、相手方への損害賠償請求で認められる金額と、人身傷害保険で算定される損害額が必ず同じになるわけではありません。
示談成立前でも請求できる場合がある
人身傷害保険は、自分と保険会社との契約に基づく補償です。
そのため、相手との過失割合や損害額について示談が成立する前でも、人身傷害保険から支払いを受けられる場合があります。三井住友海上も、相手との示談成立を待たず保険金を受け取れることを特徴として案内しています。
ただし、請求すれば直ちに全額が支払われるわけではなく、事故状況、治療内容、必要書類などの確認が行われます。
相手が無保険でも備えられる
相手が任意保険に加入していなかったり、十分な資力がなかったりすると、賠償金の回収が難しくなることがあります。
人身傷害保険に加入していれば、契約内容に基づいて自分の保険会社へ請求できる可能性があります。
単独事故にも備えられる
ガードレールへの衝突やスリップによる単独事故など、損害賠償を請求する相手がいない事故でも、契約内容によっては人身傷害保険の補償対象となります。
人身傷害保険には「車内だけ」と「車外まで」の違いがある
ここが今回の記事で最も重要なポイントです。
人身傷害保険は、すべての商品が同じ補償範囲ではありません。
大きく分けると、契約車両に乗車中の事故を中心に補償するタイプと、契約車両以外の車や歩行中などまで補償範囲を広げるタイプがあります。
契約車両に乗車中の事故を補償するタイプ
基本的な人身傷害保険では、契約している車に乗車しているときの事故を中心に補償する商品があります。
保険料を抑えられる可能性がある一方で、商品によっては次のような事故が補償されない場合があります。
歩行中に車にはねられた事故、自転車に乗車中に車と衝突した事故、友人の車に乗車中の事故、タクシーなど別の車へ乗車中の事故などです。
自分の車以外で移動する機会がほとんどない方であれば、この範囲でもニーズを満たせる可能性があります。
車外事故まで補償するタイプ
車外事故まで補償範囲を広げるタイプでは、契約車両に乗車中の事故だけでなく、一定条件のもとで他の車に乗車中の事故や歩行中の自動車事故なども補償されます。
たとえば三井住友海上では、「自動車事故特約」をセットすることで契約車両以外の自動車に乗車中の事故や歩行中の自動車事故まで補償します。
損保ジャパンでは「人身傷害交通乗用具事故特約」により、他の自動車に乗車中の事故、自動車以外の交通乗用具に乗車中の事故、歩行中の自転車との衝突事故などまで補償範囲を広げています。
東京海上日動も、所定の「人身傷害乗用具事故補償特約」をセットした場合に、契約車両以外の車への乗車中や車外の事故を補償すると案内しています。
つまり、「車外事故補償」という全国共通の商品名があるのではなく、保険会社ごとに特約名と対象範囲が異なると理解しておくことが重要です。
車外事故まで補償するタイプを検討したい理由
歩行中の自動車事故に備えられる
自動車保険に加入していても、実際に交通事故へ遭うのは自分の車を運転しているときだけではありません。
横断歩道を歩いているとき、買い物中に駐車場を歩いているとき、散歩しているときなどに車と接触する可能性があります。
車外事故まで補償される契約であれば、このような事故も補償対象となる場合があります。
自転車を利用する人にも役立つ
通勤・通学・買い物などで自転車を使う人も、自動車との事故に遭う可能性があります。
ただし、ここは特に注意が必要です。
