交通事故のむち打ちはロキソニンだけで治る?改善しない理由と正しい対処法

交通事故後のむち打ちで整形外科を受診すると、ロキソニンなどの痛み止めが処方されることがあります。
「ロキソニンを飲んでいるのに良くならない」「薬が切れるとまた首が痛い」「いつまで飲み続ければいい?」「ロキソニンだけでむち打ちは治るの?」と不安になる方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、ロキソニンはむち打ちに伴う痛みや炎症を軽減するために使用される薬ですが、ロキソニンだけですべてのむち打ち症状が改善するとは限りません。
むち打ちでは、首周囲の炎症だけでなく、筋肉の緊張、関節の動かしにくさ、神経症状、筋力低下など複数の問題が関係することがあります。そのため、痛み止めだけを飲み続けるのではなく、医師による診察や必要な検査を受け、症状に応じてリハビリや運動療法などを組み合わせることが重要です。
この記事では、交通事故のむち打ちにロキソニンが使われる理由、飲んでも改善しない原因、いつまで服用するのか、副作用、ロキソニンが効かないときの対処法、整形外科と整骨院を併用する場合の注意点について解説します。
交通事故のむち打ちとは?
一般に「むち打ち」と呼ばれる状態は、追突や衝突などによって首へ強い負担が加わり、その後に首や肩の痛み、動かしにくさ、頭痛などが現れる状態を指します。
「むち打ち」は医学的な正式病名ではありません。医療機関では症状や検査結果によって、外傷性頚部症候群、頚椎捻挫、頚部挫傷、神経根症、頚椎椎間板損傷、脊髄損傷などと診断される場合があります。日本整形外科学会も、むち打ちは受傷原因や外傷の程度によって症状や治療方法が異なるため、専門的な診察が必要だとしています。
事故直後は症状が軽くても、数時間後や翌日以降に首の痛みや頭痛などが強くなることもあります。
むち打ちではどんな症状が出る?
むち打ちというと首の痛みをイメージする方が多いですが、症状は首だけとは限りません。
首や肩の痛み、首を動かしにくい、肩・背中の重だるさ、首から肩にかけての張り、頭痛、めまい、吐き気、手や腕のしびれ、腕に力が入りにくい、疲れやすいなど、さまざまな症状が現れることがあります。
日本整形外科学会も、外傷性頚部症候群では頚部痛、肩こり、頭痛、めまい、手のしびれなどが長期間続くことがあると説明しています。
腕や手のしびれ、筋力低下などを伴う場合には、単純な頚椎捻挫だけでなく神経根や脊髄などへの影響を確認する必要があります。
ロキソニンとはどんな薬?
ロキソニンの有効成分はロキソプロフェンナトリウムです。
ロキソプロフェンはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる種類の薬で、痛みや炎症を抑えるために使用されます。PMDAでもロキソプロフェンナトリウムを有効成分とする医療用医薬品の情報が公開されています。
交通事故後のむち打ちでは、首や肩周辺の痛みを軽減し、日常生活や睡眠への影響を抑える目的などで処方されることがあります。
ロキソニンによって痛みが軽くなることで、必要な休息を取りやすくなったり、その後のリハビリや運動を行いやすくなったりすることもあります。
ロキソニンだけでむち打ちは治る?
ロキソニンだけですべてのむち打ち症状が改善するとは限りません。
ロキソニンは主に痛みや炎症を軽減する薬であり、骨折や脱臼を治したり、神経の圧迫を直接改善したり、低下した筋力や可動域を直接回復させたりする薬ではないためです。
ただし、「ロキソニンは痛みをごまかすだけだから意味がない」という考え方も正確ではありません。
痛みが強い状態では、眠れない、身体を動かせない、リハビリができないといった問題が起こります。適切に痛みを軽減することも治療の一部です。
むち打ちでは、症状に応じて医師による定期診察、画像検査、薬物療法、物理療法、可動域訓練、運動療法、ストレッチ、日常生活上の指導などを組み合わせて治療していきます。
ロキソニンを飲んでもむち打ちが改善しない6つの理由
1.痛みの原因が炎症だけではない
ロキソニンは炎症に伴う痛みを抑えるために使われます。
しかし、交通事故後の首の痛みには、炎症だけでなく筋肉の緊張、関節の動かしにくさ、筋力低下、睡眠不足、活動量の低下などが関係する場合があります。
複数の原因が重なっている場合には、ロキソニンだけでは十分に症状が改善しないことがあります。
2.神経症状が含まれている
首だけでなく、腕や手にビリビリ・ジンジンする痛みがある、指がしびれる、腕に力が入りにくいといった場合には、神経根などへの刺激が関係している可能性があります。
このような神経症状では、ロキソニンだけでは十分な効果を得られない場合があります。
症状によっては別の薬やリハビリ、MRIなどの追加検査が検討されることがあります。
3.骨折・椎間板・神経など別の問題がある
交通事故後に強い首の痛みが続く場合には、骨折、脱臼、椎間板の問題、神経根障害、脊髄損傷などがないか確認する必要があります。
症状によってはレントゲンだけでなくCTやMRIなどが必要になる場合があります。
