
📚 慰謝料シリーズ
この記事は「交通事故の慰謝料完全ガイド」シリーズの一部です。
過失割合について詳しく知りたい方は、総合ガイドをご覧ください。

交通事故でケガをすると、会社員だけでなく、自営業や個人事業主の方も仕事を休まなければならないことがあります。
しかし、「自営業でも休業損害は請求できるの?」「売上が減らなかった場合は対象になる?」「確定申告書が必要と聞いたけれど本当?」このような疑問を持つ方は少なくありません。
自営業者は給与所得者とは異なり、毎月決まった給与があるわけではありません。そのため、休業損害の計算方法や必要書類も会社員とは大きく異なります。
この記事では、自営業者が交通事故で休業損害を請求できる条件や計算方法、必要書類、請求までの流れについてわかりやすく解説します。
自営業者でも休業損害は請求できる?
結論からいうと、自営業者や個人事業主でも、交通事故によって仕事ができなくなり収入が減少した場合は、休業損害を請求できる可能性があります。
ただし、会社員のように給与明細で収入を証明できるわけではないため、「どのくらい収入が減少したのか」を客観的な資料で示す必要があります。
自営業者の休業損害とは
自営業者の休業損害とは、交通事故によるケガが原因で営業や仕事ができなくなり、本来得られるはずだった収入が減少した場合の損害をいいます。
例えば、
・店舗を休業した
・現場へ行けなくなった
・予約をキャンセルした
・仕事の受注を断った
・納品ができなくなった
このようなケースでは、交通事故による休業損害として認められる可能性があります。
会社員との違い
会社員の場合は、勤務先が発行する休業損害証明書や給与明細によって収入減少を証明できます。
一方、自営業者は毎月決まった給与がないため、
・確定申告書
・青色申告決算書
・収支内訳書
・帳簿
・売上台帳
などをもとに収入を確認することになります。
そのため、日頃から帳簿や売上管理を適切に行っていることが重要です。
フリーランスも対象になる
近年は、フリーランスとして働く方も増えています。
ライター、デザイナー、プログラマー、カメラマン、美容師、整体師など、個人で仕事を請け負っている方も、自営業者と同様に休業損害を請求できる可能性があります。
仕事内容や契約形態によって必要となる資料が異なるため、保険会社から案内された書類を準備しましょう。
自営業者の休業損害はどのように計算される?
自営業者の休業損害は、「実際にどれだけ仕事ができなくなり、どれだけ収入が減少したか」をもとに算定されます。
会社員のように給与を基準とするのではなく、前年までの所得や営業状況などを参考に判断されることが一般的です。
売上ではなく所得が基準になることが多い
自営業者が注意したいポイントは、「売上」と「所得」は異なるということです。
例えば、100万円の売上があっても、仕入れや家賃、材料費などの必要経費を差し引くと、実際の所得はそれより少なくなります。
休業損害を算定する際は、売上ではなく所得を基準として判断されるケースが多くあります。
前年の確定申告書が参考になる
休業損害を計算する際は、前年の確定申告書が重要な資料になります。
年間所得から1日あたりの所得を算出し、それに休業日数を掛け合わせて休業損害を計算するのが一般的です。
そのため、確定申告を適切に行っていることが重要になります。
自営業者が休業損害を請求するために必要な書類
自営業者が休業損害を請求する場合は、会社員のような休業損害証明書ではなく、収入や休業状況を証明できる資料を提出する必要があります。
提出する書類は事故の状況や保険会社によって異なりますが、次のような書類を求められることが一般的です。
確定申告書
休業損害の計算では、前年の所得を確認するために確定申告書が重要な資料となります。
保険会社は前年の所得をもとに、1日あたりの基礎収入を算定することが多いためです。
確定申告書は、収入や所得を客観的に証明できる書類として扱われます。
青色申告決算書・収支内訳書
青色申告をしている場合は青色申告決算書、白色申告の場合は収支内訳書の提出を求められることがあります。
売上だけではなく、必要経費や所得の内容を確認するために使用されます。
帳簿や売上台帳
帳簿や売上台帳は、事故前後の営業状況を確認する資料になります。
交通事故によって受注が減ったことや営業できなかった期間を説明する際の参考になることがあります。
日頃から帳簿を適切に管理しておくことが大切です。
その他の資料
事故の状況によっては、次のような資料を求められることがあります。
・請求書
・領収書
・契約書
・予約表
・銀行口座の入出金記録
・営業日報
これらは収入や営業状況を確認するための参考資料として利用されます。
自営業者が休業損害を請求する流れ
休業損害は、自動的に支払われるものではありません。
必要書類を準備し、保険会社へ提出することで手続きが進みます。
1. 整形外科を受診する
交通事故に遭ったら、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。
医師の診断内容や通院記録は、休業の必要性を判断する重要な資料になります。