自転車に乗っているときの自動車との衝突事故が対象でも、自転車の単独転倒まで補償されるとは限りません。
損保ジャパンのように自動車以外の交通乗用具事故まで対象を広げる商品もありますが、補償範囲は契約によって違います。
他人の車に乗る人にもメリットがある
友人や知人の車、レンタカー、タクシーなど、自分の契約車両以外に乗る機会がある方も確認する価値があります。
三井住友海上では自動車事故特約を付けることで、一定条件のもと契約車両以外の車に乗車中の事故も人身傷害保険の対象となります。ただし、本人や配偶者、同居親族が所有・常時使用する車などは対象外となる条件があります。
したがって、「他人の車なら何でも対象」と考えないことが大切です。
家族の歩行中・自転車事故にも備えられる場合がある
車外事故を補償する特約では、本人だけでなく、配偶者や一定範囲の家族が補償対象になる商品があります。
損保ジャパンでは、記名被保険者、その配偶者、同居の親族、別居の未婚の子などを一定範囲で補償対象としています。
そのため、徒歩で通学する子ども、自転車で通勤・通学する家族、車を運転しない高齢の家族などがいる場合には、家族全体の補償という視点から確認する価値があります。
ただし、「家族」の範囲は契約ごとに定義されているため、必ず約款や重要事項説明書で確認してください。
車外事故補償なら何でも補償されるわけではない
ここは記事で強調してください。
「車外事故」という言葉から、
家の中で転んだ
スポーツ中にケガをした
店で滑って転倒した
といった事故まで補償されるように感じるかもしれません。
しかし、人身傷害保険の車外補償は、基本的に約款で定められた自動車事故や交通乗用具事故などを対象とするものです。
日常生活中のすべてのケガを補償する保険ではありません。
家族で複数台契約している場合は重複を確認する
家族で2台、3台と車を所有している場合には、それぞれの契約へ同じ車外補償特約を付ける必要がないケースがあります。
損保ジャパンでも、いずれか1台へ人身傷害交通乗用具事故特約をセットすることで家族を補償できる場合がある一方、契約を解約した場合などに補償がなくなる可能性があるため注意するよう案内しています。
単純に「重複しているから1つ外す」のではなく、
補償される人、保険金額、記名被保険者、別居家族の有無、契約車両を売却・解約したときの影響まで確認して判断しましょう。
人身傷害保険を使うと等級は下がる?
人身傷害保険のみを利用した事故は、一般的にノーカウント事故として扱われる商品があります。
ただし、同じ事故で車両保険や対物賠償保険など他の補償も使用すれば、そちらの扱いによって翌年度の等級や保険料へ影響する可能性があります。
また、等級が下がらない場合でも、保険料率や契約条件の変更によって翌年度の保険料が変わる可能性はあります。
実際に請求する場合には、加入している保険会社へ確認してください。
人身傷害保険を使って通院するときの流れ
交通事故後に人身傷害保険を利用する場合は、まず警察へ事故を届け出ます。
身体に痛みや違和感があれば、早めに整形外科などの医療機関を受診してください。
その後、自分の保険会社へ事故を報告し、「人身傷害保険を利用したい」ことを伝えます。
保険会社によっては医療機関へ治療費を直接支払う場合がありますが、必ず窓口負担が0円になるわけではありません。一度自分で支払い、後から請求するケースもあります。
そのため、通院前に保険会社と医療機関へ支払方法を確認しましょう。
整形外科と整骨院は併用できる?