日本整形外科学会も、交通事故後にむち打ちが疑われる場合には、神経学的所見を含む診察や、状態に応じたレントゲン・MRIなどの精査が可能な整形外科医を受診することを勧めています。
4.薬が効いている間に無理をしている
ロキソニンを飲んで痛みが軽くなると、「もう治った」と感じて普段どおり身体を動かしてしまうことがあります。
しかし、薬で痛みが抑えられていることと、傷めた部分が完全に回復していることは同じではありません。
重い物を持つ、激しい運動をする、首を勢いよく回す、強いストレッチやマッサージを受けるといった行為は、症状によっては痛みを悪化させることがあります。
5.安静にしすぎている
事故直後に強い痛みがある場合は無理に首を動かす必要はありません。
一方で、骨折や脱臼などが否定された後も長期間まったく動かさない状態が続くと、首の可動域や筋力が低下し、痛みの長期化につながることがあります。
日本整形外科学会も、骨折や脱臼がなければ安静期間をできるだけ短くし、その後は頚椎を動かすことが痛みの長期化予防につながると説明しています。
ただし、「事故から○日後になったら必ず動かす」と一律に決めるのではなく、医師の診断や指示に従ってください。
6.睡眠不足や心理的負担が影響している
交通事故後は身体の痛みだけでなく、事故への不安、仕事への影響、保険会社とのやり取りなど、大きな負担がかかることがあります。
睡眠不足や強い不安が続くことで、痛みを強く感じたり回復に時間がかかったりすることがあります。
これは「痛みが気のせい」という意味ではありません。痛みは身体の損傷だけでなく、睡眠、活動量、神経系、心理状態などさまざまな要因の影響を受けます。
「ロキソニンが効かなくなった」と感じるのはなぜ?
以前はロキソニンを飲めば痛みが軽くなっていたのに、最近は効きにくいと感じることがあります。
この場合、「ロキソニンに身体が慣れて耐性ができた」と自己判断しないことが重要です。
症状そのものが悪化している、炎症中心の痛みから神経症状や身体機能の低下を伴う痛みに変化している、服用方法が適切ではないなど、別の原因が考えられます。
首の痛みが強くなっている、しびれが広がっている、頭痛や吐き気が増えている場合には、自己判断で服用量を増やさず医療機関を受診してください。
ロキソニンはいつまで飲んでいい?
「むち打ちならロキソニンは2週間まで」など、交通事故からの日数だけで決められる一律の期限はありません。
服用期間は、症状、服用量、年齢、持病、併用している薬などによって異なります。
医師から処方されている場合には、処方された用法・用量と期間を守って服用してください。
毎日飲まないと生活できない、薬を飲んでも痛みが強い、処方期間を超えて飲み続けたい、胃痛や吐き気がある、黒い便が出る、尿量が減った、むくみがある、息苦しさや発疹が出たなどの場合には、医師や薬剤師へ相談してください。
ロキソニンを長期間飲む場合の注意点
ロキソニンを含むNSAIDsは痛みを抑えるために有用ですが、副作用にも注意する必要があります。
胃痛、吐き気、胃潰瘍、消化管出血などの消化器症状や、腎機能への影響などが問題になることがあります。また、過去に鎮痛薬によって喘息やアレルギー症状が出たことがある方は特に注意が必要です。
PMDAではロキソプロフェンナトリウムについて医療用医薬品の添付文書や患者向医薬品ガイドを公開しています。処方薬を服用している場合には、自己判断で増量したり市販の鎮痛薬を追加したりせず、医師または薬剤師へ確認してください。
むち打ちでロキソニンが効かないときの正しい対処法
ロキソニンを飲んでもむち打ちが改善しない場合には、「もっと強い痛み止めを飲めばよい」と考えるのではなく、現在の状態を再評価することが大切です。
まず整形外科を受診し、首の状態や神経症状を確認してもらいます。必要に応じてレントゲン、CT、MRIなどの検査を行い、骨折、脱臼、椎間板、神経などに問題がないか確認します。
そのうえで、薬物療法だけでなく、症状に合わせてリハビリ、可動域訓練、運動療法、ストレッチなどを段階的に取り入れていきます。
むち打ちでやってはいけないこと
ロキソニンが効かないからといって処方量以上に飲む、市販の鎮痛薬を自己判断で追加する、痛みを我慢して首を勢いよく回す、強いマッサージや無理な矯正を受けるといった行為は避けましょう。
反対に、医師から動いても問題ないと判断されているにもかかわらず、長期間ほとんど身体を動かさないことも望ましくありません。
痛みが残っている状態で保険会社から治療終了を提案された場合にも、すぐに自己判断で通院をやめるのではなく、まず主治医へ相談してください。
このような症状がある場合は早めに医療機関へ
交通事故後に強い頭痛が続く、意識がぼんやりする、繰り返し吐く、手足のしびれが強くなる、手足に力が入りにくい、歩きにくい、物を落とすようになった、排尿や排便に異常がある、首をほとんど動かせない、痛みが急激に悪化した、発熱がある、薬を飲んでも強い痛みが続く、胸痛や息苦しさがある場合には、早めに整形外科や救急医療機関へ相談してください。
事故直後に一度診察を受けていても、その後症状が変化した場合には再受診が必要です。
整形外科と整骨院は併用できる?