痛みがあっても受診が遅れると、事故との関係を説明しにくくなる場合があります。
2. 保険会社へ連絡する
交通事故によって仕事へ支障が出ることが分かったら、早めに保険会社へ連絡しましょう。
必要書類や提出方法について案内を受けることができます。
3. 必要書類を準備する
保険会社から案内された書類を準備します。
前年の確定申告書だけでなく、帳簿や売上台帳など追加資料が必要になることもあります。
不足書類があると手続きに時間がかかる場合があるため、早めの準備がおすすめです。
4. 保険会社へ提出する
必要書類がそろったら保険会社へ提出します。
提出後は内容を確認しながら、休業損害額について話し合いが行われます。
内容に疑問がある場合は、そのまま同意せず、算定の根拠を確認することが大切です。
自営業者が休業損害を請求するときの注意点
自営業者の休業損害は、会社員よりも判断が難しいケースがあります。
請求する際は次のような点に注意しましょう。
売上が減っていなくても安心とは限らない
家族や従業員が代わりに仕事を行ったことで売上が維持された場合でも、本人が働けなかった事実や代替人員の費用などが問題になることがあります。
一方で、売上だけを理由に休業損害が認められないとは限りません。
事故による影響を具体的に説明できる資料を準備することが重要です。
確定申告をしていない場合は注意
休業損害は所得をもとに算定されることが多いため、確定申告をしていない場合は収入を証明することが難しくなります。
帳簿や請求書など、収入を客観的に示せる資料が必要になる場合があります。
赤字でも請求できる場合がある
前年が赤字だった場合でも、事故の内容や営業状況などによっては個別に判断されることがあります。
一律に請求できないわけではないため、保険会社や専門家へ確認すると安心です。
無理をして営業を続けない
「仕事を休めない」という理由で無理をすると、症状が悪化し、結果として治療期間が長引くことがあります。
まずは医師の診断に従い、治療を優先することが大切です。
よくある質問
Q. 自営業者でも休業損害は必ず請求できますか?
自営業者でも、交通事故によって仕事ができず収入が減少した場合は、休業損害を請求できる可能性があります。
ただし、会社員のように給与明細がないため、確定申告書や帳簿などで収入の減少を証明する必要があります。
事故との因果関係や休業の必要性も確認されるため、医師の診断や通院記録も重要になります。
Q. 売上が減っていない場合でも休業損害は認められますか?
売上が維持されていても、家族や従業員が代わりに仕事を行っていた場合や、後日売上減少が生じた場合など、個別の事情によって判断されます。
売上だけで判断されるわけではないため、営業への影響を説明できる資料を準備することが大切です。
Q. 開業したばかりでも休業損害は請求できますか?
開業直後で前年の確定申告書がない場合でも、契約書や請求書、受注状況、営業計画などをもとに判断される場合があります。
ケースによって必要な資料が異なるため、保険会社へ確認しましょう。
Q. フリーランスや業務委託でも対象になりますか?
はい。
フリーランスや業務委託で働いている方も、自営業者と同様に休業損害を請求できる可能性があります。
仕事内容や契約内容、収入状況などを確認できる資料が必要になります。
Q. 確定申告をしていない場合はどうなりますか?
確定申告をしていない場合は、収入を客観的に証明することが難しくなります。
そのため、休業損害が認められにくくなる可能性があります。
請求書や帳簿、銀行口座の入出金記録など、収入を証明できる資料があれば提出を求められることがあります。
Q. 通院しながら仕事をしていても請求できますか?
仕事を続けていても、通院のために営業時間を短縮したり、受注を減らしたりして収入が減少した場合は、休業損害の対象となる可能性があります。
事故による収入減少を説明できる資料を保管しておきましょう。
自営業者で交通事故後の通院や保険会社対応にお困りの方へ
自営業の方は、仕事を休むことで収入だけでなく、お客様との信頼関係や今後の受注にも影響が出ることがあります。
そのため、「少し痛いだけだから」と無理をして仕事を続けてしまう方も少なくありません。
しかし、症状を我慢すると回復までに時間がかかり、結果として仕事への影響が大きくなることもあります。
鍼灸整骨院かまたきでは、交通事故による首・肩・腰などの症状について、整形外科との併用方法や通院に関する一般的な流れをご案内しています。
「仕事を休めないけれど痛みがある」
「保険会社とのやり取りがわからない」
「整形外科と整骨院を併用したい」
このようなお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
なお、休業損害の金額や示談交渉、損害賠償に関する法律上の判断については、弁護士などの専門家へご相談ください。


監修者
柔道整復師・鍼灸師
鍼灸整骨院かまたき
交通事故による首・腰の痛み、むちうちなどの施術を行っています。
整形外科との併用や保険会社とのやり取りについてもご相談いただけます。