交通事故後は、整形外科と整骨院を併用できる場合があります。
まず整形外科で医師による診察を受け、必要に応じてレントゲンやMRIなどの検査を受けることが重要です。
整骨院では柔道整復師による施術を受けられますが、医師による診断、画像検査、薬の処方はできません。
人身傷害保険を使って整骨院へ通院する場合には、施術を開始する前に自分の保険会社へ連絡してください。
施術費が人身傷害保険の対象となるかは、事故との因果関係、施術の必要性・相当性、契約内容などによって判断されます。
車外事故補償を検討したい人
次のような方は、車外事故まで補償されるタイプを特に確認しておく価値があります。
- 徒歩や自転車で通勤・通学・買い物する機会が多い
- 友人や家族の車へ乗ることがある
- タクシーやバスなどを利用する機会がある
- 徒歩通学する子どもがいる
- 自転車通学する家族がいる
- 車を運転しない高齢の家族がいる
一方、自分の車以外ではほとんど移動せず、別の傷害保険などで十分な補償を確保している場合には、契約車両搭乗中に限定することで保険料を抑える考え方もあります。
「車外型が絶対におすすめ」ではなく、自分と家族の移動方法に合わせて決めるのが正解です。
契約前に確認したいポイント
人身傷害保険を契約・更新するときは、契約車両以外の車への乗車中、歩行中、自転車乗車中、公共交通機関利用中などのどこまでが対象かを確認しましょう。
同時に、記名被保険者、配偶者、同居親族、別居の未婚の子など、誰まで補償対象になるのかも重要です。
さらに、本人や家族が所有・常時使用する別の車、業務用車両、二輪車などが除外される場合もあります。
最後に、家族の別契約や傷害保険、自転車保険などとの補償重複も確認してください。
よくある質問
人身傷害保険は車外事故まで付けた方がいいですか?
徒歩・自転車・他人の車などで移動する機会が多い方は検討する価値があります。ただし、保険料や他の保険との重複も確認して判断してください。
車外事故補償を付ければ歩行中のケガは全部補償されますか?
いいえ。一般的には自動車や所定の交通乗用具が関係する事故など、契約で定められた事故が対象です。日常生活中のすべてのケガが対象になるわけではありません。
自転車の単独転倒も人身傷害保険で補償されますか?
商品によって異なります。自転車と自動車との事故は対象でも、自転車単独事故は対象外となる商品があります。交通乗用具事故まで補償する特約かどうかを確認してください。
友人の車に乗っている事故も補償されますか?
車外事故まで補償する契約では対象になる場合があります。ただし、本人や家族が所有・常時使用する車など、対象外となる条件があります。
家族も車外事故の補償対象になりますか?
配偶者、同居親族、別居の未婚の子などが対象になる商品があります。ただし、家族の定義は保険会社や契約によって異なります。
人身傷害保険を使うと等級は下がりますか?
人身傷害保険のみを使用した場合はノーカウント事故として扱われることがあります。ただし、同じ事故で車両保険などを使用した場合には等級へ影響する可能性があります。
整骨院への通院にも人身傷害保険を使えますか?
事故との因果関係や施術の必要性などが認められ、契約上の条件を満たせば補償対象となる場合があります。まず整形外科を受診し、整骨院へ通院する前に保険会社へ確認してください。
交通事故後の通院でお困りの方へ
交通事故後は、その場では症状が軽くても、時間が経ってから首や腰の痛み、頭痛、しびれ、吐き気などが現れることがあります。
痛みや違和感がある場合には、まず整形外科などの医療機関を受診してください。
鍼灸整骨院かまたきでは、千葉市で交通事故後のむちうちや首・腰などの症状についてご相談を受け付けています。整形外科との併用方法や、人身傷害保険を利用して通院する場合の保険会社への連絡についても、状況を確認しながらご案内します。
保険金が支払われるか、どこまで補償されるかは各保険会社が契約・約款に基づいて判断します。損害賠償や示談など法律上の判断については、必要に応じて交通事故に詳しい弁護士へご相談ください。
まとめ
人身傷害保険には、契約車両に乗車中の事故を中心に補償するタイプと、他の車への乗車中、歩行中、自転車利用中などの事故まで補償範囲を広げられるタイプがあります。
徒歩や自転車で移動することが多い方、友人や家族の車へ乗る方、公共交通機関を利用する方、徒歩・自転車で移動する家族がいる方は、車外事故まで補償されるタイプを検討する価値があります。
ただし、車外事故補償は「外で起きたケガを何でも補償する保険」ではありません。 保険会社によって特約名、対象となる事故、家族の範囲、除外される車両などが違います。
「車外型がおすすめ」と一律に決めるのではなく、自分と家族の移動方法、他の保険との重複、保険料を比較しながら選びましょう。