交通事故後の治療では、整形外科と整骨院を併用できる場合があります。
整形外科では、医師による診断、レントゲン・CT・MRIなどの検査、薬の処方、リハビリの指示、診断書の作成などを行います。
整骨院では、柔道整復師が身体の状態を確認し、症状や医師の診断内容に合わせて手技療法や物理療法、日常動作についての助言などを行います。
ただし、整骨院では薬の処方、画像検査、医師による診断はできません。
そのため、交通事故後に首の痛みがある場合には、最初に整形外科を受診し、診断を受けることが大切です。
ロキソニンを飲んでも改善しない方へ
交通事故後の首や肩の痛みが続いている場合には、単にロキソニンを飲み続けるだけではなく、現在の診断や治療内容を見直すことが重要です。
ロキソニンを飲んでも強い痛みが続く、首や肩の痛みが悪化している、腕や手にしびれがある、手に力が入りにくい、頭痛やめまい、吐き気が続く、画像検査を受けていないといった場合には、まず整形外科で再評価を受けてください。
鍼灸整骨院かまたきでは、千葉市で交通事故後の首・肩などの症状についてご相談を受け付けています。
整骨院での施術を希望する場合にも、最初に整形外科を受診し、医師による診断を受けることをおすすめしています。
整形外科との併用方法や、保険会社へ通院先を伝える方法が分からない場合もご相談ください。
治療費の支払い、慰謝料、示談など法律上の判断については、保険会社または交通事故に詳しい弁護士へご確認ください。
よくある質問
Q. ロキソニンだけでむち打ちは治りますか?
ロキソニンは、むち打ちに伴う痛みや炎症を軽減するために使用されます。しかし、可動域の低下、筋力低下、神経症状などが薬だけですべて改善するとは限りません。診断に応じてリハビリや運動療法などを組み合わせます。
Q. ロキソニンを飲んでもむち打ちが良くならないのはなぜですか?
痛みの原因が炎症だけではなく、筋肉の緊張、神経症状、可動域や筋力の低下など複数の原因が関係している可能性があります。自己判断で服用量を増やさず、医師へ相談してください。
Q. ロキソニンはいつまで飲んでいいですか?
「交通事故後2週間まで」など一律の期間はありません。症状、持病、服用量、併用薬などによって異なるため、処方した医師の指示に従ってください。
Q. ロキソニンが効かなくなったら耐性ができたということですか?
必ずしも耐性が原因とは限りません。症状の悪化や痛みの性質の変化、神経症状などが関係している場合もあります。自己判断で増量せず医師へ相談してください。
Q. むち打ちで腕や手がしびれる場合もロキソニンだけでいいですか?
腕や手のしびれ、筋力低下などがある場合には神経への影響を確認する必要があります。ロキソニンだけで様子を見続けず、整形外科で診察を受けてください。
Q. 交通事故直後は首を動かさないほうがいいですか?
強い痛みがある時期に無理に動かす必要はありません。一方で、骨折や脱臼などが否定された後も長期間まったく動かさないと、痛みが長引く原因になることがあります。動かす時期や方法は医師の指示に従ってください。
Q. 整形外科と整骨院は併用できますか?
交通事故後の治療では併用できる場合があります。まず整形外科で診断を受け、医師や保険会社へ相談したうえで整骨院へ通院することが大切です。
Q. 整骨院でロキソニンを処方してもらえますか?
整骨院では薬を処方できません。ロキソニンなどの処方を希望する場合には医師の診察を受ける必要があります。
まとめ
ロキソニンは、交通事故後のむち打ちに伴う痛みや炎症を軽減するために使用される薬ですが、ロキソニンだけですべてのむち打ち症状が改善するとは限りません。
痛みが続く場合には、炎症だけでなく、神経症状、可動域の低下、筋力低下、長期間の安静、睡眠不足など複数の要因が関係している可能性があります。
また、「むち打ちならロキソニンは○日まで」という一律の服用期間はありません。自己判断で薬を増量・中止したり、市販の痛み止めを追加したりせず、処方した医師や薬剤師へ相談してください。
交通事故後にしびれ、筋力低下、強い頭痛、吐き気、歩きにくさなどがある場合には、早めに整形外科などの医療機関を受診することが重要です。

